ストレス対策の運動は強度で使い分ける|痛み・コリを悪化させない選び方

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ストレス対策の運動は強度で使い分ける|痛み・コリを悪化させない選び方

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ストレス性痛み・コリ改善(セルフケア/タニカワメソッド)

ストレス対策の運動は強度で使い分ける|痛み・コリを悪化させない選び方

ストレス対策として「運動がよい」と言われることは多くあります。しかし、職場で運動を取り入れる場合は、どのような運動でも同じようにすすめればよいわけではありません。

とくに、肩こり、腰痛、背中の張り、疲労感がある社員に対しては、運動の強度を間違えると、かえって負担になることがあります。

ストレス対策の運動には、大きく分けて、今ある緊張をゆるめる運動と、回復するための余力を高める運動があります。

この2つは、目的も身体の反応も違います。

今すぐ緊張をゆるめたい人に強い運動をすすめると、疲労や痛みが増えることがあります。一方で、体力や回復力を高めたい場合は、ある程度の負荷を伴う運動を、休息とセットで続ける必要があります。

本記事では、ストレス対策で使う運動を、強度と目的でどう使い分けるかを整理します。健康経営や職場セルフケアで、肩こり・腰痛を悪化させない運動施策を考えるための視点としてご活用ください。

職場のストレス対策として運動を取り入れる作業着姿の従業員

ストレス対策として運動を取り入れる場合は、目的に応じて強度と内容を選ぶことが重要です。

ストレス対策の運動は、強度と目的で使い分ける

まず結論から整理します。

目的 緊張をゆるめる運動 回復する余力を高める運動
主な目的 今ある緊張や疲労感をゆるめる 負荷に対応できる身体の余力を高める
効果の出方 比較的短時間で気分転換やリラックスを感じやすい 継続によって中長期的に変化しやすい
運動強度 低〜中強度 中〜やや高強度
身体反応 呼吸や筋肉の緊張が整い、回復方向へ向かいやすい 一時的に負荷をかけ、その後の回復力を高める
向いている状態 疲れている、緊張している、肩こりや腰の重さがある 体力をつけたい、疲れにくさを高めたい、運動習慣がある
注意点 軽すぎると物足りなく感じる人もいる 疲労時や痛みがある時は逆効果になる場合がある

同じ「運動」でも、ストレスを下げたいのか、痛みやコリをゆるめたいのか、体力をつけたいのかで、選ぶ内容は変わります。

緊張をゆるめる運動とは

緊張をゆるめる運動とは、今ある疲労感、イライラ、不安感、肩こり、腰の重さを軽くするための運動です。

強い負荷をかけることよりも、身体を動かしながら呼吸や筋肉の緊張に気づき、心身を回復方向へ戻すことを目的にします。

代表的な運動には、次のようなものがあります。

  • ゆっくりしたウォーキング
  • 昼休みの短時間散歩
  • 軽いストレッチ
  • 椅子に座ったままできる肩・首・背中の体操
  • 呼吸に合わせて行う背伸び
  • 立ち上がって姿勢を変える動き

緊張をゆるめる運動では、「頑張った感じ」よりも、終わったあとに呼吸が少し深くなる、肩の力が抜ける、気分が切り替わることが重要です。

肩こりや腰痛がある社員には、強い運動よりも、まずこのタイプの運動が向いています。

緊張をゆるめる運動の身体反応

ストレスを感じると、身体は緊張状態になります。心拍数が上がる、呼吸が浅くなる、筋肉がこわばる、肩や腰に力が入りやすくなるなどの変化が起こります。

低〜中強度の運動は、この緊張状態に気づき、身体を回復方向へ切り替えるきっかけになります。

たとえば、軽いウォーキングやストレッチでは、次のような変化を感じやすくなります。

  • 呼吸が深くなりやすい
  • 肩や背中のこわばりに気づきやすい
  • 腰まわりの力みを確認しやすい
  • 血流が促されやすい
  • 気分転換しやすい

このタイプの運動は、強いストレス状態の人、疲労が蓄積している人、運動習慣がない人にも取り入れやすい方法です。

ストレスを下げたいときは、運動強度を上げすぎない

ストレスを下げる目的なら、運動強度は高すぎないほうが適しています。

目安は、会話ができる程度の軽さです。息が切れすぎる、翌日に強い疲労が残る、運動すること自体が負担になる場合は、強度が高すぎる可能性があります。

社員の状態 向いている運動 避けたい運動
疲労感が強い 短い散歩、軽いストレッチ 高強度トレーニング
緊張が強い 呼吸を整える体操、肩回し、背伸び 競争性の高い運動
睡眠不足 日中の軽い活動、外気に触れる散歩 夜遅い激しい運動
肩こり・腰痛がある 痛みのない範囲で行う低負荷運動 全員一律の強い運動
運動が苦手 立ち上がる、歩く、伸ばすなどの低負荷運動 義務的な運動イベント

ストレスを下げたいときは、運動を「鍛えるもの」と考えるより、身体を回復方向へ戻す行動として扱うほうが実践しやすくなります。

回復する余力を高める運動とは

回復する余力を高める運動とは、身体に適度な負荷をかけ、その後に休む経験を積み重ねることで、疲れにくさや回復しやすさを高める運動です。

ここでいう「強くなる」とは、ストレスを我慢できるようになるという意味ではありません。

負荷がかかったあとに回復できる身体の余力を増やし、心拍、呼吸、筋力、持久力、自律神経の切り替えを整えていくことです。

代表的な運動には、次のようなものがあります。

  • やや速めのウォーキング
  • ランニング
  • サイクリング
  • 筋力トレーニング
  • 短時間のインターバル運動

ただし、このタイプの運動は、休息とセットで考える必要があります。負荷だけを増やすと、ストレス対策ではなく疲労の上乗せになります。

強いストレス状態では、高強度運動が逆効果になることがある

ストレスが強いときに、さらに高強度の運動を行うと、かえって負担になることがあります。

たとえば、睡眠不足、疲労蓄積、長時間労働、強い不安がある状態で激しい運動を行うと、身体は十分に回復できないまま、さらに負荷を受けることになります。

次のような状態では、回復する余力を高める運動よりも、まず身体をゆるめる運動や休息を優先します。

  • 寝ても疲れが取れない
  • 肩こりや腰痛が強くなっている
  • 動悸や息苦しさがある
  • 強い不安や焦りが続いている
  • 仕事のミスや判断遅れが増えている
  • 休日も何もする気が起きない
  • 運動後に強い疲労が残る

このような場合は、軽い散歩、ストレッチ、休息、睡眠、業務量の見直しを優先したほうが安全です。

目的別に運動を選ぶ考え方

運動によるストレス対策では、「何をするか」より先に、「何を目的にするか」を決めることが重要です。

目的 適した運動 実施のポイント
今の緊張を下げたい ストレッチ、呼吸を伴う体操、軽い散歩 短時間でよいので、呼吸と筋緊張を整える
肩こりをゆるめたい 肩回し、背伸び、首まわりをゆっくり動かす運動 痛みのない範囲で行う
腰の重さを軽くしたい 立ち上がる、歩く、腰まわりを軽く動かす 長時間同じ姿勢を避ける
気分を切り替えたい ウォーキング、外気に触れる散歩 仕事場から一度離れる
体力をつけたい やや速めの歩行、筋トレ、サイクリング 休息日を入れて継続する
回復力を高めたい 中強度以上の有酸素運動、筋力トレーニング 疲労状態を見ながら段階的に強度を上げる

目的が曖昧なまま運動を始めると、「ストレスを下げたいのに疲れる運動をしてしまう」「体力をつけたいのに軽すぎて変化が出ない」というミスマッチが起こります。

職場の健康経営で運動施策を行うときの注意点

企業の健康経営では、ウォーキングイベント、ストレッチ研修、運動アプリ、ウェアラブルデータ活用などの施策が行われることがあります。

これらを実施する際に注意すべきなのは、従業員全員に同じ運動をすすめないことです。

従業員の状態はそれぞれ異なります。

  • 運動習慣がある人
  • 運動が苦手な人
  • 疲労が蓄積している人
  • 肩こりや腰痛がある人
  • 睡眠不足の人
  • ストレスチェックで高ストレス傾向がある人

同じ運動でも、ある人には気分転換になり、別の人には負担になることがあります。

健康経営で運動施策を行う場合は、運動量を増やすことだけを目的にせず、ストレス軽減、回復、体力づくり、職場の休憩設計を分けて考える必要があります。

人事総務が見るべき運動施策の評価ポイント

運動施策の成果を、参加率や歩数だけで判断すると、実態を見誤ることがあります。

人事総務が見るべきなのは、運動によって従業員の回復行動やセルフケア行動がどう変わったかです。

評価項目 確認したいこと 注意点
参加率 どの層が参加しているか 健康意識の高い人だけに偏っていないか
継続率 無理なく続けられているか 短期イベントで終わっていないか
疲労感 運動後に回復感があるか かえって疲れていないか
痛み・コリ 肩こりや腰痛が悪化していないか 痛みがある人に同じ運動を求めていないか
休憩行動 座りっぱなしや休憩不足が改善しているか 業務量が変わらないまま運動だけ追加していないか
職場風土 休憩やセルフケアを取りやすい雰囲気があるか 個人努力だけにしていないか

職場の運動施策は、健康イベントではなく、ストレス管理と回復支援の一部として設計する必要があります。

管理職が部下に運動をすすめるときの注意点

管理職が部下に運動をすすめるときは、言い方にも注意が必要です。

「運動したほうがいい」「もっと体力をつけたほうがいい」という言葉は、本人によっては努力不足を指摘されたように聞こえることがあります。

とくに疲労が強い部下に対しては、運動よりもまず休息や業務調整が必要な場合があります。

避けたい声かけ 問題点 望ましい確認
運動すればストレスは減るよ 個人努力だけの問題に見える 疲労や睡眠の状態はどうですか
もっと体力をつけたほうがいい 本人を責める印象になりやすい 今の業務量で回復時間は取れていますか
みんな歩いているよ 同調圧力になる 取り入れやすい方法を選べるようにしましょう
高強度の運動をやってみたら 疲労や痛みがある人には逆効果になる可能性がある まず軽い動きから試せそうですか

運動をすすめる前に、本人の疲労状態、睡眠、業務負荷、痛みの有無、運動への抵抗感を確認することが重要です。

タニカワ久美子の企業研修で、このテーマをどう扱うか

タニカワ久美子の企業研修では、ストレス対策としての運動を、単なる体操や健康イベントとして扱いません。

研修では、最初から「運動しましょう」と伝えるのではなく、まず社員自身が、自分の肩、首、背中、腰のこわばりに気づくことから始めます。

実際の企業研修では、全員でストレス改善ストレッチ運動を行う演習が好評です。椅子に座ったまま肩を動かす、背中を伸ばす、呼吸に合わせて身体をゆるめるといった、運動が苦手な社員でも参加しやすい内容にします。

研修の場では、ストレッチ後に「自分の肩に力が入っていたことに気づいた」「腰が重いのを当たり前だと思っていた」と感じる社員がいます。この気づきが、ストレス性の痛み・コリ改善では重要です。

管理職には、「部下に運動をすすめる前に、疲れていないか、痛みを我慢していないか、休憩が取れているかを確認してください」と伝えます。運動をすすめる言葉が、本人にはプレッシャーとして届くことがあるからです。

健康経営担当者にとって大切なのは、社員全員に同じ運動をさせることではありません。緊張をゆるめたい人、痛みやコリがある人、体力をつけたい人を分けて、無理なく選べる運動設計にすることです。

まとめ:ストレス対策の運動は、目的と強度で使い分ける

ストレス対策の運動には、緊張をゆるめる運動と、回復する余力を高める運動があります。

緊張をゆるめる運動は、低〜中強度で、肩こりや腰の重さ、呼吸の浅さに気づき、身体を回復方向へ戻すことを目的にします。ウォーキング、ストレッチ、軽い体操などが取り入れやすい方法です。

一方、回復する余力を高める運動は、適度な負荷と休息を繰り返すことで、体力や回復力を高めることを目的にします。中〜やや高強度の有酸素運動や筋力トレーニングが該当します。

ただし、疲労、睡眠不足、肩こり、腰痛が強い状態で高強度運動を行うと、逆に負担になることがあります。

職場の健康経営では、全員に同じ運動をすすめるのではなく、ストレスを下げたいのか、身体をゆるめたいのか、体力を高めたいのかを分けて設計することが重要です。

ストレス対策の運動は、社員を頑張らせるためのものではありません。身体のサインに気づき、痛み・コリを悪化させず、無理なく回復へ向かうための職場セルフケアです。

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けんこう総研では、企業・介護施設・教育機関向けに、ストレス改善ストレッチ、職場セルフケア、管理職ラインケアを含めたストレスマネジメント研修を行っています。社員の肩こり・腰痛・疲労感に配慮しながら、無理なく実践できる運動演習を設計できます。

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