健康経営
高ストレス者以外のフォロー|ストレスチェック後の予防ケア
ストレスチェック後に見落とされやすいのは、高ストレス者に該当しなかった社員へのフォローです。
ストレスチェックを実施すると、どうしても高ストレス者への対応に意識が向きます。面接指導、医師への相談、職場改善など、必要な対応があるためです。
しかし、健康経営として考えるなら、高ストレス者だけを見て終わりにしてはいけません。高ストレス者に該当しなかった社員の中にも、疲れや不安を抱えながら働いている人がいます。
この記事では、ストレスチェック後に高ストレス者以外の社員を放置しないために、感情ストレスのセルフマネジメントを健康経営でどう支えるかを扱います。
同じストレスチェックでも、本記事は制度説明や義務化の解説ではありません。ストレスチェック後の予防ケアとして、社員が自分の状態に気づき、早めに整える力を育てる視点です。
ストレスチェック後に高ストレス者だけを見ると予防になりにくい
ストレスチェックを実施している企業では、次のような状態が起こりやすくなります。
- 高ストレス者への対応はしているが、それ以外の社員への声かけがない
- 結果を確認して終わっている
- 部署ごとの傾向を見ても、次の行動が決まらない
- 社員自身が、自分のストレス状態を振り返る機会を持てていない
- 予防が大切だと分かっていても、具体的に何をすればよいか分からない
高ストレス状態になってからの対応は重要です。しかし、それはすでに不調が表面化し始めた段階への対応です。
健康経営で大切なのは、不調になる前の段階で、社員が自分の疲れに気づき、早めに調整できる状態をつくることです。
高ストレス者以外にも、感情ストレスは蓄積している
高ストレス者に該当しなかった社員でも、ストレスがないわけではありません。
本人が「大丈夫です」と答えていても、次のような負担が続いていることがあります。
- 仕事量は多いが、周囲に相談しにくい
- 家庭や介護など、私生活の変化を抱えている
- 人間関係で気を使い続けている
- 管理職やリーダーとして板挟みになっている
- 感情を抑えながら、お客様や利用者に対応している
- 疲れていても、周囲に迷惑をかけたくないと我慢している
このような負担は、すぐに高ストレス判定として表れないことがあります。
だからこそ、ストレスチェック後の健康経営では、数値に強く出た人だけでなく、日常の中で疲れをためている社員にも目を向ける必要があります。
ストレスは仕事だけで決まらない
社員のストレスは、仕事だけが原因とは限りません。
業務量、人間関係、長時間労働、役割の重さは大きな要因です。しかし、実際にはそれに加えて、家庭、介護、子育て、体調、生活リズム、経済的な不安なども重なります。
職場がすべての原因を取り除くことはできません。
ただし、職場でできることはあります。社員が一人で抱え込まないようにすること、相談しやすい状態をつくること、自分の疲れに気づく機会を持てるようにすることです。
健康経営では、社員のストレスを「仕事の問題だけ」と決めつけず、複数の負担が重なっている可能性を見ます。
感情ストレスのセルフマネジメントとは何か
感情ストレスのセルフマネジメントとは、自分の感情や疲れに気づき、無理を重ねる前に整える力のことです。
これは、我慢する力ではありません。気合いで乗り切ることでもありません。
大切なのは、次のような気づきを持つことです。
- 今、自分はどの程度疲れているのか
- どの出来事が負担になっているのか
- どの場面で感情を抑え続けているのか
- どのタイミングで休息や相談が必要なのか
- これ以上ため込まないために、今日できることは何か
この気づきがないまま働き続けると、本人も限界に近づくまで疲れに気づけません。
ストレスチェック後のフォローでは、社員に「あなたは高ストレスではありませんでした」で終わらせるのではなく、自分の状態を振り返る機会をつくることが重要です。
ライフイベントの変化もストレスとして見る
ストレスは、大きな出来事だけで起こるものではありません。
小さな変化が重なることで、心身の負担が増えることがあります。
- 部署異動
- 上司や同僚の変更
- 家族の体調不良
- 介護や育児の負担
- 勤務時間や通勤環境の変化
- 生活リズムの乱れ
こうした生活上の出来事は、本人にとっては「よくあること」と見える場合があります。
しかし、複数の変化が同じ時期に重なると、感情ストレスは一気に強くなります。
人事総務・健康経営担当者は、ストレスチェックの点数だけでなく、社員の生活や働き方にどのような変化が起きているかも見る必要があります。
セルフマネジメントを個人任せにしない
感情ストレスのセルフマネジメントは、社員本人の努力だけに任せるものではありません。
「自分で気づいてください」「自分で整えてください」と伝えるだけでは、職場の予防ケアにはなりません。
企業側には、社員が気づきやすくなる環境をつくる役割があります。
- ストレスサインを知る研修を行う
- 相談先を分かりやすく伝える
- 上司が声をかけやすい職場にする
- 休憩や気持ちの切り替えを取りやすくする
- 高ストレス者以外にも、振り返りの機会をつくる
- ストレスチェック後に、職場で話し合う内容を決める
社員が自分の状態に気づく力は、自然に身につくものではありません。
健康経営では、社員が自分の疲れを言葉にしやすい職場をつくることが大切です。
タニカワ久美子の企業研修で見てきたこと
タニカワ久美子の企業研修では、ストレスチェックでは大きな問題として表れていなくても、現場では疲れがたまっている社員を多く見てきました。
特に多いのは、まじめで責任感の強い社員ほど、自分のストレスを後回しにしてしまうことです。
「自分よりもっと大変な人がいる」「この程度で相談してはいけない」「忙しい時期だから仕方ない」と考えて、疲れを言葉にできないまま働き続ける社員さんがいます。
研修では、社員に「ストレスをなくすことが目的ではありません。自分の疲れ方に早く気づき、無理を重ねる前に調整することが大切です」と伝えています。
管理職には、「高ストレス者だけを見るのではなく、大丈夫ですと言っている社員の変化にも目を向けてください」と話します。
健康経営で予防を進めるには、ストレスチェック結果を読むだけでは足りません。社員が自分の状態に気づき、職場がその気づきを支えることが必要です。
ストレスチェック後に人事総務が確認したいポイント
ストレスチェック後の高ストレス者以外のフォローでは、次の点を確認してください。
- 高ストレス者以外の社員にも、セルフケア情報が届いているか
- 社員が自分のストレスサインを知っているか
- 相談先が分かりやすく案内されているか
- 部署ごとの負担傾向を、管理職と共有できているか
- ストレスチェック後に、職場で見るポイントが決まっているか
- 感情を抑え続ける業務が特定の社員に偏っていないか
- 社員が早めに休む、相談する、調整することを悪いことだと思っていないか
高ストレス者以外へのフォローは、大がかりな制度を新しく作ることだけではありません。
社員が自分の状態に気づく機会を増やし、管理職が小さな変化に気づけるようにすることから始められます。
健康経営のKPIとして見られること
感情ストレスのセルフマネジメントは、数値にしにくい取り組みに見えるかもしれません。
しかし、健康経営の中で確認できる項目はあります。
- 社員が相談先を知っている割合
- 研修後に自分のストレスサインを理解できた割合
- ストレスチェック後のセルフケア情報の配布率
- 管理職による声かけや面談の実施状況
- 部署ごとの職場改善の実施状況
- 高ストレス者以外への情報提供やフォローの有無
これらを見ることで、ストレスチェックは「実施した制度」ではなく、予防ケアにつながる健康経営施策になります。
KPIは担当者を追い詰めるためのものではありません。次にどこを見直すかを決めるために使います。
ストレスチェックを予防ケアにつなげる考え方
ストレスチェックは、実施すること自体が目的ではありません。
結果をきっかけに、社員が自分の状態に気づき、職場が支える動きにつなげることが重要です。
高ストレス者への対応は欠かせません。しかし、それだけでは健康経営としての予防には限界があります。
高ストレス者以外の社員にも、感情ストレスへの気づきとセルフマネジメントの機会を届けることで、不調を未然に防ぐ取り組みに近づきます。
人事総務・健康経営担当者は、ストレスチェックを「結果を見るもの」ではなく、「職場と社員の状態を見直すきっかけ」として使うことが大切です。
まとめ:高ストレス者以外のフォローが健康経営の予防になる
ストレスチェック後は、高ストレス者への対応だけで終わらせないことが重要です。
高ストレス者に該当しなかった社員の中にも、感情ストレスをためながら働いている人がいます。
健康経営で予防を進めるには、社員が自分の疲れに気づき、早めに整える力を持てるようにすることが必要です。
感情ストレスのセルフマネジメントは、個人任せでは機能しません。研修、情報提供、上司の声かけ、相談導線を組み合わせて、職場全体で支えることが大切です。
ストレスチェックを、実施して終わる制度から、社員と職場を整える予防ケアへ変えること。それが、健康経営における高ストレス者以外のフォローです。
ストレスチェック後、高ストレス者以外の社員へのフォローや予防ケアを見直したい方へ。
けんこう総研では、社員が自分のストレスに早く気づき、職場で無理を重ねないための健康経営支援を行っています。
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