健康リーダー応援コラム
自分のメンタルはやられない!と過信していませんか
2021年6月20日更新
心理学者のピュリアスは、教師の教え方は個性によるものが多いと言っています。教師の成長は、
その教師の個性や信念といった、人間としての奥深さや豊かさに関わっているそうです。確かに、学校は人間教育の場です。教師と学生との人間的なふれ合いや心の交流は信頼関係が大きな意味を持つことは少なくありません。どの小学校、中学校だけでなく高校や時に大学でさえも学生は、さまざまな場で教師から影響を受けています。教師の教師と言う四角四面の杓子定規のようなありきたりな言葉かけよりも、人間味あふれる一言が、学生に生きる意欲を与えます。現在、学生への教育は、教師個々人の経験値や、資質や能力の差としてだけで捉えられてはいないでしょうか?
教員の資質は、感情労働の管理力の差であらわれる
アメリカの社会学者でホックシールド博士が、1983年に「感情労働」という労働形態を唱えました。感情労働とは、おもに対人サービス業に従事して働いている人が、お客さまに居心地の良い気持ちにさせてあげるために、先ず自分の本当の感情を抑制させなければならない業務のことを感情労働に分類されます。航空会社のCAさんや、テーマパークの従業員には笑顔が必要不可欠です。笑顔などのように業務上必要な感情を感情規則と呼びます。そのため感情労働に従事する職業の方々は、感情を押し殺してお客様の抱く感情を大切にして働くことになります。「お客様の抱く感情を大切にして働く感情労働」は、言い換えると「お客様第1主義」「おもてなし文化」が地盤となっている日本だからこその労働分野でもあります。業務内容に応じて適切な感情をつくりだしていかなければならない状況や、お客様の理不尽な要求にも笑顔で応えなければならないといった時も、不適切な感情をあからさまに顔には決して出せません。サービス業の勤務者としての資質や能力に関わる重要な問題として認知されてしまっているのが実情です。しかし、感情労働で働くことは、雇用者側の感情規則によって他律化され、強制され、「自己感情からの疎外」させようと接遇研修などで従業員に思い込ませてはいないでしょうか。これは大きな間違いです。そしてこの思い込みによってサービス業は私に向いていないと、離職する新入社員はすくなくありません。
教員の資質と誤解されがちな学生やPTAに対する対応を「感情労働」という視点から見ると
感情労働という、他の労働形態を異なる特性をもつっていることをご理解いただけたでしょうか。では感情労働職業の教員の戦略的行為を、こりからケースでお話しします。教育者と言う立場の感情労働には、聖職者としてのイメージで捉えられてしまいます。無自覚で職場を1歩離れて、私人になっても教員というイメージに対応して、「このように感じなければならない」という一種のルールにしたがって生活をおくることはないでしょうか。たとえば、授業以外の部活動でも学生の話に、真剣に耳を傾けて丁寧に言葉を返してますよね。大学や専門学校で非常勤講師をしている私でも、校外で会った学生にはそういう言動をとります。教員は学生とのかかわり合いで、「そうすべきである」、「そしなければならない」という感情規則にしたがって誰に対してもフラットでいつづける精神状態での業務を強いられています。
社会学者ホックシールドは、教職員などの感情労働に従事している方々の心の管理を「感情操作」と定義づけました。「印象操作」という言葉があります。印象操作は、服装や髪形で第一印象をよくみせるための操作のことです。感情操作は、すっぴんの素顔な心ではなく、心に印象操作をさせることを言います。本心が見えないようにお化粧をして、教員としての感情規則に基づいた感情作業を学生らに行うことを言います。
勤務中はいつも無自覚で感情管理として感情操作を行っているとメンタルヘルス不調へと繋がっていきます。素の心である本心を管理抑制させる感情管理の方法として、表層演技と深層演技があります。表層演技とは、終始、笑顔でいるといった外見上の感情を意識的に変えることを言います。深層演技とは、表層演技をしながら学生や保護者らに適切な説明をつたえる高度なコミニュケーションスキルが必要となってきます。そのため作り笑顔や、スーツで外見を装う程度では深層演技はできないのです。意識的につくった感情を適切に表現することが要求される難しい職業と言えます。
感情労働は、単なる感情の管理業務ではありません。感情労働におけるメンタルヘルスは、非常にセンシティブです。教員の自我を蝕み、教員自らがご自身を傷つけるリスクが他業種よりも高くあります。先生は職務遂行に当たって、葛藤状態に陥った経験はありませんか?感情管理を行うこと自体がストレスとなることもあります。
正しいストレス解消で仕事のONとOFFを切り替えましょう
認知的技法で、自分の感情状態を変えてましょう。認知的技法とは心理学療法の一種でご自身の保持する理念や考えを変化させることを目的としています。第二は深呼吸をしましょう。深呼吸によって身体的生理的徴候を整えます。さあ、今日は暑くなりそうですが、梅雨独特の暑さの環境ストレスに負けずに健やかにお過ごしください