健康経営
在宅勤務で疲れる理由|休めない働き方の見直し
在宅勤務では、通勤がなくなり、自宅で働けるようになったことで「楽になったはず」と見られやすくなります。ところが実際には、出社していた頃より疲れが抜けにくいと感じる社員もいます。
人事総務の担当者からも、「在宅勤務の方が楽なはずなのに、疲れている社員が増えた気がする」「休日明けでも元気が戻っていない社員がいる」という相談を受けることがあります。
在宅勤務の疲れは、体をたくさん使った疲労とは少し違います。勤務後も仕事の連絡が気になる、WEB会議が続く、家にいても仕事から離れた感覚がない。こうした状態が続くと、休んでいるはずなのに回復した感じが持ちにくくなります。
このページでは、在宅勤務で疲れが抜けにくくなる理由を、仕事と生活の切り替え、勤務後の連絡、WEB会議、休日の過ごし方の視点から見直していきます。
在宅勤務で疲れが抜けにくい理由
在宅勤務で疲れが取れにくくなる大きな理由は、仕事の始まりと終わりが見えにくくなることです。
出社していたときは、通勤、昼休み、退勤、帰宅という流れがありました。もちろん通勤そのものは負担ですが、仕事に入る区切り、仕事から離れる区切りにもなっていました。
在宅勤務では、パソコンを開けばすぐ仕事が始まり、閉じても仕事道具が家の中に残ります。勤務時間が終わっても、チャットやメールが気になり、頭の中では仕事が続いていることがあります。
この「仕事から離れきれない状態」が続くと、体は休んでいるように見えても、気持ちは休まりにくくなります。
休日があっても休めた感じがしない
休日の日数があっても、疲れが取れない社員はいます。問題は、休みの日数だけではなく、その時間に仕事から離れられているかどうかです。
休日に仕事用のスマートフォンを何度も確認する。月曜日の会議が気になって、日曜日の夕方から落ち着かない。上司や同僚から連絡が来るかもしれないと思い、完全には気を抜けない。
このような状態では、休日であっても脳は仕事の準備を続けています。本人は休んでいるつもりでも、回復感が戻りにくくなります。
人事総務が在宅勤務者の疲れを見るときは、「休みを取っているか」だけでなく、「休みの間に仕事から離れられているか」を確認する必要があります。
WEB会議が続くと、気持ちが休まりにくい
在宅勤務では、打ち合わせの多くがWEB会議になります。移動時間がないため、会議と会議の間が短くなりやすく、気持ちを切り替える時間がなくなることがあります。
WEB会議では、画面越しに相手の表情を読み取り、発言のタイミングを見て、自分の反応も意識します。会議中に大きなトラブルがなくても、終わった後にどっと疲れを感じる社員は少なくありません。
この疲れを、本人の集中力不足と見るのは危険です。WEB会議が連続しすぎていないか、会議の目的が曖昧になっていないか、参加しなくてもよい会議まで入っていないかを、職場側で見直す必要があります。
勤務後の連絡が疲れを長引かせる
在宅勤務で疲れが抜けない背景には、勤務後の連絡ルールが曖昧な職場もあります。
勤務時間外にチャットが届く。返信を急がなくてよいと言われていても、既読にしたら返さなければと思う。上司からの連絡には、すぐ反応しないと評価に影響するのではないかと感じる。
こうした空気があると、社員は勤務時間が終わっても緊張をほどきにくくなります。
人事総務が見直したいのは、連絡そのものを禁止することだけではありません。緊急時と通常連絡の違い、返信を求める時間帯、勤務後に確認しなくてよい範囲を、職場として明確にすることです。
この投稿で扱うこと、扱わないこと
在宅勤務の疲れは、デスクワーカーの健康支援と重なりやすいテーマです。ただし、この投稿では身体の不調や座りすぎ対策を主語にしません。
| 領域 | この投稿で扱う内容 | 別記事に任せる内容 |
|---|---|---|
| 在宅勤務者のストレス支援 | 勤務後も仕事から離れにくい状態、休日に休めた感じがしないこと、WEB会議や連絡ルールによる疲れ | 座りすぎ、姿勢改善、肩こり、腰痛、PC作業疲れ |
| デスクワーカーの健康支援 | この投稿では主語にしない | 座位時間、ストレッチ、ふくらはぎ、呼吸法、軽い運動、作業環境 |
| 在宅勤務の感情労働 | この投稿では深追いしない | WEB会議で明るく見せる疲れ、チャット文面の気遣い、家庭との感情調整 |
この投稿の中心は、在宅勤務で仕事から離れにくくなり、休んでも回復感が戻りにくい状態です。身体活動や座位リスクではなく、休める働き方の設計として見ていきます。
在宅勤務で疲れがたまりやすい職場の特徴
在宅勤務者の疲れは、本人の体力だけで決まるものではありません。職場のルールや雰囲気によって、疲れがたまりやすくなることがあります。
- WEB会議が連続して入り、間に切り替え時間がない
- 勤務時間外のチャットやメールが当たり前になっている
- 休暇中も仕事の連絡を確認する雰囲気がある
- 会議の目的が曖昧で、参加者が多い
- 管理職が「在宅勤務は楽なはず」と見ている
- 疲れや不安を相談する機会が少ない
- 成果だけを見て、回復できているかを確認していない
このような職場では、社員が自分で休もうとしても、仕事から離れにくくなります。疲れが抜けない状態を、個人の自己管理不足だけで片づけないことが大切です。
人事総務が確認したい5つの視点
在宅勤務者の疲れを支援するために、人事総務が確認したい視点があります。
勤務時間外の連絡ルール
勤務後や休日の連絡について、職場として共通の認識があるかを確認します。返信不要の時間帯、緊急時の連絡方法、通常連絡との違いを明確にしておくと、社員は休みやすくなります。
WEB会議の入れ方
会議が続きすぎていないか、参加者が多すぎないか、目的が曖昧な会議が増えていないかを見ます。会議と会議の間に短い切り替え時間を入れるだけでも、疲れの残り方が変わることがあります。
休日に仕事から離れられているか
有給休暇や休日があっても、仕事用の連絡を見続けていれば、十分に休めません。休暇中に連絡を見なくてもよい体制があるか、代理対応のルールがあるかを確認します。
管理職の見方
管理職が「在宅勤務だから楽だろう」と考えていると、社員の疲れに気づきにくくなります。在宅勤務でも疲れがたまること、見えにくい負担があることを、管理職研修や社内共有で伝える必要があります。
相談のきっかけ
疲れが強くなってから相談するのではなく、早めに話せる機会を作ります。「最近、勤務後も仕事が頭から離れないことはありませんか」「休日に仕事の連絡が気になっていませんか」と具体的に聞くと、社員は話しやすくなります。
休める在宅勤務にするための職場支援
在宅勤務者の疲れを減らすには、本人に「休んでください」と伝えるだけでは不十分です。休めるように職場のルールを整える必要があります。
- 勤務時間外の返信を求めないルールを明文化する
- 緊急連絡と通常連絡を分ける
- 会議と会議の間に短い余白を入れる
- 休暇中の代理対応を決めておく
- 管理職が在宅勤務者の疲れを確認する機会を持つ
- 休日明けの様子を、成果だけで判断しない
こうした支援は、大きな制度変更でなくても始められます。まずは、在宅勤務者が勤務後や休日に仕事から離れられる状態を作ることが重要です。
タニカワ久美子の企業研修で伝えていること
タニカワ久美子の企業研修では、在宅勤務の疲れを「本人の休み方が下手だから」とは見ません。
企業研修の現場では、人事総務の担当者から「在宅勤務になってから、社員がいつ休んでいるのか分かりにくくなった」「休日明けでも疲れている社員がいる」「WEB会議が多い部署ほど、疲労感の相談が増えている」という声を聞くことがあります。
一方で社員側は、「家で働いているのだから疲れたと言いにくい」「勤務後もチャットが気になってしまう」「休みの日も月曜日の会議のことを考えてしまう」と感じていることがあります。
研修では、社員本人のセルフケアだけでなく、管理職の声かけ、会議の入れ方、勤務時間外の連絡ルール、人事総務への相談導線を一緒に見直します。人事総務の担当者からも、在宅勤務者の疲れを個人の努力にせず、職場ルールとして考えられる点を評価されています。
在宅勤務の疲れを健康経営につなげる
在宅勤務者の疲れを放置すると、集中力の低下、会議での反応の鈍さ、確認漏れ、相談の遅れにつながります。表面上は業務が進んでいても、社員の回復感が下がっていれば、職場全体の生産性にも影響します。
健康経営の視点では、在宅勤務者の疲れを「本人が何とかすること」として終わらせないことが大切です。勤務後の連絡、WEB会議、休暇中の代理対応、管理職の声かけを合わせて見直すことで、社員が本当に休める職場に近づきます。
在宅勤務は、正しく設計すれば働きやすい選択肢になります。しかし、仕事と生活の境界が曖昧なままでは、疲れが見えにくく蓄積します。人事総務が早めに気づき、休める働き方を職場のルールとして整えることが必要です。
在宅勤務者の疲れを、個人任せにしない健康経営へ
けんこう総研では、在宅勤務者の疲労感、勤務後の連絡負担、WEB会議疲れ、休めない働き方を、職場の支援につなげる健康経営フォローアップを行っています。
