ストレスチェック義務化後の実務管理|台帳・KPI・面接対応

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ストレスチェック義務化後の実務管理|台帳・KPI・面接対応

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ストレスチェック義務化後の実務管理|台帳・KPI・面接対応

ストレスチェック義務化への対応は、検査を実施して終わりではありません。
人事総務が実務で困りやすいのは、対象者の確認、受検状況の管理、医師面接の申出対応、就業上の措置、記録保存、外部委託時の役割分担です。

この記事では、ストレスチェック義務化後の実務管理を、台帳、KPI、医師面接対応の3つの視点から扱います。
同じストレスチェック義務化でも、本記事は義務化の背景説明ではなく、人事総務が実施後に何を記録し、何を確認し、どこで手戻りを防ぐかに焦点を当てた記事です。

健康経営を年1回の制度対応で終わらせず、人事総務が社内で説明しやすい運用にするための実務ポイントをお伝えします。

ストレスチェック義務化後は、実務管理の精度が問われる

ストレスチェック制度は、働く人が自分のストレス状態に気づき、必要に応じて医師の面接指導や職場環境の見直しにつなげるための制度です。
すでに50人以上の事業場では毎年の実施が定着してきました。

さらに、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、これまで努力義務とされてきた50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施義務が広がる流れになっています。
小規模事業場の負担に配慮し、施行までの準備期間が確保されるため、今のうちから運用の型を作っておくことが重要です。

人事総務の実務では、次のような作業が発生します。

  • 対象者の確認
  • 受検案内と未受検者への再案内
  • 結果通知の流れの確認
  • 医師面接の申出対応
  • 面接実施後の就業上の措置の確認
  • 記録保存と個人情報管理
  • 外部委託先との役割分担

ここで大切なのは、「実施したかどうか」だけで見ないことです。
ストレスチェック義務化後は、実施漏れを防ぎ、必要な支援へつなげ、社内で説明できる形に残す実務管理が求められます。

人事総務が管理する3つの実務領域

ストレスチェックを健康経営に活かすには、台帳、KPI、医師面接対応を分けて見ると実務が進めやすくなります。

実務領域 見ること 人事総務での使い方
台帳管理 対象者、受検状況、面接申出、面接実施、記録保存 実施漏れ、対応漏れ、保存漏れを防ぐ
KPI確認 受検率、高ストレス者割合、申出率、面接実施率、措置実施率 前年や部署ごとの変化を確認する
医師面接対応 申出受付、面接日程、医師意見、就業上の措置、関係者連携 本人支援と職場側の対応を滞らせない

台帳は、実務を漏れなく進めるために必要です。
KPIは、制度が使われているかを確認するために役立ちます。
医師面接対応は、必要な支援を本人と職場につなげるための要です。

この3つを分けて見ることで、ストレスチェックが単なる年中行事になりにくくなります。

ステップ1:台帳で実施漏れと対応漏れを防ぐ

ストレスチェック実務で最初に必要になるのは、台帳管理です。
対象者、受検状況、結果通知、医師面接の申出、面接実施、就業上の措置、記録保存を確認できる形にしておきます。

台帳が曖昧なままだと、受検案内の漏れ、面接対応の遅れ、保存期間の確認漏れが起こりやすくなります。
特に小規模事業場では、人事総務担当者が複数業務を兼任していることが多いため、担当者の記憶だけに頼る運用は危険です。

台帳で確認したい項目 見る理由 注意点
対象者数 受検率を正しく見るため 部署異動、休職、雇用形態を確認する
受検者数 実施状況を確認するため 未受検者への案内を個人責めにしない
未受検者数 案内漏れや受検しにくさを見るため 勤務時間、勤務形態、案内方法を確認する
高ストレス者数 必要な支援の規模を把握するため 個人特定につながる扱いを避ける
医師面接申出数 相談行動の起きやすさを見るため 申出が少ない理由も確認する
医師面接実施数 必要な支援につながったかを見るため 申出後の対応遅れを防ぐ
就業上の措置 医師意見が職場対応に反映されたかを見るため 本人の不利益にならない扱いを徹底する
記録保存 法令上必要な保存状況を確認するため 保存場所、閲覧権限、保存期間を決める

台帳は、社員を監視するための資料ではありません。
制度対応の漏れを防ぎ、必要な支援につなげるための実務資料です。

ステップ2:KPIで制度運用の詰まりを見る

ストレスチェック後は、受検率や高ストレス者割合だけを見て終わらせないことが重要です。
人事総務・健康経営担当者が見るべきなのは、制度のどこで詰まりが起きているかです。

たとえば、受検率が低い部署では、案内方法や実施期間が勤務実態に合っていない可能性があります。
医師面接の申出率が極端に低い場合は、従業員が不利益を不安に感じているかもしれません。

KPI 見たいこと 次の確認
受検率 対象者が受けやすい運用になっているか 案内方法、実施期間、勤務形態を確認する
未受検率 受検できない理由がないか 多忙、案内不足、シフト勤務との不一致を見る
高ストレス者割合 部署や職種ごとに負担が偏っていないか 業務量、対人負担、管理職支援を見る
医師面接申出率 相談しやすい状態になっているか 申出しにくい雰囲気や不利益への不安を確認する
医師面接実施率 申出後に必要な支援へつながっているか 日程調整、担当者連携、産業医との連絡を確認する
就業上の措置実施率 医師意見が実務対応に反映されているか 人事、管理職、産業保健スタッフの役割を見る
再確認実施数 措置後の状態確認が行われているか 一度対応して終わりになっていないかを見る

KPIは、数字を良い悪いで評価するためのものではありません。
どこで制度運用が止まりやすいのか、人事総務が次に何を確認すべきかを見つけるための材料です。

特に健康経営では、ストレスチェックの数字を単独で見ず、欠勤、休職、離職、管理職の負担、相談しやすさとあわせて見ることが大切です。

ステップ3:医師面接と就業上の措置を管理する

ストレスチェック後の実務で手戻りが起きやすいのが、医師面接と就業上の措置です。
医師面接の申出があった場合、人事総務は、本人の意思を尊重しながら、面接実施、医師意見の確認、必要な就業上の措置へつなげる必要があります。

この流れが曖昧だと、本人への対応が遅れたり、管理職への伝え方に迷いが出たりします。

実務項目 確認すること 注意点
面接申出の受付 申出方法、受付窓口、受付日 本人が申し出やすい流れにする
面接日程調整 産業医・医師との調整、本人への連絡 対応が遅れないよう期限を決める
医師意見の確認 就業上の措置の必要性 個人情報の範囲を超えて共有しない
就業上の措置 労働時間、業務内容、配置、休業などの配慮 本人の不利益にならない扱いを徹底する
管理職との連携 職場で必要な配慮をどう伝えるか 病名や詳細情報を不用意に共有しない
措置後の確認 本人の状態、業務負担、職場での支援状況 対応後に放置しない

医師面接対応は、制度上の手続きであると同時に、本人が安心して働き続けるための支援でもあります。
人事総務は、本人、医師、管理職、産業保健スタッフの間で、必要な情報だけを適切につなぐ役割を担います。

Excel管理で注意したいこと

ストレスチェックの実務では、Excelを使って台帳やKPIを管理することがあります。
対象者数、受検率、高ストレス者割合、医師面接申出率、面接実施率などを一覧で確認するには便利です。

ただし、Excelで数字を作ることが目的になると、制度運用は形だけになります。
大切なのは、数字を見た後に、どこで対応が止まっているのか、誰が次に確認するのかを決めることです。

  • 台帳は、実施漏れと対応漏れを防ぐために使う
  • KPIは、制度運用の詰まりを見るために使う
  • 医師面接管理は、必要な支援を遅らせないために使う
  • Excelは、担当者の記憶に頼らないための道具として使う
  • 個人情報の閲覧権限と保存場所を明確にする

Excel管理は、ストレスチェック実務を支える道具です。
道具を使う目的は、実施状況を見える形にし、対応漏れを防ぎ、必要な支援へつなげることです。

外部委託時に会社側が残すべき責任

ストレスチェックの実務は、一部を外部委託できます。
外部委託を使うことで、実施案内、結果処理、集計、実務サポートを効率化できる場合があります。

ただし、外部委託をすれば会社側の責任がなくなるわけではありません。
人事総務は、委託先に任せる範囲と、社内で判断する範囲を明確にしておく必要があります。

確認項目 外部委託で任せられること 会社側に残ること
実施案内 案内文、配信、受検方法の案内 自社の対象者確認、社内周知の責任
結果処理 個人結果の通知、集計処理 本人同意の扱い、情報管理方針の確認
医師面接 申出受付や面接調整の補助 面接後の就業上の措置の判断
集団分析 部署別・属性別の集計資料作成 社内でどの課題を扱うかの判断
記録保存 システム上の保管支援 保存期間、閲覧権限、管理責任の確認

外部委託は、人事総務を楽にするためだけのものではありません。
従業員の安心感を高め、情報管理の透明性を保ち、担当者の過重負担を防ぐためにも役立ちます。

50人未満事業場が準備しておきたい実務

2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場にもストレスチェックの実施義務が広がることになりました。
小規模事業場の負担に配慮し、施行までの準備期間が確保される流れです。

厚生労働省からは、小規模事業場向けのストレスチェック制度実施マニュアルも公表されています。50人未満の事業場では、法令対応だけでなく、限られた人員で無理なく実施できる流れを先に決めておくことが重要です。

50人未満の事業場では、専任の人事担当者や産業保健スタッフがいないこともあります。
そのため、最初から大きな仕組みを作ろうとするより、実務の流れを小さく決めておくことが現実的です。

  • 対象者をどう確認するか
  • 受検案内を誰が行うか
  • 個人結果を誰が扱うか
  • 医師面接の申出があった場合にどう対応するか
  • 就業上の措置を誰が確認するか
  • 記録をどこに保存し、誰が見られるようにするか
  • 外部委託する場合、社内に残す役割は何か

小規模事業場ほど、一人の不調や離職が職場全体に与える影響は大きくなります。
ストレスチェック義務化を負担として見るだけでなく、早めに不調のサインへ気づき、相談しやすい職場をつくる機会として活かす視点が必要です。

タニカワ久美子が企業研修で見てきたこと

タニカワ久美子が企業研修でストレスチェック後の運用を扱うとき、人事総務の担当者からよく聞く言葉があります。

「ストレスチェックは実施しているのですが、その後に何を見ればよいか分からないんです。」

この悩みは、担当者の努力不足ではありません。
ストレスチェックの結果は出ているのに、台帳、KPI、医師面接対応、管理職への伝え方がつながっていないことが多いのです。

研修の現場では、管理職から「高ストレス者の人数だけ見ても、何をすればよいか分からない」という声も出ます。
そこでタニカワ久美子は、管理職と人事総務の方に次のように伝えています。

「数字だけを見ても、職場は変わりません。まずは、どこで対応が止まっているのか、誰が次に動くのかを見てください。」

ストレスチェックを健康経営に活かすには、制度対応と現場対応を分けずに見ることが大切です。
台帳で漏れを防ぎ、KPIで詰まりを見て、医師面接や就業上の措置へつなげる。
この流れがあると、人事総務が一人で抱え込まずに済みます。

人事総務が研修前に確認したいこと

ストレスチェック義務化への対応を研修や社内説明につなげる前に、人事総務担当者は次の点を確認しておくと、研修後の行動につなげやすくなります。

  • 対象者数と受検者数を正しく把握しているか
  • 未受検者への再案内の流れがあるか
  • 高ストレス者割合だけで判断していないか
  • 医師面接の申出方法を従業員に説明しているか
  • 申出後の面接日程調整が遅れない仕組みがあるか
  • 就業上の措置を誰が確認するか決まっているか
  • 記録保存の場所と閲覧権限が決まっているか
  • 外部委託先と社内担当者の役割分担が明確か

研修は、ストレスチェック制度の説明だけで終わらせないことが重要です。
台帳、KPI、医師面接対応をつなげることで、総務・人事担当者が次に何を見るべきか分かりやすくなります。

よくある質問

ストレスチェック義務化後の実務で最初に見ることは何ですか?

最初に見るのは、対象者、受検状況、医師面接の申出、面接実施、就業上の措置、記録保存を確認できる台帳です。
台帳が曖昧だと、制度対応の漏れや面接対応の遅れが起こりやすくなります。

ストレスチェック後に見るKPIは何ですか?

受検率、未受検率、高ストレス者割合、医師面接申出率、医師面接実施率、就業上の措置実施率などを見ます。
数字の高低だけで判断せず、制度運用のどこで詰まりが起きているかを見ることが重要です。

Excelで管理すれば十分ですか?

Excel管理は便利ですが、Excelで数字を作ることが目的ではありません。
台帳やKPIを使って、どの対応が遅れているのか、誰が次に確認するのかを見える形にすることが大切です。

50人未満の事業場でも準備は必要ですか?

2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場にもストレスチェックの実施義務が広がることになりました。
施行までの準備期間に、対象者確認、実施手順、個人情報の扱い、医師面接対応、記録保存の流れを決めておくことが重要です。

外部委託すれば会社側の対応は不要になりますか?

不要にはなりません。
外部委託できる業務はありますが、対象者確認、社内説明、本人同意の扱い、医師意見を踏まえた就業上の措置、記録管理の確認など、会社側に残る責任があります。

まとめ:義務化後の実務管理は台帳・KPI・面接対応で見る

ストレスチェック義務化への対応は、検査を実施して終わりではありません。
台帳で実施漏れを防ぎ、KPIで制度運用の詰まりを見て、医師面接と就業上の措置を適切につなげることが重要です。

受検率、高ストレス者割合、医師面接申出率、面接実施率などの数字は、社員を評価するためのものではありません。
人事総務が、どこで対応が止まりやすいのか、どの部署に支援が必要なのかを確認するための材料です。

ストレスチェック結果を集団分析から職場改善へどうつなげるかは、ストレスチェック制度を職場改善につなげる実務ポイントで詳しく解説しています。

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ストレスチェックを年1回の作業で終わらせず、人事総務が社内で説明しやすい制度運用にしたい場合は、以下のページをご覧ください。


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参考資料

文責:タニカワ久美子

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