健康経営
ストレスチェック義務化は意味があるのか? ―「形骸化する制度」と言われる本当の理由を専門家が解説
ストレスチェック義務化が全企業に拡大される背景
仕事が原因で心の不調を抱える労働者が増え続けていることを受け、政府は従業員50人未満の企業にもストレスチェックを義務化する方針を示しました。
2025年3月14日、労働安全衛生法の改正案が閣議決定
され、今後3年以内の施行が予定されています。
制度の狙いは明確です。
メンタルヘルス不調の早期把握と、職場環境改善の促進。
しかし現場からは、「本当に意味があるのか?」という疑問や批判の声が根強く上がっています。

ストレスチェック義務化に対する批判の背景を、制度構造と実務の視点から整理します。
なぜ「ストレスチェックは意味がない」と言われるのか
ストレスチェックでは、
- 業務量や時間的負担
- 上司・同僚との関係性
- 心理的ストレス反応
などを質問票で把握します。
問題視されているのはチェックそのものではありません。
結果が経営判断や職場改善につながっていないケースが多いことです。
実際、精神障害による労災認定件数は、この10年で約2倍に増加しています。
この数字は、「制度が存在すること」と「職場が変わること」が直結していない現実を示しています。
「ストレス耐性が高い人が損をする」という違和感の正体
ストレスチェックへの不満として、
- ストレス耐性が低い人ばかりが配慮される
- 我慢している人ほど評価されない
といった声も聞かれます。
しかし、これは個人の問題ではありません。
制度の使い方が「個人の選別」に偏っていることが原因です。
本来ストレスチェックは、
「誰が弱いか」を見つけるための制度ではなく、
「どの職場構造が負荷を生んでいるか」を把握するための仕組み
です。
専門家の立場から見たストレスチェックの限界と可能性
率直に言えば、ストレスチェックだけで職場は変わりません。
なぜなら、チェックは測定ツールであり、改善手段ではないからです。
重要なのは、
- 結果をどう分析するか
- どの指標と結びつけるか
- 経営判断にどう反映させるか
という運用設計です。
ストレスチェックを「やっただけ」で終わらせないために企業がすべきこと
制度を形骸化させないためには、最低限次の3点が必要です。
- 結果を基にした具体的な職場改善計画を策定する
- 個人対応ではなく職場単位の構造課題として扱う
- ストレス管理・組織改善の専門家を交えた継続的な支援を行う
これらが欠けると、ストレスチェックは「毎年やる行事」で終わります。
ストレスチェックは「意味がない制度」ではなく「設計次第の制度」
ストレスチェック義務化に批判が集まるのは、
制度そのものではなく、活かされていない現実に対してです。
健康経営の観点では、ストレスチェックは
戦略・KPI・職場改善をつなぐ入口
に位置づける必要があります。
けんこう総研では、ストレスチェックを単独で終わらせず、
健康経営戦略の中でどう機能させるかを重視した支援を行っています。
制度対応に追われる前に、
「自社にとって意味のある運用とは何か」を整理したい企業は、
専門家と一度立ち止まって設計を見直すことをおすすめします。