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ストレス研究memo

タニカワ久美子のストレス管理研究memoVol.146

2024年10月6日更新

お元気ですか?けんこう総研のタニカワ久美子です。
一昨日、きのうにひき続き、今日の3日連続で心拍変動についてのストレスに関連する研究論文の解説をしています。
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ストレス管理研究イメージ写真

心配や不安が心拍変動(HRV)の低下に与える影響を解説した研究。心配が副交感神経の機能を低下させ、長期的な心身の健康リスクを高めることが示唆されています。HRVはストレス管理の重要な指標であり、心配をコントロールし健康を維持するための介入が必要です。HRVを高める方法についても詳述。

今日の研究論文

さて本日3日目の今日の研究論文は、2016年のChalmers氏らが発表した「Worry is associated with robust reductions in heart rate variability: A meta-analysis(心配は心拍変動の顕著な減少と関連している:メタ分析)」です。
この論文は、心配や不安が心拍数変動(HRV)を減少させる、言い換えると不安が交感神経系を活性化させ、心拍数を上昇させることを明らかにした論文です。
原著論文は、こちらからご覧になれます。

心拍変動は副交感神経系の活動を反映する指標

心拍変動は、自律神経系の、特に副交感神経系の活動を反映する指標であり、HRVの低下が心血管系のリスク増加やメンタルヘルスの悪化に関連しているという理論に基づいています。
それでは初めていきましょう。

ポイント1. 心拍変動(HRV)の役割

HRVは、心拍数の変動の大きさを指します。健康な状態では高いHRVが見られます。これは、副交感神経系が十分に機能しており、ストレスに対して柔軟に反応できることを意味しています。

ポイント2. 心配とHRVの関係

心配は、持続的なストレス反応を引き起こし、HRVを減少させる可能性があります。HRVの低下は、ストレスや不安が長期間続くと心身に悪影響を与える可能性があることを示唆しています。Chalmers氏らは、心配がHRVにどの程度の影響を与えるかをメタ分析によって評価しました。

Chalmers氏らが使用したメタ分析の手法としては効果サイズの統合(effect size aggregation)でした。

メタ分析とは

複数の独立した研究の結果を統合し、全体的な結論を導き出す統計的手法
メタ分析は、研究間のばらつきを考慮に入れ、各研究のサンプルサイズや効果サイズに基づいて、全体的な「効果」を定量化します。

効果サイズの統計的検定

・Hedges’ g(効果サイズ)
各研究における心配とHRVの関係を標準化して表す指標。

・Q統計量
異質性を評価するための統計量。

・I²統計量
異質性の程度をパーセンテージで示し、各研究の結果のばらつきを示す指標。

 

ポイント3. メタ分析の結果

この研究で、複数の研究を統合して解析した結果、心配は一貫してHRVの顕著な減少と関連していることが示されました。具体的には、心配が多い人ほどHRVが低く、副交感神経系の機能が低下していることがわかりました。この結果は、心配が心身の健康に長期的に悪影響を与えるリスクを示しています。

ポイント4. 臨床的な意味合い

HRVの低下は、心疾患や精神疾患のリスクを高めることが知られており、心配や不安が持続するとこれらのリスクが増加する可能性があります。心配を減少させることでHRVを改善し、健康を維持するための介入が重要であることを強調しています。

タニカワの論想

心拍変動(HRV)の低下が心配や不安とどのように関連しているかを考えると、少し怖い気もしますよね。でも、ここで少し息をついてみましょう。心配や不安は誰にでもありますが、それが長期的に続くと、私たちの体に確かに悪影響を及ぼすリスクとなります。この研究から得られた結果は、心身の健康を守るためには心配をコントロールすることが、とても重要ですね。

HRVは、健康のバロメーターと言っても過言ではありません。心配を減らし、副交感神経の機能を改善することで、心拍変動を高めることはできます。少しずつでもストレスを減らすための軽運動などを取り入れ、心のケアを大切にすることで、ストレス管理をして健やかな一日をおくれますように。今日も健やかに。

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