運動強度とストレス反応|肩こり・腰痛を悪化させない職場セルフケア

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ストレス性痛み・コリ改善(セルフケア/タニカワメソッド)

運動強度とストレス反応|肩こり・腰痛を悪化させない職場セルフケア

職場の健康施策で「軽い運動なら誰にでもよい」と思って進めてしまうことはありませんか。

運動は、気分転換やストレス対策に役立つ可能性があります。しかし、社員の体調、運動習慣、肩こりや腰痛の有無を見ないまま同じ運動をすすめると、かえって疲労感や痛みが強くなることがあります。

この記事では、運動強度とストレス反応の関係をもとに、人事総務・健康経営担当者が、職場で痛み・コリを悪化させない軽運動やストレッチをどう設計するかを見ていきます。


職場のストレス管理研修で運動強度を考える現場社員
職場の運動支援では、運動量よりも、社員の体調に合った強度設計が重要です。

職場の運動支援は、強度が合わないと負担になる

企業の健康施策では、ウォーキング、体操、ストレッチ、運動イベントなどが行われることがあります。

運動が得意な社員には良い機会になっても、運動習慣がない社員や、すでに肩こり・腰痛・背中の張りを抱えている社員には、参加しにくい施策になることがあります。

現場では、次のようなことが起こりやすくなります。

  • 運動が得意な社員だけが参加する
  • 運動が苦手な社員は参加しにくい
  • 肩こりや腰痛がある社員には負担になる
  • 「参加しなければいけない」という空気がストレスになる
  • 疲れている社員に運動を追加して、かえって疲労感が増える

問題は、運動そのものではありません。

社員の状態を見ずに、同じ運動を同じ強度で行わせてしまうことです。

職場の運動支援では、運動内容だけでなく、強度、対象者、実施タイミング、参加しやすさを設計する必要があります。

運動強度が上がると、ストレス反応も変わる

タニカワ久美子が日本ストレス学術総会で発表した研究データでは、運動強度の違いによって、ストレスレベルに差が見られました。

比較 主な結果 職場での読み取り
1MET ストレスレベル中央値 40.5 低負荷で、身体への負担が比較的小さい状態
2〜3MET ストレスレベル中央値 50.5 軽い活動でも、人によっては負荷として現れる
統計結果 U = 795.0、p = 0.0228 運動強度による差が確認された

この結果から見えるのは、「軽い運動だから誰にとっても安心」とは言い切れないという点です。

同じ2〜3MET程度の活動でも、運動習慣がある社員には軽い運動に感じられ、運動習慣がない社員には負担として感じられることがあります。

健康経営で運動施策を行うときは、運動量を増やす前に、社員がその強度をどう受け止めるかを確認する必要があります。

心拍数は、回復か負荷かを見分ける手がかりになる

運動強度が上がると、心拍数も上がります。これは自然な身体反応です。

ただし、職場のストレス管理では、心拍数の上昇を「運動効果」とだけ見るのではなく、社員にとって負担になっていないかを見ることが大切です。

運動強度 心拍数中央値 職場での注意点
1MET 73 座位やごく軽い活動に近い状態
2〜3MET 79 軽い活動でも身体反応は上がる
4MET以上 93 人によっては回復ではなく負荷になる
統計結果 H = 515.86、p = 9.61e-113 強度上昇に伴う心拍負荷の差が確認された

ここで重要なのは、「どこまでが回復のための運動で、どこからが負担になるのか」は、社員によって違うという点です。

肩こりや腰痛がある社員、疲労が強い社員、運動習慣がない社員に対しては、4MET以上の活動を最初からすすめるよりも、身体のこわばりに気づく軽い動きから始めたほうが安全です。

運動習慣の有無で、同じ運動でも身体反応は変わる

同じ運動強度でも、運動習慣がある社員とない社員では、心拍数に差が見られました。

運動強度 運動習慣あり 運動習慣なし 職場での読み取り
1MET 中央値 68 中央値 75 低負荷でも身体反応に差が出る
2〜3MET 中央値 74 中央値 80.5 軽い活動でも、習慣の有無で負担感が変わる
4MET以上 中央値 92 中央値 105 高めの強度では差が大きくなりやすい

この結果は、職場の運動支援を考えるうえで重要です。

同じ運動、同じ時間、同じ説明であっても、社員の身体反応は同じではありません。

運動習慣がある社員には適度な活動でも、運動習慣がない社員には強い負担になることがあります。

そのため、健康経営で運動施策を行う場合は、「全員で同じ運動をする」ことを前提にしないほうが安全です。

肩こり・腰痛がある社員には、低負荷のセルフケアから始める

運動習慣がない社員や、すでに肩こり・腰痛がある社員に対して、いきなり強い運動をすすめる必要はありません。

最初に必要なのは、身体を鍛えることではなく、自分の身体のこわばりに気づくことです。

  • 肩に力が入っていないか確認する
  • 腰が重くなっていないか気づく
  • 呼吸が浅くなっていないか確認する
  • 長時間同じ姿勢が続いていないか見直す
  • 痛みがある日は、無理に運動しない

このような低負荷のセルフケアから始めることで、運動が苦手な社員でも参加しやすくなります。

職場のストレス管理では、運動量を増やすことだけを目標にしません。

社員が自分の身体の状態に気づき、無理なく整えられることを目標にします。

職場で運動強度を選べるようにする

職場で軽い運動やストレッチを取り入れるときは、社員が自分の状態に合わせて選べる形にすることが大切です。

社員の状態 避けたい進め方 取り入れやすい方法
運動習慣がない 最初から全身運動や長時間の運動を求める 椅子に座ったままの肩回しや足首の動きから始める
肩こりが強い 無理に腕を大きく回す 呼吸に合わせて肩の力を抜く動きから始める
腰痛がある 深い前屈や反動をつけた動きを行う 腰に負担をかけない姿勢確認や軽い体幹の意識づけを行う
疲労が強い 健康のためとして運動を追加する 運動より休息、深呼吸、短い姿勢変更を優先する
人前で動くことが苦手 全員の前で大きな動きをさせる 目立たずできる小さな動きを選べるようにする

運動支援で大切なのは、社員を同じ型に合わせることではありません。

社員が自分の体調に合わせて、無理のない動きを選べることです。

タニカワ久美子の企業研修では、研究データを軽いストレッチ演習に置き換える

タニカワ久美子の企業研修では、研究データをそのまま説明して終わりにはしません。

健康経営担当者や社員が職場で使えるように、運動強度の考え方を、実際の軽い動きへ置き換えます。

過去に実施したセミナーでは、椅子に座ったままできる肩回し、背中を伸ばす動き、呼吸に合わせたストレッチなど、運動が苦手な社員でも参加しやすい内容を取り入れてきました。

研修の現場では、短いストレッチのあとに「肩に力が入っていたことに気づいた」「腰が重いのを当たり前にしていた」「呼吸が浅かった」と話す社員がいます。

この気づきが、ストレス性の痛み・コリ改善では重要です。

運動の目的は、社員を疲れさせることではありません。自分の身体の緊張に気づき、悪化する前に整えるきっかけをつくることです。

管理職には、「運動をすすめる前に、疲労、痛み、運動習慣の有無を確認してください」と伝えます。良かれと思った運動の声かけが、社員によってはプレッシャーになることがあるからです。

人事総務の担当者からも、座学だけではなく、全員で実際にできる軽い運動がある点を評価されています。

人事総務が確認したい運動強度のチェックポイント

人事総務・健康経営担当者が職場で運動支援を行うときは、次の点を確認してください。

  • 運動習慣がない社員にも参加しやすい内容か
  • 肩こりや腰痛がある社員に同じ動きを求めていないか
  • 疲労が強い社員に運動を追加していないか
  • 強度を選べる設計になっているか
  • 参加しない選択が不利益になっていないか
  • 運動後に疲労や痛みが強くなっていないか
  • 研修後も職場で続けやすい軽い動きになっているか

職場の運動施策は、参加率や歩数だけで評価すると、実態を見誤ることがあります。

見るべきなのは、社員が自分の身体の状態に気づけるようになったか、休憩や軽いセルフケアを取り入れやすくなったか、痛みやコリを我慢し続ける前に相談しやすくなったかです。

職場全体のストレス管理として制度や役割分担も確認したい場合は、ストレス管理とは|人事・総務が進める制度設計・役割分担・KPI運用もあわせて確認すると、運動支援を単発のイベントで終わらせにくくなります。

運動強度を設計すると、職場のセルフケアは安全に進めやすい

運動は、職場のストレス対策に役立つ可能性があります。

しかし、運動強度や運動習慣を見ないまま全員に同じ内容をすすめると、かえって疲労や痛み・コリを悪化させる場合があります。

研究データからも、運動強度が上がると心拍数やストレス反応が変化し、運動習慣の有無によって身体反応に差が出ることが示されています。

健康経営で必要なのは、「もっと運動しましょう」とすすめることではありません。

社員の状態に合わせて、軽い動きから始め、必要に応じて強度を選べるようにすることです。

ストレス性の痛み・コリ改善では、運動を強制するのではなく、身体のサインに気づき、無理なく整える職場セルフケアとして設計することが重要です。

肩こり・腰痛を悪化させない職場セルフケアを研修に取り入れたいご担当者様へ

けんこう総研では、運動が苦手な社員や、肩こり・腰痛を抱える社員にも配慮したストレスマネジメント研修を行っています。軽いストレッチ、呼吸法、身体のこわばりへの気づきを、職場で実践しやすい内容に落とし込みます。

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