睡眠障害の有病率と併存疾患|人事総務の職場対応

ストレス・セルフケアを組み合わせた健康経営研修

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ストレス研究ノート|研修現場から読むストレス科学

睡眠障害の有病率と併存疾患|人事総務の職場対応

眠れない、夜中に目が覚める、日中に強い眠気がある。社員からこのような話が出たとき、人事総務・健康経営担当者は判断に迷いやすくなります。

本人の生活習慣の問題なのか。業務量や職場ストレスが関係しているのか。メンタルヘルス不調や身体疾患が隠れている可能性を見ておくべきなのか。

睡眠障害は、本人の努力不足だけで片づけられる問題ではありません。不安、抑うつ、身体疾患、長時間労働、シフト勤務、相談しにくい職場風土と重なって見えることがあります。

人事総務が職場で必要とされるのは、診断名を判断することではありません。眠れていない社員を責めず、職場で見える変化を拾い、管理職の声かけを整え、必要に応じて産業保健や医療相談につなぐことです。

睡眠障害が疑われる社員を、生活習慣の問題だけで見ない

職場では、睡眠の話題が出ると「早く寝ましょう」「スマホを控えましょう」「生活リズムを整えましょう」という助言に流れやすくなります。

生活習慣の見直しは大切です。しかし、職場ストレスが強い状態では、本人が努力しても眠りが安定しにくいことがあります。

たとえば、退勤後も顧客対応のことが頭から離れない。上司に相談しにくく、仕事を抱え込んでいる。夜勤やシフト勤務で睡眠リズムが崩れている。こうした状態では、睡眠不調を本人の自己管理だけに戻すほど、相談は遅れやすくなります。

人事総務が見ておきたいのは、睡眠時間そのものよりも、睡眠不調の後ろに職場の負荷が続いていないかです。

有病率と併存疾患の研究は、職場での見落とし防止に使う

Ohayonによる一般人口を対象にした睡眠障害の疫学的整理では、不眠、睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群、日中の過度な眠気など、複数の睡眠障害が一般人口の中で一定割合みられることが示されています。

また、睡眠障害は単独で存在するだけでなく、不安、抑うつ、高血圧、心血管系疾患などと併存することがあります。

この研究知見を職場で読むときに重要なのは、「どの社員が何の病気か」を人事総務が判断することではありません。睡眠不調を軽く見ず、メンタルヘルス不調や身体的負荷と重なる可能性を見落とさないことです。

研究で扱われる視点 職場で見える変化 人事総務の実務判断
不眠 寝つきにくい、途中で目が覚める、眠った感じがしないと話す 本人の気合いや生活態度の問題にせず、業務負荷や相談しにくさを確認する
日中の眠気 会議中の集中低下、確認ミス、判断の遅れが増える 注意不足として叱責せず、疲労蓄積や睡眠不調の可能性を管理職と共有する
睡眠時無呼吸症候群 強い眠気、疲労感、日中のぼんやり感が続く 職場で診断せず、本人が相談しやすい言葉で産業保健や医療相談につなぐ
不安・抑うつとの併存 眠れない状態に加えて、表情の変化、会話の減少、欠勤傾向が見える 睡眠だけの問題にせず、メンタルヘルス不調の早期サインとして見守る
身体疾患との併存 疲れが抜けない、体調不良の訴えが増える、勤務中の負担感が強まる 健康経営の面談や産業保健スタッフとの連携対象として扱う

人事総務が職場で確認したいサイン

睡眠障害が疑われる社員への対応では、本人に睡眠時間だけを聞いても十分ではありません。

本人が「大丈夫です」と話していても、職場側には先に変化が出ていることがあります。

  • 朝から疲れた表情が続いている
  • 会議や作業中の集中が続きにくい
  • 確認ミス、判断の遅れ、報告漏れが増えている
  • 遅刻、欠勤、早退が以前より増えている
  • 雑談や相談が減り、孤立して見える
  • 退勤後も仕事の連絡や対応が続いている
  • 夜勤、シフト勤務、繁忙期の負荷が続いている

これらの変化が重なる場合、睡眠不調を本人の生活習慣だけに戻す対応は危険です。

人事総務は、本人の状態、業務量、勤務時間、管理職との関係、相談経路を合わせて見ておく必要があります。

管理職には、診断ではなく声かけの基準を渡す

管理職に必要なのは、睡眠障害を判断する知識ではありません。眠れていない部下を責めない言葉と、人事総務へ早めに共有する基準です。

「ちゃんと寝ているのか」「自己管理ができていないのでは」と伝えると、社員は相談しにくくなります。

職場で使いやすい声かけは、原因を決めつけず、仕事の負荷と体調変化を一緒に確認する言葉です。

避けたい声かけ 職場で使いやすい声かけ 人事総務へ共有したい状態
夜ふかししているんじゃないの 最近、朝の疲れが残っているように見えます 疲労感が続き、業務中の集中低下も見える
自己管理をしっかりして 仕事後も気持ちが切り替わりにくいことはありませんか 退勤後の連絡や業務の抱え込みが続いている
眠いなら早く寝ればいい 勤務時間や業務量で負担になっていることはありませんか 長時間労働、シフト勤務、繁忙期の負荷が続いている
気にしすぎではないか 無理に一人で抱えず、人事や産業保健にも相談できます 欠勤、遅刻、表情の変化、相談の減少が重なっている

管理職が早い段階で責めない声かけをできると、社員は状態を話しやすくなります。

人事総務にとっても、睡眠不調をきっかけに、業務量、勤務時間、相談経路、産業保健との連携を見直しやすくなります。

タニカワ久美子の研修では、睡眠障害を職場判断に変換する

タニカワ久美子の企業研修では、睡眠障害を医学的に診断するテーマとして扱いません。

研修で重視するのは、社員本人が「自分の弱さ」「気合い不足」と受け止めないこと、管理職が「自己管理の問題」と決めつけないこと、人事総務が早めに相談経路を整えることです。

研修現場では、本人が「疲れているだけ」と話していても、睡眠不足、日中の眠気、仕事後の考え込み、朝の疲労感、集中力低下が重なっていることがあります。

この段階で管理職が責めずに声をかけ、人事総務が勤務状況や業務負荷を確認できると、メンタルヘルス不調の予防、休職リスクの低減、離職防止につなげやすくなります。

人事総務の担当者からは、睡眠を精神論ではなく、疲労感、集中力、勤務状況、職場での変化として話せる点が評価されています。

睡眠障害という言葉を出すと、社員も管理職も身構えやすくなります。だからこそ研修では、診断名から入らず、職場で見えている変化から入ることが重要です。

人事総務が判断に迷ったときの見方

睡眠不調の訴えが出たとき、人事総務が一人で医療的な判断を抱える必要はありません。

職場で確認したいのは、次の三つです。

  • 睡眠不調が一時的なものか、継続しているのか
  • 業務量、勤務時間、シフト、顧客対応、人間関係の負荷が重なっていないか
  • 集中力低下、ミス、欠勤、表情の変化、相談の減少が同時に出ていないか

これらが重なる場合は、本人の生活習慣だけに戻さず、管理職、人事総務、産業保健スタッフで情報を共有し、早めに相談しやすい状態をつくることが必要です。

睡眠障害が疑われる社員への対応は、診断ではなく、見守りと接続の実務です。

職場のストレス対策を、社員の自己努力だけで終わらせず、管理職の声かけや職場改善につなげたい場合は、ストレスマネジメント研修をご覧ください。

参考文献

Ohayon, M. M. (2007).
Prevalence and comorbidity of sleep disorders in general population.
La Revue du praticien, 57(14), 1521-1528.

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