運動負荷と心理的ストレス反応を分析した研究発表

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運動負荷と心理的ストレス反応を分析した研究発表

この研究・倫理・学術活動カテゴリーでは、運動負荷と心理的ストレス反応に関する研究発表内容について解説します。

同じストレス管理に関する記事でも、本記事は具体的なストレス対策の方法ではなく、運動習慣の有無、活動強度、顕在性不安の違いが、ストレスレベルや心拍数にどう表れるかを分析した研究記録に焦点を当てています。

人事総務・健康経営担当者が、職場の運動施策や研修設計を検討する際の参考になる視点で整理します。

運動負荷と心理的ストレス反応に関する研究発表の記録
運動負荷と心理的ストレス反応の分析は、職場の健康経営施策やストレス管理研修を設計するうえで重要な視点になります。

運動負荷と心理的ストレス反応を研究する意味

職場の健康経営では、運動習慣づくりや身体活動の促進がよく取り上げられます。

しかし、運動がすべての人に同じような効果をもたらすわけではありません。

運動習慣がある人とない人では、同じ活動でも負荷の感じ方が異なる可能性があります。

また、顕在性不安が高い人では、運動時の心拍数やストレス反応が強く表れる可能性もあります。

そのため、職場で運動施策を導入する場合は、「運動は健康によい」という一般論だけではなく、活動強度、運動習慣、心理状態の個人差を踏まえて設計する必要があります。

日本ストレス学会での研究発表の位置づけ

本記事では、日本ストレス学術総会で発表した研究内容のうち、運動習慣の有無、活動強度、顕在性不安とストレス反応に関する分析部分を整理します。

ここで扱う内容は、研究活動の一部であり、すべての職場やすべての社員にそのまま当てはめるものではありません。

ただし、健康経営やストレス管理研修を設計するうえで、運動負荷を一律に扱わない視点は重要です。

特に、運動が苦手な社員、不安が高い社員、体力に自信がない社員がいる職場では、運動施策の強度や進め方に配慮する必要があります。

1MET活動時のストレスレベルを比較した結果

まず、運動習慣の有無によって、10時30分から10時57分までの1MET活動時におけるストレスレベルに違いが見られるかを確認しました。

METとは、身体活動の強度を表す単位です。1METは安静時に近い活動強度を示します。

この比較では、マン・ホイットニーU検定を用いました。

比較項目 運動習慣あり群 運動習慣なし群 検定結果
ストレスレベル中央値 38.0 38.0 有意差なし
U統計量 583.5 p = 0.737

この結果では、運動習慣あり群と運動習慣なし群の間に統計的な有意差は認められませんでした。

1MET程度の軽い活動では、運動習慣の有無による短時間のストレスレベルの差は明確には表れにくい可能性があります。

ただし、この結果だけで「軽い活動はストレスに影響しない」と断定することはできません。

測定時間、対象者数、測定環境、ストレス指標の種類、対象者の体調などを含めて慎重に解釈する必要があります。

2〜3MET活動時のストレスレベルを比較した結果

次に、10時57分から11時12分までの2〜3MET活動時におけるストレスレベルを比較しました。

2〜3METは、軽度から中程度の身体活動にあたります。

この比較でも、マン・ホイットニーU検定を用いました。

比較項目 運動習慣あり群 運動習慣なし群 検定結果
ストレスレベル中央値 46.0 52.0 有意差なし
U統計量 91.5 p = 0.284

運動習慣なし群の中央値は52.0で、運動習慣あり群の46.0より高い値を示しました。

しかし、統計的には有意差は認められませんでした。

この結果から、軽度から中程度の活動時に、運動習慣の有無が即時的なストレスレベルへ明確な差として表れるとは限らないことが示されました。

一方で、中央値には差が見られているため、今後は対象者数、活動時間、活動強度、測定タイミングをさらに整理して検討する必要があります。

活動強度だけでストレス反応を判断しない

1MET活動、2〜3MET活動のいずれにおいても、運動習慣の有無による明確な有意差は確認されませんでした。

この結果は、職場の運動施策を考えるうえで重要です。

活動強度が低いから安心、活動強度が高いから危険、と単純に分けることはできません。

同じ活動でも、本人の運動経験、不安の高さ、疲労、睡眠、体調、職場環境によって、負荷の受け止め方は変わります。

人事総務・健康経営担当者は、活動強度だけでなく、参加者の状態や安心感を含めて施策を設計する必要があります。

顕在性不安の段階別に心拍数を比較した結果

次に、顕在性不安の段階別に、運動時の心拍数に違いが見られるかを確認しました。

ここでは、顕在性不安の段階をI度、III度、IV度、V度の4群に分け、クラスカル・ウォリス検定を用いて比較しました。

顕在性不安とは、本人が自覚しやすい不安傾向を指します。ここでは、心理状態の違いが運動時の心拍数にどう表れるかを見るための分類として扱っています。

顕在性不安の段階 心拍数中央値
高不安群(I度) 74.0
標準群(III度) 70.0
低不安IV度群 73.5
低不安V度群 62.5

クラスカル・ウォリス検定の結果、H値は48.40、p値は1.75e-10となり、群間に統計的な差が認められました。

特に、高不安群の心拍数中央値は74.0であり、低不安V度群の62.5と比べて高い値を示しました。

この結果は、顕在性不安の違いが、運動時の心拍数に関係する可能性を示しています。

ただし、この結果だけで、不安が高い人は必ず運動時に心拍数が上がると断定することはできません。

心拍数には、年齢、体力、運動経験、睡眠、疲労、測定時の緊張、測定環境など、多くの要因が関わります。

顕在性不安と運動時心拍数の関係をどう見るか

本分析では、顕在性不安の段階によって運動時心拍数に差が見られました。

これは、職場の健康支援を考えるうえで大切な視点です。

運動を行うと、心拍数は自然に上がります。

しかし、不安が高い人では、心拍数の上昇や息の弾みを「つらい」「怖い」「体に異常があるのではないか」と受け止める場合があります。

そのため、職場で運動を取り入れるときは、心拍や呼吸の変化が自然な反応であることを事前に説明し、無理をしない選択肢を用意することが重要です。

研究結果を職場施策にそのまま当てはめない

研究結果は、職場施策を考えるための重要な材料になります。

しかし、研究結果をそのまま一般化して、全社員に同じ施策を当てはめることは避ける必要があります。

特に、運動とストレス反応に関する施策では、個人差への配慮が重要です。

研究で見えた視点 職場施策での注意点
軽度活動では運動習慣の有無による差が明確ではなかった 軽い活動でも、本人の体調や心理状態を確認する
2〜3MET活動でも有意差は認められなかった 活動強度だけで効果や負荷を判断しない
顕在性不安の段階で心拍数に差が見られた 不安が高い社員には、運動中の身体反応への説明と配慮が必要
中央値に傾向があっても有意差が出ない場合がある 数値を断定的に使わず、継続的な確認と再評価を行う

人事総務・健康経営担当者にとって重要なのは、研究結果を「正解」として使うことではありません。

職場で何に配慮すべきかを考える材料として活用することです。

職場の運動施策では、不安が高い人への配慮が必要

職場でストレッチ、ウォーキング、体操、健康運動セミナーなどを行う場合、参加者の中には運動に不安を感じる人がいます。

そのため、運動施策では次のような配慮が必要です。

  • 全員に同じ強度の運動を求めない
  • 座ったまま参加できる選択肢を用意する
  • 途中で休めることを事前に伝える
  • 心拍や呼吸の変化は自然な反応であると説明する
  • 体調に不安がある場合は無理をしないよう案内する
  • 運動量や数値を社員同士で比較しない

運動施策の目的は、社員を追い込むことではありません。

社員が自分の心身の状態に気づき、無理なく健康行動を選べるようにすることです。

タニカワ久美子の研修では、研究知見を現場の言葉に置き換える

タニカワ久美子のストレス管理研修では、運動負荷、顕在性不安、心拍数といった研究上の視点を、社員が理解しやすい言葉に置き換えます。

たとえば、心拍数の変化は「体が活動モードに入っているサイン」と説明します。

不安が高い人への配慮は、「運動が苦手な人にも安心して参加できる設計」として伝えます。

また、研修では座学だけでなく、呼吸を整える時間や軽いストレッチを取り入れ、参加者が自分の体の反応に気づけるようにします。

人事総務の担当者からも、研究知見を職場で使える言葉に置き換え、研修設計に反映する点を評価されています。

人事総務が押さえたいポイント

運動負荷と心理的ストレス反応の研究発表から、人事総務・健康経営担当者が押さえたい点は次のとおりです。

  • 運動習慣の有無だけで、短時間のストレス反応を説明できるとは限らない
  • 活動強度だけで、運動施策の効果や負担を判断しない
  • 顕在性不安の高さは、運動時の心拍反応に関係する可能性がある
  • 運動施策では、体力差だけでなく心理的な不安にも配慮する
  • 研究結果は断定ではなく、職場施策を設計するための判断材料として使う

この視点を持つことで、職場の運動施策やストレス管理研修は、全員一律ではなく、社員の状態に配慮した内容に近づきます。

まとめ:運動負荷とストレス反応は個人差を前提に見る

本研究発表では、運動習慣の有無による1MET活動時、2〜3MET活動時のストレスレベルを比較しました。

いずれの比較でも、運動習慣の有無による統計的な有意差は認められませんでした。

一方で、顕在性不安の段階別に運動時心拍数を比較した分析では、群間に統計的な差が認められました。

この結果は、職場の運動施策を考える際に、活動強度や運動習慣だけでなく、心理状態や不安の高さも考慮する必要があることを示しています。

人事総務・健康経営担当者に求められるのは、運動施策を一律に導入することではありません。

社員の体力差、不安、運動経験、心身の反応に配慮しながら、安心して参加できる健康支援を設計することです。

研究知見にもとづく健康経営施策を設計したいご担当者様へ

けんこう総研では、運動負荷、心理的ストレス反応、顕在性不安などの研究知見を、社員が理解しやすい健康経営施策やストレス管理研修に置き換えて提供しています。職場の実情に合わせ、無理なく参加できる施策として設計します。

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