寝不足でハイになるのはなぜ?徹夜後のランナーズハイと判断力

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ラインケア・管理職支援

徹夜後や夜勤明けなのに、なぜか妙に元気になる。

「眠っていないのに頭が冴えている」
「疲れているはずなのにテンションが高い」
「むしろ仕事が進む気がする」

この感覚は、検索では「徹夜後のランナーズハイ」として調べられることがあります。

では、徹夜後の高揚感は本当にランナーズハイなのでしょうか。

結論から言えば、長時間運動後に生じるランナーズハイと、睡眠不足のあとに生じる高揚感を同じ現象として扱うことはできません。

ただし、職場のストレス管理という点では、両者から共通して考えるべき重要なことがあります。

本人が「気分がいい」「まだ動ける」と感じていることと、脳や身体が十分に回復していることは同じではないという点です。


徹夜後のランナーズハイに似た高揚感と睡眠不足による職場リスク
徹夜後の「妙な元気さ」は、回復した証拠ではなく、疲労を自覚しにくくなっている状態として職場では判断します。

徹夜後のランナーズハイに似た感覚を「好調」と判断しない

ランナーズハイは、長時間の持久運動に伴って気分の高揚や苦痛の軽減などを感じる現象です。研究ではオピオイド系やエンドカンナビノイド系など、複数の仕組みとの関係が検討されています。

一方、徹夜後や夜勤明けでは、睡眠不足、長時間の覚醒、緊張、業務負荷が重なっています。

本人が「眠くない」「まだできる」と感じていても、注意、確認、反応、判断などが十分とは限りません。

したがって職場では、徹夜後のランナーズハイに似た高揚感を、能力が上がった状態ではなく、疲労と自己認識がずれている可能性のある状態として扱います。

人事総務が見るべきなのは「元気か」ではなく、誰が勤務を止めるか

社員に見える状態 管理職が確認すること
「大丈夫です」と仕事を続ける 本人の申告だけで勤務継続を判断していないか
夜勤明けなのに元気そう 睡眠時間・勤務時間・連続勤務を確認しているか
判断が普段より速い 確認漏れや思い込みが増えていないか
休憩を取らない 管理職側から休憩・交代を指示できるか
重要業務を続けようとする 別担当者の確認や業務交代ができるか

ここまではAIで調べれば分かります。

しかし、企業で難しいのはここからです。
徹夜したあとや寝不足が続いたときに、

「眠っていないのに、なぜかテンションが高い」
「疲れているはずなのに妙に元気」
「眠気がなくなって頭が冴えた気がする」
「むしろ仕事が進む気がする」

と感じることがあります。

検索では、

「寝不足 ハイになる」
「寝不足 ハイテンション なぜ」
「寝不足 ハイテンション 名前」
「徹夜ハイ」
「徹夜テンション」

などの言葉で調べられている状態です。

こうした状態を日常的に「寝不足ハイ」「徹夜ハイ」などと呼ぶことがありますが、これらがそのまま医学的な正式名称というわけではありません。

また、長時間の運動後に起こる「ランナーズハイ」と、睡眠不足後の高揚感を同じ現象として扱うこともできません。

では、なぜ寝不足なのにハイになったように感じるのでしょうか。

重要なのは、

「眠くない」「テンションが高い」「頭が冴えた感じがする」という本人の感覚と、脳や身体が十分に回復していることは同じではない

という点です。


寝不足や徹夜後なのにハイテンションになる状態と疲労・判断力のずれ
寝不足なのに妙に元気に感じても、睡眠不足そのものが解消されたとは限りません。

寝不足なのにハイテンションになるのはなぜ?

睡眠時間が不足しているにもかかわらず、一定の時間を過ぎると、

  • 眠気をあまり感じなくなる
  • 話す量が増える
  • テンションが高くなる
  • 判断が速くなったように感じる
  • 「まだできる」と思う

ことがあります。

これは、「疲労がなくなった」「睡眠不足から回復した」という意味ではありません。

人は長時間起き続けていると、自分の疲労や眠気を感じる程度と、注意・反応・判断などの状態が必ずしも一致しないことがあります。

そのため、

本人は「今日は意外と大丈夫」と感じているのに、確認漏れや判断ミスが増えている

ということが起こり得ます。

寝不足でテンションが上がったときに最も注意したいのは、本人が「調子が戻った」と受け取ってしまうことです。

「寝不足ハイ」「徹夜ハイ」に正式な名前はある?

「寝不足でハイテンションになる現象の名前は?」
「疲れているのにテンションが上がるのは何という状態?」

と検索する方も多いようです。

日常的には、

  • 寝不足ハイ
  • 徹夜ハイ
  • 深夜ハイ
  • 残業ハイ

などと表現されます。

ただし、これらは一般的な呼び方であり、特定の医学的診断名を示す言葉ではありません。

そのため、

「寝不足ハイだから問題ない」
「よくある状態だから安全」
「ランナーズハイと同じ状態」

と判断することはできません。

むしろ確認したいのは、

  • どのくらい眠っていないか
  • 何時間起き続けているか
  • 長時間勤務が重なっていないか
  • このあと運転や重要判断をする予定があるか

です。

現象の名前より、睡眠不足の程度と、その後に何をするかの方が重要です。

徹夜後の高揚感はランナーズハイと同じなのか

ランナーズハイとは、本来、長時間の持久運動に伴って、苦痛が軽減したり気分が高揚したりする現象を指します。

研究では、オピオイド系やエンドカンナビノイド系など、複数の仕組みとの関連が検討されています。

一方、徹夜後や強い睡眠不足の状態では、

  • 長時間の覚醒
  • 睡眠不足
  • 心理的な緊張
  • 締切や仕事への集中
  • 疲労

などが重なっています。

そのため、本人が感じる「妙な元気さ」がランナーズハイに似ていても、

運動によるランナーズハイと、徹夜後の高揚感を同じ生理現象だと断定することはできません。

このサイトで「徹夜後のランナーズハイ」と表現する場合も、両者が同じ現象だという意味ではなく、

「疲れているはずなのに、本人には元気になったように感じられる状態」

を分かりやすく説明するための表現として使用しています。

寝不足なのに「頭が冴えている」と感じても判断力が上がったとは限らない

寝不足が続いたあとに、

「急に頭が冴えてきた」
「さっきより仕事が進む」
「判断が速くなった」

と感じることがあります。

しかし、ここで区別したいのが、

本人が感じる覚醒感と、仕事に必要な正確さは別

という点です。

仕事では、

  • 注意を持続する
  • 複数の情報を照合する
  • ミスに気づく
  • 感情を調整する
  • 状況を見て判断を修正する

といった機能が必要になります。

本人が「眠くない」と感じているだけで、これらが通常どおり保たれているとは限りません。

そのため、

「眠くない=仕事を続けても問題ない」ではありません。

寝不足でハイになるときに起こりやすい「自分では気づきにくい変化」

睡眠不足で難しいのは、疲労が必ず「眠そうな見た目」として表れるわけではないことです。

たとえば、

本人が感じていること 実際には確認したいこと
「眠くない」 睡眠時間そのものは不足していないか
「頭が冴えている」 確認漏れや思い込みが増えていないか
「仕事が速い」 確認工程を省略していないか
「まだ大丈夫」 長時間覚醒・長時間勤務になっていないか
「気分がいい」 普段より判断が強気になっていないか

本人の感覚を否定する必要はありません。

ただし、

本人の感覚だけを、疲労状態や安全性を判断する唯一の基準にはしない

ことが重要です。

徹夜明け・寝不足のあとに特に注意したい行動

睡眠不足の影響は、単に「眠くなる」ことだけではありません。

徹夜後や強い寝不足の状態では、次のような行動について特に慎重に考える必要があります。

  • 車を運転する
  • 機械を操作する
  • 高所など危険を伴う作業をする
  • 重要な契約・金額を判断する
  • 複数の数字や情報を照合する
  • 感情負荷の高い対人対応をする

「眠気がないからできる」ではなく、

睡眠時間や覚醒時間を含めて考える必要があります。

特に、徹夜明けや夜勤明けに運転する場合は、本人の「眠くない」という感覚だけで安全性を判断しないことが重要です。

仕事では「なぜハイになるか」と「何を任せるか」を分けて考える

ここまでは、

なぜ寝不足なのにハイになるのか

という仕組みについて説明してきました。

職場では、この理解に加えて、

「その状態の社員に何を任せるか」

を別に判断する必要があります。

たとえば、

  • 本人は元気そうでも重要判断を一人に任せない
  • 確認作業には別の担当者を入れる
  • 運転・機械操作など安全性の高い注意が必要な業務を見直す
  • 勤務時間や睡眠状況を確認する

といった対応です。

ここから先は、「寝不足ハイの仕組み」ではなく、管理職の業務判断の問題になります。

徹夜・夜勤明けの社員に何を任せるかは別記事で解説しています

すでに徹夜や夜勤を終えた社員が、

「元気です」
「全然眠くありません」
「普通に働けます」

と言っている場合、

管理職がどの業務を任せ、何を外すか

についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

徹夜明けのランナーズハイ|寝不足・夜勤明けに元気な社員をどう判断するか

この記事が「なぜ寝不足なのにハイになるのか」を扱うのに対して、上の記事では勤務後・翌朝の業務判断を扱っています。

深夜残業中の「まだ頑張れる」をどこで止めるかは別の判断です

一方、まだ勤務中で、

「今日中に終わらせたい」
「深夜になってむしろ集中してきた」
「まだ頑張れる」

という社員を、

どこで切り上げるか

についてはこちらで整理しています。

深夜残業のランナーズハイ|「まだ頑張れる」を止める管理職判断

つまり3つの問題は、

  • 寝不足なのになぜハイになるのか=この記事
  • 徹夜・夜勤明けの社員に何を任せるか=徹夜明けの記事
  • 深夜残業中の仕事をどこで止めるか=深夜残業の記事

と分けて考えることができます。

社員の「大丈夫」だけで判断していないか確認する

ここからは、人事総務・健康経営担当者向けです。

睡眠不足の仕組みを理解しても、それだけでは職場の対応は決まりません。

自社で確認したいのは、

  • 本人の「大丈夫」だけで勤務継続を決めていないか
  • 睡眠時間・勤務時間を確認しているか
  • 重要判断を一人に任せない基準があるか
  • 休憩・交代を誰が判断するのか決まっているか
  • 管理職によって対応が大きく違っていないか

です。

知識として「睡眠不足は危険」と分かっていても、実際の職場判断が本人任せであれば、疲労管理は機能しません。

長時間労働・疲労時の管理職対応を、自社で確認したいご担当者様へ

けんこう総研では、人事総務・健康経営担当者が、夜勤明け、長時間労働後、緊急対応後などに、管理職が本人の「大丈夫です」だけで判断していないか、休憩・交代・確認体制まで判断できているかを整理できる「長時間労働・疲労時の管理職対応判断シート」をご用意しています。

まだ研修を依頼する段階でなくてもご利用いただけます。


    送信いただいた情報は、社内検討用チェックシートの送付および本資料に関するご連絡のために利用します。
    個人情報の取扱いについてをご確認ください。


    管理職ラインケア研修では「知識」を「職場判断」へ変える

    睡眠不足や疲労について知識を得ることと、実際の職場で適切に判断できることは別です。

    タニカワ久美子の管理職ラインケア研修では、

    • 勤務状況を見る
    • 普段との変化に気づく
    • 声をかける
    • 休ませる
    • 業務を交代する
    • 確認者を増やす
    • 必要に応じて専門職へつなぐ

    という、管理職が現場で実行する判断行動まで整理します。

    御社の課題が、

    「疲労について知らないこと」ではなく、「疲労している可能性のある社員を前にしたとき、管理職ごとに判断が違うこと」

    であれば、ラインケア研修で扱うべき課題です。

    管理職ラインケア研修|疲労時の判断を管理職の共通行動へ変える

    医療的な対応について

    強い不眠、極端な眠気、著しい気分の高ぶり、動悸などの体調変化や、日常生活への支障が続く場合は、職場での疲労管理だけで判断せず、必要に応じて医療機関や専門職へ相談してください。

    管理職は診断を行うのではなく、普段との変化に気づき、適切な相談先につなぐ役割を担います。

    参考文献

    • Boecker H, et al. The runner’s high: opioidergic mechanisms in the human brain. Cerebral Cortex. 2008.
    • Fuss J, et al. A runner’s high depends on cannabinoid receptors in mice. PNAS. 2015.
    • NIOSH. Sleep and Work Hours.

    文責:タニカワ久美子

    研修テーマが未定でも、対象者・職場状況・実施時期に合わせて整理します。

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