健康経営戦略・KPI・エビデンス
健康経営戦略マップを作るのに役立つフレームワーク― 健康施策を「経営成果につなげる」ための整理方法
こんにちは、けんこう総研代表のタニカワです。
今回は、従業員の健康やエンゲージメントを高め、**企業価値の向上につなげるために欠かせない「健康経営戦略マップ」**の作り方について解説します。
健康経営に取り組む企業が増える一方で、
- 施策は実施しているが、全体像が見えない
- 健康施策と経営目標の関係を説明しにくい
- 戦略マップを作ろうとしても、どこから整理すればよいか分からない
といった声を多く耳にします。
健康経営戦略マップは、これらの課題を整理し、健康経営を「経営の言葉」で説明するためのツールです。
健康経営戦略マップとは
健康経営戦略マップとは、
従業員の健康を「経営資源」と位置づけ、健康施策がどのように経営課題や事業目標につながるのかを可視化したものです。
健康診断やメンタルヘルス対策などの個別施策を並べるのではなく、
- 経営課題
- それに関連する健康課題
- 課題を解決する具体的な施策
成果を測る指標
を一つの流れとして整理する点が特徴です。
経済産業省の健康経営ガイドラインでも、
健康経営を「戦略として整理し、評価・改善すること」が重視されています。
健康経営戦略マップが必要とされる理由
健康経営が停滞する多くの原因は、
「何のためにやっているのか」が組織内で共有されていないことにあります。
- 戦略マップを作成することで、
- 健康施策の目的が明確になる
- 経営層・管理職・現場の認識をそろえやすくなる
評価・改善の軸ができる
といった効果が期待できます
健康経営戦略マップ作成に役立つ6つのフレームワーク
健康経営戦略マップは、既存の経営フレームワークを活用することで整理しやすくなります。
ここでは、実務で使いやすい代表的な6つをご紹介します。
1. バランスト・スコアカード (BSC: Balanced Scorecard)
バランスト・スコアカードは、
財務だけでなく「顧客」「内部プロセス」「学習と成長」の視点から、経営を評価するフレームワークです。
健康経営では、従業員の健康や働きやすさを
「内部プロセス」や「学習と成長」の視点に位置づけることで、
経営成果とのつながりを説明しやすくなります。
- 生産性向上や欠勤率低下が、どのように業績に影響するか
- 従業員満足度の向上が、組織の安定につながるか
といった整理に役立ちます。
2. PDCAサイクル (Plan-Do-Check-Act)
健康経営は、一度施策を導入して終わりではありません。
PDCAサイクルを戦略マップに組み込むことで、継続的な改善の流れを可視化できます。
Plan:健康課題をもとに目標と施策を設定
Do:施策を実施
Check:指標を使って効果を確認
Act:次の改善につなげる
この流れを明示することで、「やりっぱなし」を防ぎます。
3. リターン・オン・インベストメント (ROI: Return on Investment)の考え方
健康経営は「コスト」ではなく「投資」として捉えることが重要です。
ROIの考え方を用いることで、健康施策の費用対効果を整理できます。
- 健康施策にかかったコスト
- 欠勤率低下、医療費削減、生産性向上といった効果
を整理し、経営判断につながる説明が可能になります。
4. KPI(重要業績評価指標)
戦略マップでは、成果を測る指標が欠かせません。
健康経営における代表的なKPIには、次のようなものがあります。
- 欠勤率・休職率
- 健康診断結果の改善状況
- ストレスチェック結果
- 離職率
これらを経営目標と結びつけることで、進捗管理がしやすくなります。
5. カスケード戦略
カスケード戦略は、
経営目標を組織全体へ段階的に落とし込む考え方です。
- 経営層が健康経営の方向性を示す
- 部門ごとに具体的な健康課題を設定
- 現場で実行可能な施策に落とし込む
戦略マップにこの構造を組み込むことで、
「経営の話」と「現場の取り組み」をつなぐことができます。
6. サスティナビリティの視点
健康経営は、短期的な成果だけでなく、
企業の持続的成長を支える基盤でもあります。
ESGや人的資本経営の視点から、
従業員の健康が長期的な競争力や企業価値にどう寄与するかを整理することも、戦略マップの重要な役割です。
健康施策を戦略マップに落とし込むポイント
戦略マップでは、次のような健康施策を
経営課題との関係が分かる形で整理します。
- 健康診断・保健指導
- メンタルヘルス対策
- ストレス管理研修
- 職場環境改善
施策そのものではなく、
「何を改善し、どんな成果につなげるのか」を明確にすることが重要です。
健康経営戦略マップは“作って終わり”ではありません
健康経営戦略マップは、
企業が従業員の健康に投資し、その効果を継続的に確認・改善するための道具です。
作成した後に、
- 定期的に見直す
- 現場の状況に合わせて修正する
- 担当者だけで抱え込まない
ことが、実効性を高めるポイントになります。
けんこう総研の支援について
けんこう総研では、
戦略マップの考え方を踏まえた健康経営研修や、月次伴走型のフォローアップ支援を行っています。
「戦略マップを作ったが、運用が止まっている」
「これから作りたいが、整理の仕方が分からない」
といった場合も、実務に即した支援をしています
