高ストレスになる前に気づく|職場の緊張と不安

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ストレス管理

高ストレスになる前に気づく|職場の緊張と不安

このストレス管理カテゴリーでは、職場で起こる心身の反応を、社員の不調予防につなげる視点で扱っています。本記事の焦点は、強いストレスになってから対処することではありません。仕事中に起こる緊張や不安に早めに気づき、高ストレス状態になる前に心身を整える考え方を見ていきます。人事総務・健康経営担当者が、社員の「大丈夫です」の奥にある緊張や不安を見落とさないための内容です。

高ストレスになる前に、緊張と不安に気づく

職場では、誰でも緊張や不安を感じる場面があります。取引先への説明、上司への報告、会議での発言、クレーム対応、初めての業務など、仕事の中には心が揺れる場面がいくつもあります。

緊張や不安があること自体は、悪いことではありません。ほどよい緊張は、集中力を高めたり、準備を丁寧にしたりする力になります。

ただし、緊張や不安が強すぎる状態が続くと、心身に負担がかかります。眠りが浅くなる、動悸がする、呼吸が浅くなる、ミスが増える、考えがまとまらないといった反応が出ることがあります。

職場のストレス管理では、こうした反応を高ストレスになる前のサインとして見ることが大切です。

職場の心理的刺激をストレッサーと呼ぶ

私たちは、仕事をしながら多くの刺激を受けています。相手の言葉、視線、評価、期限、責任、職場の空気、失敗への不安などです。

このような心身に負担をかける刺激を、ストレッサーと呼びます。ストレッサーを受けると、心と身体は反応します。不安になる、緊張する、焦る、腹が立つ、悲しくなる、うれしくなるといった心の動きも、その反応の一部です。

このような気持ちの揺れは、生きて働いているからこそ起こる自然な反応です。問題は、反応が強すぎることや、長く続きすぎることです。

緊張は身体にも表れる

緊張すると、身体にも変化が出ます。心拍数が上がる、呼吸が浅くなる、手に汗をかく、肩や首に力が入る、声が出にくくなる、胃が重くなるなどです。

これは、身体が「今、注意が必要だ」と反応している状態です。大切な発表や面談の前に緊張するのは、自然なことです。

しかし、この状態が一日中続いたり、仕事のあとも抜けなかったりすると、心身の回復が追いつかなくなります。高ストレス状態になる前に、自分の身体がどのように反応しているかに気づくことが必要です。

不安には、性格に近い不安と状況で起こる不安がある

不安には、大きく分けて2つの見方があります。ひとつは、その人がもともと不安を感じやすい傾向です。もうひとつは、その場面によって起こる不安です。

心理学では、前者を特性不安、後者を状態不安と呼びます。

  • 特性不安:さまざまな場面で不安を感じやすい傾向
  • 状態不安:発表、面談、クレーム対応など、その場面で起こる不安

職場で重要なのは、「不安を感じやすい社員だから仕方ない」と決めつけないことです。同じ社員でも、業務量、上司の関わり方、評価への不安、過去の失敗経験によって、不安の強さは変わります。

不安が強くなる場面

職場で不安が強くなりやすいのは、結果が見えにくい場面です。

たとえば、「上司にまた注意されるかもしれない」「取引先にどう受け止められるかわからない」「失敗したら迷惑をかけるかもしれない」と感じていると、不安は大きくなります。

仕事そのものが難しい場合もありますが、それ以上に「どう評価されるかわからない」「自分でコントロールできない」と感じることが、不安を強めることがあります。

このような不安が続くと、社員は本来の力を出しにくくなります。報告が遅れる、確認を避ける、発言が減る、必要以上に一人で抱え込むといった行動につながることもあります。

特性不安が高い社員は、空気を読みすぎて疲れやすい

不安を感じやすい社員は、単に弱いわけではありません。周囲の表情、声のトーン、場の空気、相手の反応に敏感な場合があります。

その敏感さは、接客、教育、医療、介護、営業、窓口対応など、人と関わる仕事では強みになることもあります。相手の変化に早く気づけるからです。

一方で、空気を読みすぎると疲れます。相手が少し不機嫌そうに見えるだけで、自分のせいではないかと考えてしまう。上司の表情が硬いだけで、怒られるのではないかと身構えてしまう。その積み重ねが、高ストレスにつながることがあります。

自尊感情が低いと不安が強まりやすい

自尊感情とは、自分を大切に思える感覚です。自尊感情が低いと、実際にはできている仕事でも、「自分はまだ足りない」「失敗したらどうしよう」と感じやすくなります。

職場では、まじめで責任感の強い社員ほど、自分に厳しくなりすぎることがあります。周囲から見れば十分にできていても、本人は「まだ不十分」と感じている場合があります。

人事総務や管理職は、結果だけでなく、本人がどのように受け止めているかを見る必要があります。本人の中では、小さな不安が大きな負担になっていることがあるからです。

外見や見られ方への不安もストレスになる

人前に出る仕事では、外見や見られ方への不安がストレスになることがあります。

発表するとき、接客するとき、オンライン会議で顔が映るとき、相手からどう見られているかが気になり、緊張が強くなる人もいます。

これは単なる見た目の問題ではありません。「変に思われたくない」「きちんとして見られたい」「失敗した姿を見られたくない」という気持ちが、不安を強めることがあります。

職場でこの不安を軽く扱うと、本人は相談しにくくなります。人前で話すこと、画面に映ること、接客で表情を保つことが負担になっていないかを確認することも、ストレス管理の一部です。

緊張はあった方がよい場合もある

緊張は、すべて悪いものではありません。軽い緊張があることで、注意深くなったり、準備を丁寧にしたり、集中しやすくなったりします。

たとえば、安全確認が必要な作業では、まったく緊張がない状態よりも、適度な緊張がある方がミスを防ぎやすい場合があります。大切な発表でも、少し緊張している方が、言葉を選びながら話せることがあります。

大切なのは、緊張をなくすことではありません。強すぎる緊張や、長く続きすぎる緊張に早めに気づくことです。

強すぎる緊張はパフォーマンスを下げる

緊張が強すぎると、考えがまとまりにくくなります。頭が真っ白になる、いつもできる作業でミスをする、言葉が出てこない、確認が抜けるといったことが起こりやすくなります。

身体にも負担が出ます。肩こり、頭痛、胃の不調、動悸、冷や汗、疲労感などが出ることがあります。

この状態を「本人が弱いから」と見ると、対応が遅れます。職場では、緊張が強くなりすぎる場面はどこか、準備時間は足りているか、相談しやすいか、評価の不安が強すぎないかを見る必要があります。

企業研修で見える「発表前に固まる社員」

タニカワ久美子の企業研修では、ロールプレイングや発表の前に、急に表情が硬くなる社員さんを見ることがあります。資料は準備できているのに、いざ話す順番が近づくと、手が冷たくなったり、声が小さくなったり、目線が下がったりします。

ある研修では、発表が苦手な社員さんが「内容はわかっているのに、人前に立つと頭が真っ白になります」と話しました。その方は、知識が足りないわけではありません。発表の場面で、状態不安が強く出ていたのです。

そのときタニカワ久美子が伝えたのは、「緊張しないようにしましょう」ではありません。緊張は消そうとするほど強くなることがあります。まず、「手が冷たい」「呼吸が浅い」「肩に力が入っている」と身体の反応に気づくこと。そして、短く息を吐く、最初の一文だけを決める、視線を一点に固定しすぎないなど、できる行動に分けることを伝えます。

人事総務・健康経営担当者にとっても、この視点は重要です。社員が発言できないときに、やる気がない、準備不足だと決めつけないことです。場面によって不安が強く出ている可能性を見ることで、声かけや研修の進め方を変えられます。

管理職ができる声かけ

部下が緊張や不安を抱えているとき、「大丈夫?」だけでは本音が出にくいことがあります。部下は反射的に「大丈夫です」と答えてしまうからです。

管理職は、もう少し具体的に確認すると話しやすくなります。

  • 発表前に不安が強くなっていませんか
  • どの場面が一番緊張しますか
  • 準備で不安なところはどこですか
  • 最初の一言だけ一緒に確認しましょうか
  • 失敗しないことより、まず伝えることを目標にしましょう
  • 終わったあとに一緒に振り返りましょう

このような声かけは、社員を甘やかすものではありません。不安を具体化し、行動に移しやすくするための支援です。

高ストレスになる前にできるセルフケア

緊張や不安が強くなりそうなときは、早めに小さな対処を入れることが大切です。

  • 呼吸が浅くなっていないか確認する
  • 肩や首に力が入っていないか気づく
  • 最初に話す一文だけを決めておく
  • 不安な作業を一人で抱えず確認する
  • 準備できていることを書き出す
  • 終わったあとに自分を責めすぎない

セルフケアは、気合いで不安を消すことではありません。自分の反応に早めに気づき、できる行動を小さく分けることです。

職場では緊張を責めず、扱い方を共有する

緊張や不安は、誰にでも起こります。大切なのは、それを隠すことではなく、強くなりすぎる前に扱えるようにすることです。

職場で「緊張するのはだめ」「不安を見せてはいけない」という空気があると、社員は不調を言いにくくなります。すると、問題が大きくなるまで周囲が気づけません。

人事総務・健康経営担当者は、社員が緊張や不安を話しても責められない空気をつくることが重要です。研修では、そのための言葉や声かけを共有しておく必要があります。

緊張と不安は、高ストレスになる前のサイン

職場で起こる緊張や不安は、心身が反応しているサインです。軽い緊張は集中力につながることもありますが、強すぎる緊張や長く続く不安は、高ストレス状態につながることがあります。

特性不安、状態不安、自尊感情、見られ方への不安などを整理すると、社員の不安を性格だけで決めつけずに見られるようになります。

人事総務・健康経営担当者が見るべきなのは、「不安を感じる社員が弱いかどうか」ではありません。どの場面で不安が強くなり、どのような支援があれば行動しやすくなるのかです。

職場の緊張や不安を、高ストレスになる前のサインとして扱い、社員の不調予防につなげたい場合は、ストレスマネジメント研修をご確認ください。

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