ストレス研究memo
高強度運動の真実:肥満女性の視点からストレス研究Vol.95
2024年7月1日更新
今日、ご紹介する研究は、肥満の低活動女性における高強度インターバルトレーニング(HIIT)の効果を検討し、特に運動の快適さと楽しさに焦点を当てています。
HIITは効率的な運動方法とされていますが、その心理的な影響についてはあまり知られていません。
1.目的
この研究は、HIITがどのように感じられるかを明らかにすることを目的としています。
<原著>
ES Decker, P Ekkekakis (2017):More efficient, perhaps, but at what price? Pleasure and enjoyment responses to high-intensity interval exercise in low-active women with obesity;Psychology of Sport and Exercise
2. 背景(Introduction)
運動は健康の維持に重要です、しかし、肥満者にとっては継続が難しいことがあります。HIITは短時間で効果を得られるため人気がありますが、強度が高いため、運動が楽しいと感じられるかどうかが問題です。
この研究では、肥満の低活動女性におけるHIITの心理的影響を調査しました。
3. 方法(Methods)
参加者は肥満の低活動女性でした。参加者はランダムに2つのグループに分けられ、一方はHIITを、他方は中強度持続運動(MICT)を行いました。運動の快適さと楽しさは、運動中および運動後に評価されました。
4. 結果(Results)
結果は、HIITがMICTに比べて運動中の快適さが低く、楽しさも少ないと感じられることを示しました。特に、運動の後半になるほど快適さが低下する傾向が見られました。一方、運動後の達成感や自尊心には大きな差はありませんでした。
5. 考察(Discussion)
HIITは効率的な運動方法として広く推奨されていますが、その高強度のために心理的に負担が大きい可能性があります。特に運動に慣れていない肥満者にとって、HIITはストレスや不快感を引き起こしやすいリスクがあります、このリスクは、運動の継続に悪影響を及ぼしやすいのです。
運動習慣を効果的に取り入れるには
運動の楽しさや快適さを高めるためには、強度を調整したり、個々のニーズに合わせたプログラムを提供することが重要です。
また、運動プログラムの設計においては、単に効果を追求するだけでなく、参加者が運動を楽しむことができるような工夫が必要です。楽しみながらの運動は、長期的な運動習慣の形成にとって不可欠です。今後の研究では、HIITと他の運動方法を比較し、どのようなアプローチが最も効果的であるかをさらに調査することが求められます。
6. 結論(Conclusion)
この研究は、肥満の低活動女性に対するHIITの心理的影響について初めて詳細に検討したものです。HIITは効率的な運動方法である一方で、快適さや楽しさの面で課題があることが示されました。運動の楽しさを重視することが、運動継続の鍵となることを示唆しています。
運動プログラムの設計においては、参加者の心理的な反応を考慮する重要性を強調して著者は唱えています。肥満者にとって適切な運動方法を見つけるためには、個々のニーズに合わせた柔軟な運動支援が求められます。