ユーストレス(良性ストレス)
EustressとDistressの評価: MEDS尺度の開発
ユーストレス(Eustress)とディストレス(Distress)を
理論的に区別するだけでなく、
心理学的に「測定可能な概念」として扱う試みは、
近年のストレス研究において重要なテーマとなっています。
MEDS尺度
(Measure of Emotional, Physical, and Behavioral Markers of Eustress and Distress)
は、ストレス反応を
感情的・身体的・行動的側面から多面的に評価するために開発された心理尺度です。
本稿では、MEDS尺度の構成と理論的背景を整理し、
ユーストレスとディストレスの評価研究における位置づけを概観します。
研究論文紹介
現代社会では、快ストレス(Eustress)と不快ストレス(Distress)の識別が、個人のウェルビーイングとパフォーマンスへの理解を深める上で重要です。この文脈で、MEDS(Measure of Emotional, Physical, and Behavioral Markers of Eustress and Distress)尺度の開発が注目されています。本稿では、MEDS尺度の概要と、ストレスの感情的、身体的、行動的指標の評価におけるその有効性について掘り下げます。

EustressとDistress:ストレスの両面を測定するには評価尺度が肝心です。
この研究はポジティブなストレスとネガティブなストレスの区別に焦点を当て、学術的および組織的な環境での応用可能性を探求しています。
MEDSストレス尺度の概要
MEDS尺度は、18項目から構成され、
ストレス経験が
ポジティブ(快)かネガティブ(不快)かを識別することを目的としています。
本尺度は、
・感情的指標
・身体的指標
・行動的指標
の3側面からストレス反応を捉える点に特徴があります。
ストレスの感情的・身体的・行動的指標
ストレス反応は、
単なる主観的感情にとどまらず、
身体反応や行動傾向としても現れます。
MEDS尺度は、
これら複数の反応次元を統合的に評価することで、
ストレスの「質的な違い」を把握することを可能にしています。
Lazarusの認知-トランザクションモデル
Lazarusのモデルによると、ストレスは環境的要因と個人の対処能力との間の相互作用として理解されます。このモデルは、ストレス耐性(レジリエンス)がどのようにしてストレスの知覚を形成し、快または不快ストレスへと導くかを説明しています。
Selyeのストレス概念
Selyeは、
ストレスを刺激に対する非特異的反応として捉え、
同じ刺激であっても
適応的(Eustress)にも
非適応的(Distress)にもなり得ることを示しました。
この二分法は、
MEDS尺度における快・不快ストレスの区別の基礎となっています。
ラザルスの認知的評価モデル
Lazarusの認知―トランザクションモデルでは、
ストレスは環境要因と個人の認知的評価との相互作用として理解されます。
この視点は、
同一のストレッサーが
ユーストレスにもディストレスにもなり得る理由を説明する理論的枠組みを提供します。
ストレスを
「感じ方」や「印象」だけで捉えるのではなく、
どのように評価し、区別するかという視点は、
ユーストレスとディストレスを理解するうえで欠かせません。
こうした評価の考え方は、
健康経営や組織におけるストレスの扱い方を考える際の
理論的な基盤となります。