健康経営
健康経営で知っておくべき感情労働とメンタルヘルス|忙しい職場でも“後回しにしない”ための考え方
「忙しくて手が回らない」
その声こそが、健康経営の出発点です
「タニカワ先生、いやもう忙しくって、なかなか手がつけられなくて……」
これは、健康経営や働き方改革に取り組もうとする
総務・人事ご担当者から、実際によく聞く言葉です。
健康経営に限らず、
時間に余裕がある状態で新しい施策を始められる職場は、ほとんどありません。
多くの担当者は、既存業務を抱えながら、
同時並行で健康経営を進めています。
だからこそ重要なのは、
「完璧にやろうとしないこと」
そして
本当に押さえるべきポイントを間違えないことです。
健康経営の第一歩は「やりがい」と「感情」に目を向けること
健康経営というと、
制度、数値、ストレスチェック、研修……
やるべきことが多く、負担に感じやすいものです。
しかし本質は、とてもシンプルです。
社員が日々の仕事の中で、
無理なく力を発揮できる状態を支えること
人は誰でも、
「楽しみ」や「意味」を感じられることには、
忙しくても時間を割きます。
一方で、
やりがいを感じられない業務や、
感情を押し殺し続けなければならない仕事は、
知らないうちに心身を消耗させていきます。
ここに深く関わってくるのが、感情労働です。
感情労働とは何か
― 見えにくいストレスの正体 ―
感情労働とは、
業務の中で自分の感情を調整し、
求められる態度や表情を保ち続ける働き方を指します。
たとえば、
- クレーム対応
- 対人支援・サービス業務
- 管理職としての板挟み
- 感情を出せない職場文化
これらはすべて、感情労働の一例です。
感情労働の特徴は、
頑張っているほど、外からは不調が見えにくいことです。
そのため、ストレスチェックで「高ストレス」に該当しないまま、
静かに消耗していくケースも少なくありません。
メンタルヘルス対策と「予防としての健康経営」は別物です
ここで、重要な区別があります。
メンタルヘルス対策をする健康経営と
メンタルヘルス不調を生まない健康経営は、同じではありません。
- 不調が表面化してから対応する
- 数値や基準だけで判断する
これらは、必要ではありますが、予防ではありません。
感情労働が蓄積した結果として現れるのが、
不眠、慢性疲労、集中力低下、意欲低下などです。
これらは一見バラバラに見えますが、
感情の負荷という一本の線でつながっていることが多いのです。
忙しい職場だからこそ必要な「共通項」の視点
「一人ひとりに丁寧に対応する時間がない」
これは、多くの現場で共通する悩みです。
だからこそ健康経営では、
個別対応だけに頼らない視点が必要になります。
- どの部署で、どんな感情の負荷がかかっているか
- どんな場面で、我慢が常態化しているか
- 職場として、声を出しにくくなっていないか
こうした「共通項」を見つけることで、
限られた時間でも、効果的な打ち手が見えてきます。
感情労働への対応は「特別な施策」ではありません
感情労働への配慮というと、
特別な制度や大がかりな施策を想像しがちです。
しかし実際には、
- 管理職の声かけの質
- 無理を前提にしない業務設計
- 感情を共有できる場の有無
といった、日常の職場運営そのものが大きく影響します。
健康経営とは、
新しいことを増やすことではなく、
今ある働き方を見直すことでもあります。
健康経営担当者が一人で抱え込まないために
感情労働やメンタルヘルスの問題は、
担当者一人の努力で解決できるものではありません。
問題の背景を整理する
共通項を見つける
職場全体で取り組む
この流れをつくること自体が、健康経営です。
「忙しくてできない」
のではなく、
忙しいからこそ、仕組みとして考える。
それが、持続可能な健康経営につながります。
まとめ
― 健康経営は「余裕ができてから」では遅い ―
- 感情労働は、見えにくいが確実に蓄積する
- メンタルヘルス対策と予防は別物
- 共通項に目を向けることで、時間がなくても進められる
健康経営は、
余裕がある企業だけの取り組みではありません。
むしろ、
忙しい職場こそ、感情と向き合う視点が必要です。
それが、
社員のパフォーマンスを守り、
組織を持続させるための健康経営です。