「心」「カラダ」を支えるけんこう総研ストレスマネジメント

有酸素運動によるストレス軽減する方法|職場で続く実践ガイド

ニュース&トピックスNews & Topics

/ HOME / ニュース&トピックス / ストレス性痛み・コリ改善(セルフケア/タニカワメソッド)

ストレス性痛み・コリ改善(セルフケア/タニカワメソッド)

有酸素運動によるストレス軽減する方法|自律神経・コルチゾールの科学と職場で続く実践ガイド

こんにちは、けんこう総研代表のタニカワ久美子です。
健康経営の現場で「ストレス対策」を設計する際、実装難度が低く、効果の再現性が高い選択肢の一つが有酸素運動です。

本記事では、運動生理の観点から「なぜ有酸素運動がストレスに効くのか」を整理し、**職場・生活に落とし込める実践ルール(強度・時間・頻度・逆効果回避)**までを一つにまとめます。
参考にするのは、有酸素運動とストレス軽減の関係を概観したレビュー(De Geus & Stubbe, 2007)を軸に、健康経営に必要な“運用設計”に翻訳した内容です。


有酸素運動とは何か(ストレス対策で扱う定義)

有酸素運動は、酸素を使ってエネルギーを作りながら継続できる運動です。代表例は次の通りです。

  • 速歩(早歩き)
  • 軽いジョギング
  • サイクリング
  • 水泳
  • エリプティカル、軽めのエルゴメーター など

ストレス対策で重要なのは「運動種目」よりも、身体反応を“回復側”へ寄せる運動強度で、一定時間続けることです。


ストレス反応は「自律神経」と「ホルモン」で立ち上がる

ストレスは、心理的・身体的な要求に対する反応です。
短期的には、交感神経が働き、心拍・血圧を上げ、集中・行動を促します。さらにコルチゾールなどのホルモンが関与し、危機対応を支えます。

問題は、この状態が長く続いた時です。
慢性的なストレス状態では、睡眠・疲労・血圧・免疫・気分が崩れやすくなり、職場では**プレゼンティーズム(出勤しているのに生産性が落ちる)**として表面化します。


なぜ有酸素運動でストレスが軽くなるのか(3つの作用)

1)自律神経の“戻り”が良くなる

有酸素運動は、交感神経の過剰な優位を引きずった状態から、回復(副交感神経が働ける状態)に戻りやすい身体条件を作ります。
結果として、心拍や血圧の過剰反応が“整いやすく”なります。

2)気分・痛覚に関わる神経系が動く

運動後に気分が軽くなる、スッキリする、という体感には、脳内物質の変化(例:エンドルフィンなど)が関与します。
重要なのは「気合い」ではなく、生理反応として“気分が戻る回路”を使っている点です。

3)「できた」がストレス耐性の土台になる

有酸素運動の価値は、身体反応だけではありません。
継続できる強度で運動を積むと、「やれた」「続けられた」という自己効力感が作られ、ストレス対処の選択肢が増えます。
健康経営ではここが効きます。研修で知識を入れても行動が変わらない問題を、運動の“実施”で突破しやすいからです。


実践ガイド:ストレス軽減に効く運動処方(強度・時間・頻度)

ここからが本題です。
「ストレス軽減のための有酸素運動」は、トレーニングではなくコンディショニングです。狙うのは“追い込み”ではありません。

強度の目安(最重要)

  • 会話ができる強度(息は上がるが、話せる)
  • 心拍の目安を使うなら「最大心拍の50〜70%」付近を基準にする
    ※個体差が大きいので、現場運用では「会話できる」が最も事故が少ない

時間の目安

  • 10〜20分から開始(短くて良い)
  • 慣れてきたら20〜30分へ延長

頻度の目安

  • 週2回 → 週3回へ
  • 「毎日やる」より、「週2〜3回を崩さない」が先

運動嫌い・運動習慣ゼロでも効果はあるのか?

結論:ある。だが“入口設計”が全てです。
レビュー論文は様々な研究結果を概観する形で、有酸素運動のストレス軽減効果を支持しています。一方で、レビューの性質上、対象者や条件は研究ごとに異なります。つまり「誰にでも同じだけ効く」と言い切るより、健康経営としては次を押さえるのが正確です。

  • 初期は「強度が高すぎる」と逆効果になりやすい
  • だからこそ、軽めで“継続できる”強度が合理的
  • 運動習慣ゼロほど、まずは**成功体験(できた)**を優先する

逆効果を防ぐ:やってはいけない設計

有酸素運動は、やり方を間違えると「ストレス対策」ではなく「ストレス増幅」になります。代表的な失敗は以下です。

  • 最初から追い込む(息が上がりすぎる、翌日だるい)
  • “毎日必須”にして自責を増やす(できない→自己否定)
  • 時間を長くしすぎて生活を圧迫する(睡眠・家事と衝突)
  • 運動を評価・競争にする(比較ストレスが増える)

健康経営の運用では、継続率がKPIです。パフォーマンスではありません。


職場で回る運用モデル(健康経営向け)

① ルールは2行だけにする

  • 週2回、10分の速歩から
  • 会話できる強度で

② 実施タイミングを固定する

  • 昼休み後、15時前、退勤前のいずれか
  • 固定しないと定着しません

③ 記録は「実施/未実施」だけ

体重や心拍の細かい記録を最初から求めると、離脱率が上がります。
最初は続いたかどうかだけで十分です。


よくある質問

Q. どの運動が一番いい?

最適解は「続くもの」です。
ストレス対策では、種目よりも強度と継続性が勝ちます。

Q. 週1回でも意味はある?

ゼロよりは意味があります。ただし効果を安定させるには、まず週2回に設計してください。

Q. 運動すると逆に疲れる人は?

強度過多か、睡眠・栄養・回復が崩れている可能性が高いです。
「会話できる強度」に落とし、10分から再設計してください。


まとめ:有酸素運動は「ストレス反応を整える」現場実装技術

有酸素運動は、ストレス反応(自律神経・ホルモン)に介入でき、気分と疲労の戻りを作りやすい方法です。
ただし健康経営として成功させる鍵は、運動理論ではなく**運用設計(強度を上げない・短く始める・固定する・評価しない)**です。

けんこう総研では、職種・勤務形態・現場制約に合わせて、ストレス管理の一部として有酸素運動を組み込み、定着まで伴走する健康経営支援を提供しています。
研修・制度設計・運用のご相談はお問い合わせフォームよりご連絡ください。


参考文献

De Geus, E. J. C., & Stubbe, J. H. (2007). Aerobic exercise and stress reduction. In G. Fink (Ed.), Encyclopedia of Stress (pp. 73–78). Academic Press.

夜間・土日祝の無料相談も随時受け付けております。
まずはお気軽にお問い合わせください。