適度な運動によるストレス評価|ユーストレス指標

「心」「カラダ」を支えるけんこう総研ストレスマネジメント

適度な運動によるストレス評価|ユーストレス指標

ホーム » ストレス管理 » 適度な運動によるストレス評価|ユーストレス指標

ストレス管理

適度な運動によるストレス評価|ユーストレス指標

このストレス管理カテゴリーでは、職場で起こる心身の反応を、社員の不調予防に役立つ形で説明します。同じストレス管理でも、本記事は一般的な運動習慣のすすめではなく、適度な運動がユーストレスとして働くかを、心拍数や唾液中の反応物質から見ることに焦点を当てています。人事総務・健康経営担当者の方が、社員の不調を本人任せにせず、面談での声かけや職場環境の見直しに活かせるように、脳と身体の反応という視点から解説します。

適度な運動はストレスではなく、心身を整える刺激になる

運動は、身体にとって一種の刺激です。息が少し上がる、心拍数が上がる、汗をかく、筋肉が動くといった変化は、身体が外からの刺激に反応している状態です。

この反応は、すべて悪いものではありません。適度な運動による刺激は、身体を目覚めさせ、気分を切り替え、仕事中の緊張をゆるめるきっかけになります。このように、心身に良い方向へ働くストレス反応は、ユーストレスとして見ることができます。

一方で、運動の強さや時間が本人に合っていない場合は、疲労感、不快感、痛み、睡眠の乱れにつながることがあります。同じ運動でも、量や強度、受け止め方によって、ユーストレスにもディストレスにも変わります。

職場のストレス管理研修で取り入れやすい深呼吸ストレッチ

職場のストレス管理には、短時間でできる深呼吸や軽いストレッチも取り入れやすい方法です

運動のやりすぎはディストレスになる

運動は健康によいものとして語られることが多いですが、強すぎる運動や休息を伴わない運動は、身体に大きな負担をかけます。特に、疲れている社員に対して「とにかく運動すればよい」と伝えてしまうと、かえって疲労感や心理的な負担を強める場合があります。

職場で考えるべきなのは、運動量を増やすことそのものではありません。社員が無理なく取り組めて、終わったあとに気分が少し軽くなるか、身体のこわばりがゆるむか、仕事に戻りやすくなるかです。

つまり、健康経営の中で運動を扱う場合は、「運動をしたかどうか」だけではなく、「その運動が本人にとってユーストレスになっているか」を見る必要があります。

ストレス反応は身体の中の変化として現れる

運動をすると、身体の中ではさまざまな反応が起こります。心拍数や呼吸の変化は目で見てわかりやすい反応ですが、唾液やホルモンにも変化が現れます。

ストレス反応を考えるときに用いられる代表的な指標には、唾液アミラーゼ、コルチゾール、SIgA、クロモグラニンAなどがあります。これらは、身体がどの程度緊張しているか、交感神経がどのくらい働いているか、免疫の働きに変化が出ているかを見る手がかりになります。

ただし、これらの数値だけで「この社員はストレスが高い」「この運動は良い」と決めつけることはできません。測定値は、睡眠、食事、測定時間、体調、緊張感、職場環境などの影響を受けます。そのため、職場で活用する場合は、数値を人の評価に使うのではなく、心身の変化を理解するための参考情報として扱うことが重要です。

唾液アミラーゼやコルチゾールから見えること

唾液アミラーゼは、交感神経の働きと関係が深い指標として使われます。交感神経は、緊張したとき、集中したとき、急いで行動するときに働きやすくなります。運動時にも交感神経は働くため、唾液アミラーゼの変化を見ることで、身体がどの程度反応しているかを考える手がかりになります。

コルチゾールは、ストレス反応に関わるホルモンの一つです。身体がエネルギーを使いやすい状態にする働きがあり、強い負荷や長く続く緊張と関係します。運動による反応を見るときにも、身体がどの程度負荷を受けているかを考える材料になります。

SIgAは、口や喉などの粘膜を守る免疫の働きと関係します。クロモグラニンAは、交感神経の反応を見る指標として扱われます。これらを組み合わせて見ることで、運動が身体にとって心地よい刺激なのか、負担になりすぎているのかをより丁寧に考えることができます。

適度な運動かどうかは、強度だけでは判断できない

運動の強さを見る指標としては、心拍数や酸素摂取量が使われます。これらは、身体がどのくらいエネルギーを使っているかを見るうえで役立ちます。

しかし、職場のストレス管理では、心拍数や運動時間だけでは足りません。同じ運動でも、ある人には気分転換になり、別の人には負担になることがあります。体力、年齢、睡眠状態、持病、仕事の疲れ、運動への苦手意識によって、受け止め方は変わります。

そのため、適度な運動を考えるときは、次のような変化を見ることが大切です。

  • 運動後に気分が少し軽くなったか
  • 呼吸が整いやすくなったか
  • 肩や首のこわばりがゆるんだか
  • 疲労感が強く残っていないか
  • 仕事に戻るときの集中がしやすくなったか

このような本人の感じ方と、心拍数や唾液中の反応物質などの客観的な指標を合わせて見ることで、運動がユーストレスとして働いているかを考えやすくなります。

企業研修では「運動しなさい」ではなく、身体の反応に気づくことを重視する

けんこう総研の企業研修では、運動を「頑張るもの」として扱うのではなく、身体の反応に気づくための方法として扱います。たとえば、短いストレッチや深呼吸を行ったあとに、肩の重さ、呼吸のしやすさ、気分の変化を確認します。

社員にとって大切なのは、専門的な数値を覚えることではありません。自分の身体が緊張しているときのサイン、少し楽になったときの変化、無理をすると負担になる感覚に気づくことです。

人事総務・健康経営担当者の方にとっても、この視点は役立ちます。社員へ「運動不足だから動きましょう」と伝えるだけでは、行動にはつながりにくいからです。むしろ、「短時間で身体をゆるめる方法を職場の中に入れる」「休憩時に無理なくできる動きを用意する」「疲れている社員には強い運動をすすめない」といった配慮のほうが、現場では受け入れられやすくなります。

職場で運動を取り入れるときの注意点

職場で運動を取り入れる場合は、全員に同じ強度を求めないことが大切です。体力に自信がある社員もいれば、運動が苦手な社員、体調に不安がある社員もいます。

また、ストレス対策として運動を使う場合は、社員を評価する材料にしないことも重要です。唾液や心拍数などの指標は、本人を判定するためのものではありません。職場全体として、どのような負荷がかかりやすいのか、どのような休憩や動きが取り入れやすいのかを考えるための手がかりとして扱うべきです。

健康経営の取り組みでは、社員一人ひとりに努力を求めすぎると、かえって負担感が増します。適度な運動をユーストレスとして活かすには、本人の努力だけに頼らず、職場の中で自然に取り入れられる形にすることが必要です。

適度な運動は、職場のストレス管理に活かせる

適度な運動は、身体を動かすことそのものに意味があるだけではありません。心拍数、呼吸、唾液中の反応物質、気分の変化を合わせて見ることで、身体がどのようにストレスに反応しているかを知る手がかりになります。

運動がユーストレスとして働いているとき、社員は「頑張らされた」と感じるよりも、「少し楽になった」「気分が切り替わった」「身体が軽くなった」と感じやすくなります。この小さな変化を職場の中で積み重ねることが、ストレス管理の実践につながります。

ストレス管理の基本としてユーストレスを職場でどう活かすかは、ユーストレス(良性ストレス)とは|職場で活かすストレス資源の全体像で説明しています。

夜間・土日祝の無料相談も随時受け付けております。
まずはお気軽にお問い合わせください。