ストレス研究memo
タニカワ久美子のストレス管理研究Vol.144
2024年10月4日更新
ストレス管理の研究の問題と目的
背景
ストレスが人々の健康や生活に及ぼす影響は広範であり、特に職場環境におけるストレスは、従業員のパフォーマンスや健康に直接的な関係があります。
特にデスクワーカーは、運動不足が顕著であり、その結果、慢性的なストレスに晒されるリスクが高くなることが指摘されています。
心拍変動(HRV)やコルチゾールといった生理的指標がストレスに対する体の反応を示すことから、近年、生理的データをリアルタイムで収集・分析できるウェアラブルデバイスを用いてストレス管理の新たなアプローチが急速に進んでいます。
問題
多くの研究で、運動がストレス軽減に効果的であることが示されています。しかし、運動がすべての人にとって同様に有効であるわけではなく、個人の運動習慣や心理的状況によって反応が異なる可能性があることも示唆されています。特にデスクワーカーにおいては、座りがちな生活習慣が、慢性的なストレスと関連していることが知られています。
この問題に対して、現在までの研究では、運動とストレスの関係について一律の指導やプログラムが多く、個別の状況や特性に応じたアプローチが不足している点が指摘されています。従って、運動がストレス軽減に寄与するかどうかは個人差があり、その違いを明確にする必要があります。
研究目的
本研究は、ウェアラブルデバイスを使用し、デスクワーカーのストレスレベルと心拍変動(HRV)との関連を評価することを目的としています。
さらに、運動習慣の有無が顕在性不安度にどのような影響を与えるかを検討し、個別化されたストレス管理プログラムの基盤を提供することを目指します。
本研究の主な目的は、デスクワーカーのストレス管理に関して、運動習慣と生理的ストレス反応(心拍変動とストレスレベル)との関連を明らかにすることです。具体的には、以下の2つの点に焦点を当てます。
1. デスクワーカーにおける顕在性不安が勤務中の運動を介したストレスレベルおよび心拍変動に及ぼす影響の解明
本研究では、デスクワーカーの顕在性不安が勤務中における運動を通じて、ストレスレベルおよび心拍変動(HRV)にどのように影響を与えるかを検討します。
具体的には、運動習慣の有無が生理的反応(心拍変動)および心理的ストレス反応に及ぼす影響を評価し、これに基づく個別化されたストレス管理手法を提案します。運動がストレス軽減に与える影響は、既存の文献においても確認されているものの、特にデスクワーク環境下での顕在性不安を考慮したストレス管理方法に関する研究は不足しています。本研究の成果は、デスクワーカーに適応可能な具体的な運動介入プログラムの設計および心理的ストレス軽減戦略の基盤の一助のしていきたい。
既存の文献では、運動がストレス軽減に寄与することは広く確認されていますが、特にデスクワーク環境における顕在性不安を考慮したストレス管理方法については、十分な研究がなされていません。本研究の成果は、デスクワーカーに適用可能な運動介入プログラムの設計に寄与するとともに、心理的ストレス軽減のための戦略的基盤を提供するものです。
研究の意義
本研究は、デスクワーカーという特定の集団に焦点を当て、運動習慣がストレス管理に与える影響を詳細に検証することです。これにより、企業や健康管理の現場で、個々の特性に応じたストレス管理プログラムの導入が可能となり、従業員のメンタルヘルスを支援するための新たな基盤を提供することが期待されます。
さらに、ウェアラブルデバイスによる心拍変動のリアルタイムデータ収集と分析を組み合わせることで、従来のストレス評価方法よりも精度の高いストレスモニタリングが可能になります。このウエアラブルデバイスによる自己追跡技術は、ストレス管理の実践において大きな前進となり、リアルタイムでのフィードバックを通じて、早期介入が可能となっていくでしょう。
本研究は、運動習慣の有無がデスクワーカーの生理的および心理的ストレス反応にどのような影響を与えるかを明らかにし、個別化されたストレス管理プログラムの必要性を検討するものです。運動が全ての人に対して有効でないという仮説に基づき、ストレス軽減に向けた新たなアプローチを提案します。また、ウェアラブルデバイスの技術を活用することで、従来のストレス評価手法に比べ、より効果的かつ個別化された管理が可能になることが期待されます。