職場の運動施策がプレッシャーになる理由|健康経営での配慮

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ストレス性痛み・コリ改善(セルフケア/タニカワメソッド)

職場の運動施策がプレッシャーになる理由|健康経営での配慮

健康経営で運動施策を入れたいと思っても、「社員の負担にならないだろうか」と気になることはありませんか。

運動は、ストレス対策や健康づくりに役立つ方法のひとつです。
身体を動かすことで、気分が切り替わったり、緊張がゆるんだりする社員もいます。

一方で、職場で運動をすすめる時には注意が必要です。
社員が「やらされている」「参加しないと目立つ」「上司にどう見られるか気になる」と感じると、運動はストレス対策ではなく、心理的な負担になることがあります。

特に、運動が苦手な社員、肩こりや腰の重さを抱えている社員、人前で身体を動かすことに抵抗がある社員には、職場の運動施策がプレッシャーになる場合があります。

人事総務・健康経営担当者が見たいのは、社員をどれだけ参加させたかではありません。
自由参加のはずの運動施策が、断りにくい空気や同調圧力になっていないかです。

健康施策が、社員には負担に見えることがあります

職場では、「健康のために少し身体を動かしましょう」「全員でストレッチをしましょう」と声をかけることがあります。

運動が好きな社員や、身体を動かすことに抵抗がない社員にとっては、気分転換になるかもしれません。

しかし、運動が苦手な社員にとっては、その時間が緊張の場になることがあります。

  • 人前でうまく動けないところを見られたくない
  • 周囲と同じようにできないことが恥ずかしい
  • 参加しないと健康意識が低いと思われそう
  • 肩こりや腰の重さがあるので、動くこと自体が不安
  • 上司や同僚の目が気になって断りにくい

このような気持ちがあると、運動はリフレッシュではなく、職場の新しい負担になります。

健康経営で大切なのは、運動を取り入れることだけではありません。
運動が苦手な社員も安心して選べる形にすることです。

自由参加でも、職場では断りにくいことがあります

健康施策の案内に「自由参加」と書いてあっても、社員が本当に自由に選べるとは限りません。

部署単位で参加を促される。
上司から声をかけられる。
参加率が社内で見える。
このような状況では、社員は「参加しないと悪く見られるかもしれない」と感じやすくなります。

特に、若手社員、非正規雇用の社員、評価を気にしている社員、上司との関係に気を遣っている社員は、断りにくさを感じることがあります。

職場で起こりやすい状況 社員が感じやすい負担
部署ごとの参加率が見える 参加しないと迷惑をかけると感じる
上司から参加をすすめられる 断ると印象が悪くなるのではと不安になる
みんなで同じ運動をする できないところを見られる恥ずかしさがある
健康意識の高い人が中心になる 運動が苦手な自分は場違いだと感じる
不参加の理由を聞かれる 体調や痛みを説明しなければならなくなる

制度上は任意でも、職場の空気として断りにくければ、社員にとっては自由ではありません。

人事総務は、参加する人だけでなく、参加しにくい人が安心して断れる設計も考えておく必要があります。

人前で動くことがストレスになる社員もいます

運動は、得意不得意が見えやすい行動です。

集団で体操やストレッチを行うと、動きの大きさ、身体の硬さ、バランスの取り方、リズム感などが周囲に見えます。

運動が苦手な社員にとっては、それだけで緊張することがあります。

本人は健康施策に反対しているわけではありません。
ただ、人前でうまくできない自分を見られることがつらいのです。

この状態で「簡単だから大丈夫」「みんなで楽しくやりましょう」と言われても、安心できない社員もいます。

職場の運動施策では、できる人を基準にしないことが大切です。
運動が苦手な社員が、目立たず、比べられず、短時間だけ試せる形にすると、心理的な負担を減らしやすくなります。

肩こりや腰の重さがある社員は、同じ動きでも不安を感じます

運動が苦手な社員の中には、単に運動経験が少ないだけでなく、肩こり、腰の重さ、背中の張り、疲労感を抱えている人もいます。

健康な人にとっては軽い動きでも、痛みやこりがある社員にとっては負担になることがあります。

たとえば、首を大きく回す、腰を強くひねる、腕を高く上げ続ける、立ったまま長く動く。
このような動きは、人によってはつらさにつながります。

職場では、本人が痛みを言い出せないこともあります。
「このくらいできないと恥ずかしい」「みんながやっているから自分もやらないと」と考え、無理をしてしまう場合があるからです。

運動施策では、痛みがある人に休む選択や別の動きを用意しておくことが重要です。

参加率を成果にすると、運動施策は圧力になります

健康経営では、施策の成果を見える形にしたいという事情があります。

しかし、運動施策の成果を参加率だけで見ると、社員にとっては圧力になることがあります。

参加率を上げようとするほど、担当者や管理職は声かけを強めがちです。
その結果、運動が苦手な社員ほど「参加しなければいけない」と感じやすくなります。

避けたい進め方 社員に起こりやすい負担 見直したい進め方
参加率だけを成果にする 参加しない人が目立つ 参加しやすさや安心感も見る
部署ごとに競わせる 同調圧力が強くなる 個人が選べる形にする
全員同じ運動を行う 体力差や痛みへの配慮が不足する 強度や姿勢を選べるようにする
不参加の理由を確認しすぎる 体調や事情を言わされる負担が出る 理由を言わずに見送れる形にする

運動施策は、社員を動かすためのものではありません。
社員が自分の体調に合わせて、無理なく回復行動を選べるようにするためのものです。

健康経営では、選べることを先に決めておきます

運動が苦手な社員にも配慮するには、実施前の設計が重要です。

「始めてから様子を見る」ではなく、最初から選択肢を用意しておくと、社員は安心しやすくなります。

  • 参加しない選択が不利益にならないことを明確にする
  • 椅子に座ったままできる動きを用意する
  • 立って行う動きと座って行う動きを選べるようにする
  • 痛みがある人は見学や休憩を選べるようにする
  • 部署単位の参加率を個人評価に結びつけない
  • 人前でできるかどうかを比べない雰囲気をつくる
  • 短時間だけ試せる内容にする

大切なのは、「やる人」と「やらない人」に分けることではありません。

その日の体調、痛み、疲労感、運動への抵抗感に合わせて、社員が安心して選べる状態にすることです。

言葉を変えるだけで、参加しやすさが変わります

健康施策では、運動内容だけでなく、伝え方も重要です。

同じ内容でも、「必ず参加してください」と言えば義務になります。
一方で、「体調に合わせて選べます」「座ったままでも大丈夫です」と伝えれば、社員は安心しやすくなります。

避けたい言い方 社員が感じやすいこと 変えたい言い方
みんなで参加しましょう 断りにくい 体調に合わせて参加を選べます
運動不足を改善しましょう 責められているように感じる 身体のこわばりに気づく時間にしましょう
簡単なので誰でもできます できない人が言い出しにくい 無理のない範囲で選べます
参加率を上げましょう 参加しない人が悪いように見える 安心して試せる機会を増やしましょう

運動をすすめる言葉が強すぎると、社員は責められているように感じます。

特に、痛みやこりがある社員、運動が苦手な社員は、「できない自分が悪い」と受け止めてしまうことがあります。

健康経営では、社員を追い込む言葉ではなく、安心して試せる言葉を選ぶことが大切です。

タニカワ久美子の企業研修では、運動を押しつけません

タニカワ久美子の企業研修では、運動を「頑張るもの」としてすすめません。
まず社員自身が、自分の身体の緊張に気づくことを大切にしています。

首や肩のこり、腰の重さ、背中の張り、呼吸の浅さは、ストレスが身体に出ているサインである場合があります。
ところが多くの社員は、それを「年齢のせい」「姿勢のせい」「忙しいから仕方ない」と片づけてしまいます。

研修では、身体の不調を責めるのではなく、「今の自分の状態に気づく」ことから始めます。
そのうえで、椅子に座ったままできる動き、短時間でできるセルフケア、痛みのない範囲でできる軽いストレッチを行います。

研修の現場では、「運動は苦手です」と最初に話していた社員が、座ったままの動きなら参加できたという場面があります。
反対に、少し動いただけでつらそうな社員には、無理に続けるのではなく、休むことも選択肢として伝えます。

健康経営担当者にとって大切なのは、社員に運動を押しつけることではありません。
社員が自分の体調に合わせて、安心して選べる環境をつくることです。

職場の運動施策は、安心して選べる形にします

運動は、ストレス対策や身体の不調改善に役立つ可能性があります。

しかし、職場での運動施策は、進め方を誤るとプレッシャーになり、かえってストレスや痛み・こりを悪化させることがあります。

健康経営で運動を取り入れるときは、参加率を上げることだけを目標にしないことが重要です。

社員が参加しない選択をできること。
体調に合わせて強度を選べること。
痛みやこりがある人にも代替メニューがあること。
この3つがあると、運動は義務ではなく、職場のセルフケアとして取り入れやすくなります。

運動施策は、社員を無理に動かすためのイベントではありません。
ストレスによる身体のこわばりに気づき、無理なく整えるための職場づくりです。

職場の運動施策を、社員のプレッシャーにしないために

けんこう総研では、ストレスによる肩こり、腰の重さ、疲労感を、職場セルフケアと健康経営の視点から見直す企業研修を行っています。

運動が苦手な社員や、痛み・こりを抱える社員にも配慮した内容で進められます。


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参考文献

  • Marta Nowacka-Chmielewska et al. Running from Stress: Neurobiological Mechanisms of Exercise-Induced Stress Resilience. 2022.

文責:タニカワ久美子

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