軽い運動と記憶力|10分で集中を切り替える職場の休憩法

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軽い運動と記憶力|10分で集中を切り替える職場の休憩法

軽い運動は、体力づくりだけでなく、会議やデスクワークのあとに頭を切り替える方法としても注目されています。

長時間座ったまま仕事をしていると、頭がぼんやりする、同じ考えがぐるぐる続く、集中が続かないと感じることがあります。人事総務の担当者にとっても、研修中や会議中に受講者の集中が切れてしまう場面は身近な課題です。

この記事では、10分間の軽い運動と記憶力に関する研究をもとに、職場で集中を切り替える休憩としてどう活かせるかを見ていきます。

健康研修で軽い運動と集中力の切り替えを説明するタニカワ久美子講師
短時間の軽い運動は、職場で集中を切り替える身近な方法になります。

軽い運動と記憶力の関係

記憶力や集中力を保つ方法として、日常の中でできる軽い運動が注目されています。

2018年に発表された研究では、10分間の軽い運動が、記憶に関わる脳の働きにどのような影響を与えるかが調べられました。

ここでいう軽い運動は、息が大きく上がるような激しい運動ではありません。ゆっくり歩く、軽く体を動かす、無理なく続けられる程度の身体活動です。

職場でいえば、昼休みに少し歩く、会議の前後に立ち上がる、長時間のパソコン作業の合間に肩や首を動かすといった行動に近いものです。

10分の軽い運動で何が調べられたのか

この研究では、参加者が10分間の軽い運動を行ったあと、記憶課題に取り組み、脳の働きも調べられました。

特に注目されたのは、海馬という脳の部位です。海馬は、新しいことを覚えたり、経験を記憶として扱ったりする働きに関係しています。

研究では、軽い運動のあとに、記憶に関わる脳の働きが高まる可能性が示されました。

ただし、この結果を「10分運動すれば誰でも記憶力が上がる」と単純に受け取るのは適切ではありません。体調、年齢、運動経験、疲労の状態は人によって異なります。

職場で大切なのは、軽い身体活動を、頭を切り替えるきっかけとして安全に取り入れることです。

神経が新しく生まれたと断定しない

この研究を職場向けに紹介するときは、表現に注意が必要です。

短時間の軽い運動で確認されたのは、記憶課題や脳活動に関わる変化です。

そのため、「10分の運動で脳の神経細胞が新しく生まれた」と断定するよりも、「記憶に関わる脳の働きが活発になる可能性がある」と説明するほうが正確です。

健康経営の記事では、研究結果を大きく見せることよりも、人事総務の担当者が社内で安全に伝えられる表現にすることが信頼につながります。

職場では「集中の切り替え」に使いやすい

この研究を職場で活かす目的は、社員に本格的な運動を求めることではありません。

使いやすいのは、会議や研修、デスクワークが続いたあとの集中の切り替えです。

たとえば、午後の会議で反応が鈍くなる、研修の後半で集中が落ちる、長いパソコン作業のあとに考えがまとまりにくくなることがあります。

そのような場面で、短時間だけ体を動かすと、頭と体を切り替えやすくなります。

  • 会議の前に1分だけ立ち上がる
  • 昼休みに5分だけ外を歩く
  • 長いパソコン作業の合間に肩や首を回す
  • 研修の途中で軽いストレッチを入れる
  • 午後の眠気が出やすい時間に深呼吸を入れる

このような小さな動きは、仕事を止めるためのものではありません。仕事を続けやすくするための休憩です。

軽い運動は、ユーストレスを説明しやすい具体例になる

ユーストレスとは、心や体に負荷はかかるけれど、その負荷が回復や前向きな行動につながるストレスのことです。

軽い運動は、このユーストレスを職場で説明しやすい例です。

体を少し動かすと、心拍数が上がり、筋肉も使います。これは体にとって軽い負荷です。

しかし、その負荷が本人に合っていれば、気分転換、集中力の回復、達成感、記憶へのよい刺激につながる可能性があります。

反対に、強い運動を急に求めたり、参加を強制したりすると、運動そのものが悪いストレスになることもあります。

職場で大切なのは、運動量を増やすことだけではありません。社員が自分の体調に合わせて、軽く体を動かせるようにすることです。

高齢者や体力に不安がある人にも配慮する

軽い運動のよい点は、体力に自信がない人でも取り入れやすいことです。

高齢の社員、介護施設の職員、座り仕事が多い人、運動が苦手な人でも、短時間であれば始めやすくなります。

ただし、すべての人に同じ動きを求める必要はありません。

  • 立って行う動きが難しい人は、座ったまま足首を動かす
  • 腰痛がある人は、無理な前屈を避ける
  • 疲労が強い人には、運動より深呼吸や休息を優先する
  • 介護職や現場職では、腰や肩を守る動きを取り入れる

健康経営では、「全員に同じことをさせる」よりも、「それぞれが無理なく選べる」形にすることが大切です。

人事総務が見直したい職場の困りごと

軽い運動と記憶力の話は、個人の健康習慣だけで終わらせないことが大切です。

職場では、次のような困りごととして表れます。

職場で起こりやすい場面 軽い運動を入れる目的 人事総務が見る視点
長時間の会議で集中力が落ちる 会議前後に頭を切り替える 会議の進行に短い休憩を入れられるか
午後になると眠気やだるさが出る 体を動かして覚醒を助ける 午後の業務前に無理のない動きを入れられるか
研修中に受講者の集中が続かない 座学と実技の切り替えをつくる 研修内容に短い身体活動を組み込めるか
座りっぱなしで肩や腰が重くなる 姿勢を変え、体の緊張をゆるめる 痛みがある人に無理をさせない設計か

「もっと集中してください」と伝えるだけでは、職場の集中力は戻りにくいものです。

短い休憩、軽いストレッチ、立ち上がる時間、深呼吸などを入れることで、社員が頭と体を切り替えやすくなります。

職場で取り入れるときの注意点

軽い運動は取り入れやすい方法ですが、職場で行うときには注意も必要です。

特に、次のような進め方は避けたほうが安全です。

  • 全員参加を当然にする
  • 運動が苦手な人を目立たせる
  • 体力差や痛みを確認せずに同じ動きを求める
  • 忙しい部署に追加の負担として入れる
  • 「健康のためだから」と断りにくい雰囲気にする

職場での健康づくりは、社員を管理するためのものではありません。

社員が自分の体調に気づき、自分に合った回復方法を選べるようにするためのものです。

ストレス管理を職場全体の制度や役割分担として見直したい場合は、ストレス管理とは|人事・総務が進める制度設計・役割分担・KPI運用も確認しておくと、軽い運動を単発の健康施策で終わらせにくくなります。

タニカワ久美子の企業研修での扱い方

タニカワ久美子の企業研修では、軽い運動を「体力づくり」だけで扱いません。

会議が続いて頭が重くなる、研修の後半に集中が切れる、長時間のパソコン作業でぼんやりする。こうした職場で実際に起こる場面を前提にして、短時間の身体活動を入れています。

研修では、椅子に座ったままできる軽い動き、肩や首をゆるめる動き、呼吸を整える時間を取り入れます。

目的は、社員に運動を頑張らせることではありません。今の自分の疲れや集中の落ち方に気づき、頭と体を切り替える方法を持ってもらうことです。

人事総務の担当者からも、座学だけではなく、全員で実際にできる軽い運動がある点を評価されています。短い実技を入れることで、ストレス管理を知識ではなく、職場で使える行動に変えやすくなります。

10分の軽い運動は、頭と体を切り替えるきっかけになる

10分程度の軽い運動は、記憶力や集中力を支える脳の働きに良い影響を与える可能性があります。

ただし、大切なのは、社員に運動を強制することではありません。

職場では、会議の前後、長時間のデスクワークの合間、研修中の休憩時間などに、無理なく体を動かせる小さな機会をつくることが大切です。

軽い運動は、心と体にちょうどよい負荷をかけ、気分転換や集中力の回復につながるユーストレスの具体例にもなります。

会議・研修・デスクワーク後の集中切り替えを、職場のストレス管理に取り入れたいご担当者様へ

けんこう総研では、軽い運動、呼吸法、セルフケア、管理職の声かけを組み合わせたストレスマネジメント研修を行っています。社員に無理な運動を求めず、職場で実践しやすい内容に落とし込みます。

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出典

  • Suwabe, K., Hyodo, K., Byun, K., Ochi, G., Yassa, M. A., & Soya, H. (2018). Rapid stimulation of human dentate gyrus function with acute mild exercise. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 115(41), 10487–10492.

文責:タニカワ久美子

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