ストレス管理
自分を労わる「セルフ・コンパッション」メリット
本記事は、
ストレス管理(Self-Management)
における「自己調整・回復力」を支える心理学的基盤として、
セルフ・コンパッションの理論と研究知見を整理した解説記事です。
日々の仕事や生活の中で「もう少し自分に優しくなれたらいいのに……」と感じる瞬間はありませんか?
忙しさやプレッシャーが続くと、つい自分自身に厳しくなりがちです。
こんにちは。けんこう総研代表の産業ストレス管理専門家タニカワ久美子です。
自分自身をいたわるという考え方
今日は、そんな現代人の心をケアする新たなアプローチとして、近年心理学やストレスマネジメントの分野で注目を集めている「セルフ・コンパッション(Self-Compassion)」という概念をご紹介したいと思います。
これは、自己肯定感とは少し異なり、失敗したときに過度に自分を責めるのではなく、客観的かつ思いやりをもって自分を受け入れる態度を育むものです。
今日の「健康リーダー応援コラム」では、
・セルフ・コンパッションの概要や研究エビデンスと、
・企業のストレス管理への有効性についてご紹介します。
セルフ・コンパッションは3つの要素からできてます。
1. 自己への優しさ(Self-Kindness)
失敗や困難に直面した際に、自分を責め立てるのではなく、思いやりをもって接する態度。
2. 共通の人間性(Common Humanity)
失敗や苦しみは誰にでもあるという事実を理解し、人間としての普遍性を感じる視点。
3.マインドフルネス(Mindfulness)
否定的感情に巻き込まれ過ぎず、今ある思考や感情を客観的に観察し、あるがまま受け入れる態度。
単なる「頑張れ」「自分をもっと好きになろう」というポジティブ思考の押し付けとは異なります。
状況を冷静に受け止めながら自分に対して優しさを向ける要素が必要です。
こうした姿勢は、失敗による自己否定を避け、再チャレンジのエネルギーを生み出す土台になるからです。
研究エビデンス
抑うつや不安の軽減
セルフ・コンパッションが高い人ほど、抑うつ感や不安、ストレスのレベルが低いとの報告があります。
MacBeth & Gumley(2012)の研究報告では、セルフ・コンパッションは精神的不調と負の相関関係が報告されています。
これは、
失敗や辛い出来事に直面したとき、自分を客観的に見ていると、深刻なストレス反応や自己批判をやわらげるとの研究です。
Neff & Germer(2013)が提唱する「Mindful Self-Compassionプログラム」の研究では、
不安やストレスを和らげ、幸福感を高める効果がわかりました。
セルフ・コンパッションは、職場やプライベートのストレス管理にも役立つことが確認されました。
仕事・人間関係にも好影響
自己への思いやりを育むと、他者との比較や過度な自己否定によるストレスを減らすだけでなく、他者への共感や慈悲の心も高まりやすくなります。
それは、チームの結束力向上やコミュニケーションの質向上といったポジティブな効果にもつながっていきます。
企業のストレス管理におけるセルフ・コンパッション
仕事上のミスや目標未達に対して、自分を追い詰めてしまう社員が多い職場では、「セルフ・コンパッション」という考え方が新たな対策として注目されています。
認知行動療法(CBT)やマインドフルネス瞑想と組み合わせて、セルフ・コンパッションを取り入れた研修プログラムのご要望が増えてきています。
高い自己批判が生むリスクからストレスマネジメント
高い自己批判は、一時的に成長の原動力となる面はあるかもしれません。
しかし、行き過ぎた批判が続くとモチベーション低下やバーンアウト、さらにはメンタルヘルス不調につながるリスクが高まります。
セルフ・コンパッションを身につけることで、自分が置かれた状況を客観視して、再起に必要なエネルギーを保つことができます。
組織全体のパフォーマンス向上
社員一人ひとりがストレスを上手にマネジメントできるようになると、欠勤率や離職率の低下だけでなく、コミュニケーションや創造性も向上しやすくなります。セルフ・コンパッションを含む包括的なストレスマネジメント対策は、組織全体の生産性向上にも寄与すると考えられています。
セルフ・コンパッションを活用した新たなストレスマネジメントの導入や、組織全体のメンタルヘルス強化をお考えであれば、けんこう総研にご相談ください。
私たちは、貴社の状況やニーズをしっかりとヒアリングした上で、最適なプログラムをご提案いたします。
社員が安心して働ける環境づくりは、企業の持続的成長に不可欠な要素です。
セルフ・コンパッションの取り入れ方を学ぶことで、個人としても組織としても、しなやかにストレスを乗り越える力を育てることができるでしょう。
けんこう総研と一緒に、健康で活気ある職場づくりを目指してみませんか。
