深夜残業のランナーズハイ|「まだ頑張れる」を止める職場対策

ストレス・セルフケアを組み合わせた健康経営研修

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深夜残業のランナーズハイ|「まだ頑張れる」を止める職場対策

「夜になると、むしろ仕事が進む社員がいる」

「本人がまだ大丈夫ですと言うので、管理職も止めにくい」

「深夜まで頑張ったのに、翌日に確認漏れややり直しが増えている」

人事総務・健康経営担当者として、このような職場の様子に違和感を持ったことはないでしょうか。

深夜残業中に、「まだ頑張れる」「頭が冴えている」「今なら一気に終わらせられる」と感じる社員がいます。

一見すると、責任感があり、集中力も高く、仕事に前向きな状態に見えます。

しかし、その高揚感は、疲労が回復しているサインとは限りません。睡眠不足、締切への焦り、責任感、長時間の緊張が重なり、疲労感が一時的に見えにくくなっている可能性があります。

この記事では、深夜残業中にランナーズハイに似た高揚感が出る理由と、管理職・人事総務が取るべき職場対応を整理します。

社員の頑張りを美談にせず、判断ミス、翌日のやり直し、健康リスクを防ぐために、職場としてどこで止めるかを考える記事です。


深夜残業中にまだ頑張れると感じる社員と疲労リスクを説明する記事画像
深夜残業で一時的に「まだ頑張れる」と感じても、睡眠不足や疲労蓄積が消えたわけではありません。

深夜残業中に「まだ頑張れる」と感じる職場はありませんか

深夜残業が続く職場では、社員本人も管理職も、疲労の限界に気づきにくくなることがあります。

たとえば、夜になると急に集中して作業を進める、休憩を取らずに資料を仕上げようとする、本人が「今日中に終わらせます」と言い続ける。このような場面です。

管理職から見ると、本人が前向きに働いているように見えます。人事総務から見ても、「責任感のある社員」「繁忙期を支えてくれている社員」と映るかもしれません。

しかし、深夜帯の高揚感は、成果を生むエネルギーではなく、疲労感が鈍っているサインとして見る必要があります。

職場で見えやすい状態 担当者が持ちたい視点 放置した場合のリスク
深夜になると急に元気に見える 本当に回復しているのか、疲労感が鈍っているのかを見る 過集中、休憩不足、翌日の反応低下
「まだできます」と言い続ける 本人任せにせず、管理職が切り上げ判断を持つ 深夜残業の常態化、疲労蓄積
深夜に資料や数値確認を続ける 判断や確認を翌朝に回せないか検討する 確認漏れ、やり直し、顧客対応ミス
翌朝の会議で発言が減る 深夜の作業量だけで成果を判断しない 生産性低下、集中力低下
深夜残業を本人の責任感として処理している 職場の勤務設計・業務配分の問題として見る 属人化、過重負荷、メンタル不調リスク

人事総務・健康経営担当者が確認したいのは、「その社員が頑張れるかどうか」ではありません。

深夜に頑張らなければ回らない業務設計になっていないか、管理職が止める判断を持てているか、翌日の業務品質まで見えているかです。

深夜残業中のランナーズハイに似た状態とは

ランナーズハイとは、本来は長時間のランニングや持久運動のあとに、苦しさが軽くなり、気分が高まったように感じる状態を指します。

この現象には、痛みや不快感をやわらげる脳内の反応が関係します。一般にはエンドルフィンがよく知られていますが、現在ではエンドルフィンだけでなく、エンドカンナビノイド系を含む複数の仕組みが関わると考えられています。

ただし、深夜残業中に起こる高揚感は、運動によるランナーズハイそのものではありません。走っているわけでも、身体を鍛えているわけでもありません。

それでも、強い負荷の中で疲労感が一時的に鈍り、「まだできる」「今なら一気に終わらせられる」と感じる点では、ランナーズハイに似た状態として説明できます。

重要なのは、その高揚感が回復を意味しないことです。

深夜帯に気分が高まっていても、身体と脳はすでに休息を必要としている可能性があります。

深夜残業の高揚感を「やる気」と誤認してはいけない

深夜残業では、締切、責任感、周囲への遠慮、評価への不安が重なります。

そのため、本人は休む判断をしにくくなります。

「集中できている」「いま止めるともったいない」「今日中に終わらせたい」と感じることがあります。

しかし、その時点で注意力や判断力がすでに落ちている場合があります。

とくに管理職がこの状態を「頑張っている」「責任感がある」と評価してしまうと、深夜残業が常態化しやすくなります。

深夜帯の高揚感は、成果を生むエネルギーではなく、疲労感が見えにくくなっているサインとして扱う必要があります。

管理職が誤認しやすい見え方 実際に確認したいこと 職場での対応
夜になると集中している 睡眠不足や過集中になっていないか 作業を区切る時間を決める
本人が「大丈夫」と言っている 休憩を取れているか、翌朝に影響が出ていないか 本人任せにせず終了判断を伝える
深夜に仕事が進んでいる 翌日の修正や確認漏れが増えていないか 判断業務は翌朝へ回す
責任感が強い社員に見える 業務が属人化していないか 代替要員や引き継ぎを整える
繁忙期だから仕方ないと思っている 繁忙期後の回復機会が設計されているか 勤務調整と休息時間を確保する

健康リスクは本人の体調問題だけではない

深夜残業による睡眠不足や疲労蓄積は、本人の体調だけでなく、職場全体の業務品質にも影響します。

睡眠不足が続くと、日中の眠気、疲労、注意力や判断力の低下が起こりやすくなります。

これらは、作業効率の低下、確認漏れ、やり直し、対人トラブルにつながります。

つまり、深夜残業は「本人が頑張れるかどうか」の問題ではありません。

翌日の業務品質、チームの安全配慮、管理職のマネジメント、健康経営の実効性に関わる問題です。

深夜残業で起こりやすい業務影響

深夜残業の問題は、労働時間の長さだけではありません。

深夜帯に高い判断力を必要とする作業を続けることで、翌日以降に業務上の影響が出やすくなります。

起こりやすい影響 具体的な状態 人事総務・管理職が見るポイント
判断ミスと確認漏れ 資料作成、数値入力、設計確認、顧客対応でミスが増える 深夜帯に判断業務を残していないか
感情コントロールの低下 指摘に過敏になる、言い方が強くなる 本人の性格ではなく疲労の影響として見る
翌日の生産性低下 午前中の反応が遅い、修正ややり直しが増える 深夜に進んだ分だけで成果を判断しない
ヒューマンエラーと安全リスク 運転、機械操作、医療・介護、警備、システム対応で事故リスクが上がる 深夜後の作業内容と回復時間を分けて考える

「深夜に頑張ったから成果が上がった」とは限りません。

翌日のやり直しや確認漏れまで含めて見ると、総合的な生産性が下がっている場合があります。

タニカワ久美子の企業研修で見える「深夜に元気になる社員」

タニカワ久美子の企業研修では、管理職の方から「夜になると急に集中して仕事を進める社員がいます」という相談を受けることがあります。

ある研修では、若手社員が「深夜になると静かで邪魔が入らないので、むしろ仕事が進みます」と話しました。

本人は前向きに話していましたが、詳しく聞くと、翌朝は強いだるさがあり、午前中の会議では発言が減り、午後になってようやく頭が動くという状態でした。

このときタニカワ久美子が伝えるのは、「頑張りすぎです」と責めることではありません。

まず、深夜に元気になったように感じることと、本当に回復していることは違うと説明します。

そのうえで、判断が必要な仕事は翌朝へ回す、深夜帯は作業を区切る、翌日の始業や会議の入れ方を調整するなど、職場としてできる対策に落とし込みます。

人事総務・健康経営担当者にとっても、この視点は重要です。

深夜残業中に明るく見える社員を「元気だから大丈夫」と判断しないことです。

本人の頑張りの裏に、睡眠不足、疲労蓄積、判断力低下、翌日の生産性低下が隠れていないかを見ることが、管理職教育と健康経営の実効性につながります。

現場で見逃しやすい兆候チェック

人事総務や管理職は、深夜残業の時間数だけでなく、次の兆候を確認する必要があります。

見える兆候 考えられる背景 職場で確認したいこと
深夜帯に気分が高まり、翌朝の強いだるさが常態化している 疲労感の鈍化、睡眠不足 翌日の勤務開始時刻や会議予定を調整できているか
深夜の作業量は多いが、翌日のやり直しが増えている 確認力や判断力の低下 深夜帯に判断業務を残していないか
午前中の会議で発言が減る、反応が遅れる 回復不足、集中力低下 休憩や業務配分を見直しているか
深夜残業を本人の責任感として処理している 職場文化としての過重負荷 管理職が切り上げる合図を出せているか

複数の項目が当てはまる場合、必要なのは個人への注意喚起だけではありません。

勤務設計、管理職の声かけ、業務配分、回復機会の見直しが必要です。

人事総務・管理職が取るべき実務対策

深夜残業の対策では、「本人に早く帰るように言う」だけでは不十分です。

本人が止めにくい状態になっているからこそ、管理職が仕事を切る判断を持つ必要があります。

実務対策 目的 運用のポイント
深夜作業のルールを明確にする 深夜残業の常態化を防ぐ 事前承認、上限時間、翌日の勤務調整を決める
高負荷タスクを翌朝へ移す 判断ミスを防ぐ 重要判断、顧客対応、設計確認、評価作業は翌朝に回す
管理職が止める合図を出す 本人任せにしない 「今日はここで切る」「判断部分は明日に回す」と具体的に伝える
翌日の予定を調整する 回復時間を確保する 始業直後の会議や高負荷業務を避ける
疲労サインを管理職教育に入れる 元気そうに見える状態の誤認を防ぐ 過集中、疲労感の鈍化、確認漏れを研修で扱う

深夜作業を完全にゼロにできない職場でも、作業内容を制限する、翌日の勤務を調整する、判断業務を翌朝へ移すことは可能です。

「今日中に終わらせる」よりも、「翌朝に安全に仕上げる」ほうが、結果的に差し戻しやミスを減らせます。

管理職研修で扱うべき内容

深夜残業の問題は、単に「早く帰りましょう」と伝えるだけでは改善しません。

研修で扱うべきなのは、本人のセルフケアだけではありません。

管理職の判断、職場のルール、勤務実態、回復機会の設計まで含める必要があります。

研修で扱う項目 職場での意味
深夜残業と疲労蓄積の関係 本人の頑張りだけで処理しない
睡眠不足による注意力・判断力低下 確認漏れや翌日のやり直しを防ぐ
疲労感が鈍る状態の見極め 元気そうに見える社員を誤認しない
管理職の声かけと業務切り上げ判断 本人任せにせず、管理職が止める
翌日やり直し率・確認漏れ・深夜稼働率の確認 健康経営の施策を実務に接続する
繁忙期における勤務設計と回復機会の確保 深夜残業を一時対応で終わらせない

人事総務・健康経営担当者がこの記事を読む意味は、深夜残業の知識を増やすことではありません。

自社の管理職が、深夜帯の「まだ頑張れる」を見た時に、止める判断と声かけを持てているかを確認することです。

この記事を読んだ方によくある質問

深夜残業を完全にゼロにできない部署でも対策できますか?

はい。完全ゼロを前提にしなくても、高負荷タスクを翌朝へ移す、深夜帯の判断業務を制限する、翌日の勤務調整を行うなど、現実的な対策は可能です。

研修だけで深夜残業は減りますか?

研修だけで制度は変わりません。ただし、管理職が疲労サインを理解し、業務の切り上げ判断や声かけを行えるようになることで、深夜残業の常態化を止めるきっかけになります。

どのような項目を見ればよいですか?

深夜稼働率、翌日のやり直し、確認漏れ、インシデント件数、欠勤傾向、本人アンケートによる睡眠時間や疲労感などを、無理のない範囲で確認します。

どの業種に向いていますか?

情報システム、教育機関、医療・介護、製造、運輸、警備、研究開発、管理部門など、繁忙期や締切前に深夜残業が発生しやすい職場に向いています。

深夜残業の高揚感は、成果ではなく疲労サインとして見る

深夜残業中に「まだ頑張れる」と感じる高揚感は、仕事が順調に進んでいるサインとは限りません。

睡眠不足や高負荷状態によって疲労感が鈍り、本人も周囲も限界に気づきにくくなっている可能性があります。

企業のストレス管理では、個人の努力や根性に頼るのではなく、勤務実態、回復機会、管理職の声かけ、翌日の業務品質まで含めて考える必要があります。

深夜残業によるランナーズハイに似た状態を正しく理解することは、健康経営、労務管理、管理職教育、ストレス管理の実効性を高めるうえで重要です。

深夜残業中の「まだ頑張れる」を止める管理職研修をご検討のご担当者へ

けんこう総研では、深夜残業や長時間労働の中で見えにくくなる疲労サインを、管理職が早めに察知し、声かけ・業務切り上げ・翌日の調整につなげるラインケア研修を行っています。

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参考文献

文責:タニカワ久美子

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