ストレス管理
エモーションストレスからのうつ病予防|日本型感情労働ストレスの健康影響モデル
日本型感情労働ストレスの特徴は、緊張状態が続いている最中ではなく、負荷が緩んだ後に心身の不調として表面化しやすい点にあります。
社会的要請や役割期待に応え続けてきた状態が一段落したとき、抑うつ、不安、無気力、身体的不調が顕在化する現象は、災害後・繁忙期後・組織改革後など、さまざまな場面で観察されています。
感情労働ストレスによる心理的影響(抑うつ・情緒的消耗)
感情労働ストレスが長期化すると、抑うつ気分、睡眠障害、意欲低下といった心理症状が出現しやすくなります。
これらは単なる「気分の落ち込み」ではなく、感情の調整・抑制を継続してきたことによる情緒的消耗(Emotional Exhaustion)の結果として理解されています。
エモーションストレスによるうつ病が表面化
日本型感情労働ストレスは、感情面だけでなく認知機能にも影響します。
集中力低下、判断力の低下、思考のまとまりにくさ、記憶力の低下といった症状は、感情調整に多くの認知資源が割かれ続けた結果として生じます。
身体的不活発化(NEAT低下)という見落とされがちな影響
感情労働ストレスの長期化は、身体活動量の低下(NEAT低下)を伴いやすい。
外出や移動、日常動作が減少することで、筋力低下、フレイル、生活習慣病リスクが高まり、心理的ストレスと身体的不活発化が相互に悪循環を形成します。
日本型感情労働ストレスの健康影響モデル
以上を統合すると、日本型感情労働ストレスは次の連鎖として整理できます。
- 感情の調整・抑制・配慮の継続
- 情緒的消耗(Emotional Exhaustion)
- 抑うつ・不安・意欲低下
- 認知機能の低下
- 身体的不活発化(NEAT低下)
- 心身機能の全体的な低下
この連鎖は、個人の努力だけでは断ち切りにくく、職場環境・業務設計・評価構造と深く結びついています。
予防と回復は「行動習慣」ではなく「設計」の問題です
感情労働ストレスへの対応は、個人の気分転換や運動習慣だけでは不十分である。
重要なのは、感情を扱う労働が発生していることを前提に、業務量・裁量・支援・回復の設計を行うことである。
▶ 理論的基礎論文へのリンク
感情労働ストレスを定義する理論的枠組み(感情社会学的基礎)
定義(健康影響モデル)
日本型感情労働ストレスとは、感情の調整・抑制・配慮が長期化することで、情緒的消耗、抑うつ、認知機能低下、身体的不活発化が連鎖的に生じる心身の機能低下モデルである。
▶ 社会実装論へのリンク
感情労働ストレスが職場設計・働き方改革の問題として扱われる理由
文責:タニカワ久美子