ストレス耐性とは|職場で社員を責めない見方

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ストレス管理

ストレス耐性とは|職場で社員を責めない見方

このストレス管理カテゴリーでは、職場で起こる心身の反応を、社員の不調予防につなげる視点で扱っています。本記事の焦点は、「ストレス耐性が高い人・低い人」を決めることではありません。社員が強い負荷を受けたときに、心身のバランスをどのように保ち、どのような場面で回復しにくくなるのかを見ていきます。人事総務・健康経営担当者が、社員の不調を本人の弱さとして片づけず、仕事の負荷や休めていない状態に気づくための内容です。

ストレス耐性とは

ストレス耐性とは、ストレスを受けたときに心身のバランスを保ち、必要な行動を続ける力のことです。心理学では、困難な状況にどのように反応し、どのように回復するかを考えるときに使われる言葉です。

ただし、職場でこの言葉を使うときは注意が必要です。「あの人はストレス耐性が低い」「この人は打たれ強い」といった見方だけになると、社員個人の問題にされやすくなります。

実際には、ストレス耐性は本人の性格だけで決まるものではありません。仕事量、責任の重さ、人間関係、睡眠、休憩の取りやすさ、相談できる相手の有無などによって、同じ人でも耐えられる状態は変わります。

職場のストレス耐性を考えるための社員の心身バランスのイメージ

ストレス耐性は「我慢できる力」だけではない

ストレス耐性という言葉から、「つらい状況でも我慢できる力」を思い浮かべる方もいます。しかし、職場のストレス管理では、それだけでは不十分です。

本当に大切なのは、強い負荷がかかったときに、無理を続けることではありません。自分の疲れに気づく、早めに休む、相談する、仕事の進め方を調整する、必要な支援を受けることも、ストレス耐性の一部です。

我慢だけを評価する職場では、社員が不調を言い出しにくくなります。その結果、欠勤、離職、ミス、対人トラブルとして表面化するまで、周囲が気づけないことがあります。

ストレス耐性が高く見える社員にも注意が必要

職場では、いつも明るい社員、頼まれた仕事を断らない社員、忙しくても弱音を吐かない社員が「ストレスに強い」と見られることがあります。

しかし、外から見て平気そうに見えることと、心身に負担がかかっていないことは別です。責任感が強い社員ほど、疲れていても無理を続ける場合があります。管理職やリーダー層では、周囲に心配をかけないように不調を隠すこともあります。

人事総務・健康経営担当者が見るべきなのは、本人が強いか弱いかではありません。以前より表情が硬くなっていないか、残業が続いていないか、休憩が取れているか、睡眠や体調の話が増えていないかといった変化です。

ストレス耐性が下がって見えるときの背景

ストレス耐性が下がったように見えるとき、本人の能力が急に落ちたとは限りません。疲労が蓄積している、睡眠が足りていない、家庭の負担が重なっている、職場で相談しにくい状態になっているなど、背景があります。

たとえば、同じ仕事でも、十分に眠れている日と、疲労が抜けていない日では、集中力や判断力が変わります。普段なら受け流せる一言でも、疲れていると強く傷つくことがあります。

このような変化を「最近、弱くなった」と見ると対応が遅れます。むしろ、「負荷が続いて回復が追いついていないのではないか」と見る方が、職場の不調予防には役立ちます。

適度なストレスは行動の力になる

ストレスはすべて悪いものではありません。締め切り、目標、発表、面談、試験など、ほどよい緊張があることで集中しやすくなる場合があります。

心理学では、緊張の強さと成果の関係を説明するときに、ヤーキーズ・ドッドソンの法則が知られています。緊張が低すぎると集中しにくく、反対に高すぎると不安や疲労が強まり、判断力や作業の質が落ちやすくなるという考え方です。

職場で重要なのは、社員に常に高い緊張を求めることではありません。集中できる程度の負荷に収まっているか、負荷が高すぎて回復できない状態になっていないかを確認することです。

強すぎるストレスは判断力と集中力を落とす

ストレスが強すぎる状態が続くと、身体は緊張を解きにくくなります。肩や首に力が入る、眠りが浅くなる、イライラしやすくなる、頭が働きにくくなるといった変化が起こりやすくなります。

この状態では、本人が努力していても、集中力や判断力が落ちます。小さなミスが増えたり、報告や相談が遅れたり、周囲との会話が減ったりすることもあります。

こうした変化を「本人のやる気が足りない」と見ると、さらに負荷が強まります。人事総務や管理職は、行動だけでなく、その背景にある疲労や緊張の続き方を見る必要があります。

ストレス耐性を高めるには回復の習慣が必要

ストレス耐性を高めるというと、精神的に強くなることだけが注目されがちです。しかし、職場で本当に必要なのは、負荷を受けたあとに回復できる習慣です。

睡眠、休憩、軽い運動、深呼吸、相談、仕事量の調整は、どれも回復に関係します。特別なことをするよりも、疲労が強くなる前に小さく回復することが大切です。

社員に「もっと強くなりましょう」と伝えるよりも、「疲れが残っていないか」「休憩を取れているか」「仕事の量が続きすぎていないか」を確認する方が、職場では受け入れられやすくなります。

ポジティブ思考だけではストレス耐性は高まらない

前向きに考えることは、ストレスへの受け止め方を変える助けになる場合があります。ただし、ポジティブ思考だけでストレス耐性が高まるわけではありません。

仕事量が多すぎる、休憩が取れない、上司に相談しにくい、勤務時間が長いといった状態が続いている場合、考え方を変えるだけでは限界があります。

人事総務・健康経営担当者が注意したいのは、「考え方を変えれば大丈夫」と社員に背負わせすぎないことです。本人の受け止め方と、職場側で見直せる負荷の両方を見る必要があります。

企業研修ではストレス耐性を社員評価に使わない

けんこう総研の企業研修では、ストレス耐性を「強い人・弱い人を分ける言葉」として扱いません。社員の状態を責めるためではなく、どのような負荷がかかると不調につながりやすいのかを考えるために使います。

たとえば、責任感の強い社員が仕事を抱え込みやすい場合、必要なのは「もっと強くなること」ではありません。早めに相談できる場をつくること、上司が業務量を確認すること、休憩や回復の時間を確保することです。

人事総務の担当者からも、社員個人の努力に任せるだけではなく、職場の声かけや管理職の見方を変えられる点を評価されています。

人事総務が確認しやすい声かけ

ストレス耐性という言葉を使うよりも、社員には日常の変化を聞く方が話しやすくなります。

  • 最近、疲れが翌日まで残っていませんか
  • 以前より集中しにくい時間が増えていませんか
  • 仕事のあとも気持ちが休まりにくくありませんか
  • 睡眠が浅い、朝から疲れているということはありませんか
  • 相談しにくいまま抱えている仕事はありませんか
  • 休憩を取る時間が少なくなっていませんか

このような声かけは、社員を評価するためではありません。負荷が強くなりすぎていないか、回復する時間が足りているかを確認するための入り口です。

ストレス耐性は職場の見方で変わる

ストレス耐性は、本人の性格だけで決まるものではありません。仕事の量、責任の重さ、相談しやすさ、睡眠、休憩、周囲の支援によって、同じ人でも耐えられる状態は変わります。

だからこそ、職場では「ストレスに強い社員を増やす」だけを目標にしないことが大切です。社員が無理を続けなくても働ける環境をつくり、不調のサインを早めに拾うことが、結果としてストレス耐性を支えます。

ストレス耐性を社員個人の問題にせず、職場全体の不調予防につなげたい場合は、ストレスマネジメント研修をご確認ください。

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