長時間労働とメンタルヘルス不調を防ぐ職場の見直し方

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長時間労働とメンタルヘルス不調を防ぐ職場の見直し方

長時間労働が続く職場では、社員の疲れが「忙しい時期だから仕方ない」と見過ごされてしまうことがあります。

しかし、疲れた表情、睡眠不足、確認漏れ、相談の遅れ、急な欠勤などは、メンタルヘルス不調につながる前の小さなサインかもしれません。

この記事では、長時間労働が社員のメンタルヘルスに与える影響を、人事総務・健康経営担当者が職場で見直しやすい視点で紹介します。

長時間労働とメンタルヘルス不調を考える時計の写真

長時間労働が続く職場では、社員の疲労や睡眠不足、相談の遅れを早めに見つけることが大切です。

長時間労働はメンタルヘルス不調の入口になりやすい

長時間労働は、単に勤務時間が長いという問題だけではありません。休息時間が短くなり、睡眠が削られ、家族や友人と過ごす時間も減りやすくなります。

その状態が続くと、社員は心身を回復させる時間を十分に持てなくなります。最初は「少し疲れているだけ」に見えても、疲労が積み重なることで、集中力の低下、気分の落ち込み、不安感、イライラ、仕事への意欲低下につながることがあります。

人事総務の担当者が見ておきたいのは、残業時間の数字だけではありません。長時間労働によって、社員が回復できているか、相談できているか、無理を抱え込んでいないかを確認する必要があります。

長時間労働で見えにくくなる社員のSOS

長時間労働が続いている職場では、社員本人も周囲も、疲れに慣れてしまうことがあります。

「みんな忙しいから」「自分だけ弱音を言えない」「もう少し頑張れば落ち着く」と考えて、社員が不調を言い出せないまま働き続けることがあります。

そのため、人事総務や管理職は、本人から相談が来るのを待つだけでは不十分です。日々の職場で見える小さな変化を、早めに拾う視点が必要です。

職場で見えるサイン 人事総務が確認したいこと
朝から疲れた表情が続いている 睡眠時間や休息時間が足りているか
確認漏れや小さなミスが増えている 業務量が一人に集中していないか
勤務時間外の連絡が常態化している 休息時間が守られているか
休憩を取らずに働いている 休憩を取りにくい雰囲気がないか
相談せずに一人で抱え込んでいる 管理職や人事総務に相談しやすい流れがあるか

こうしたサインは、すぐにメンタルヘルス不調と決めつけるものではありません。ただし、長時間労働と重なっている場合は、早めに声をかけるきっかけになります。

睡眠不足は職場の集中力にも影響する

長時間労働が続くと、最初に削られやすいのが睡眠です。

睡眠時間が短くなると、身体の疲れが抜けにくくなります。さらに、気持ちの切り替えが難しくなり、仕事中の集中力や判断力にも影響が出やすくなります。

社員本人は「寝不足ですが大丈夫です」と言うかもしれません。しかし、実際には、会議中にぼんやりする、確認が雑になる、細かいミスが増える、周囲への反応が遅くなるといった形で、職場に影響が出ることがあります。

人事総務の担当者は、社員の睡眠を直接管理するのではなく、睡眠を削る働き方になっていないかを見直すことが大切です。

長時間労働を本人の頑張りに任せない

長時間労働への対応で避けたいのは、社員本人の自己管理だけに任せてしまうことです。

もちろん、社員自身が休息やセルフケアを意識することは大切です。しかし、業務量が多すぎる、締切が重なっている、上司に相談しにくい、休憩を取りにくい雰囲気がある場合、本人の努力だけでは改善しにくくなります。

人事総務・健康経営担当者が見るべきなのは、社員が無理をしている背景です。

長時間労働が続いている部署では、業務配分、管理職の声かけ、勤務時間外の連絡、休暇の取りやすさ、相談窓口の使いやすさを合わせて確認する必要があります。

管理職の声かけが遅れると不調が見えにくくなる

長時間労働が続く職場では、管理職自身も忙しく、部下の変化に気づきにくくなることがあります。

また、部下に声をかけても「大丈夫です」と返されると、それ以上踏み込めない管理職も少なくありません。

しかし、メンタルヘルス不調を防ぐには、早い段階での声かけが重要です。「大丈夫?」だけで終わらせず、「最近、帰りが遅い日が続いているけれど、業務量はどうですか」「休めていますか」「一人で抱えている仕事はありませんか」と、具体的に確認することが必要です。

人事総務は、管理職に対して、部下の変化を見つける視点と、声をかける言葉を共有しておくと、職場での早期対応につながります。

長時間労働対策で見直したい職場のポイント

長時間労働によるメンタルヘルス不調を防ぐには、制度だけでなく、日々の職場運用を見直すことが大切です。

見直すポイント 職場での具体策
労働時間の把握 残業時間だけでなく、特定の社員や部署に負荷が偏っていないかを見る
休憩の取り方 忙しい日でも短時間の休憩を取りやすい雰囲気をつくる
勤務時間外の連絡 急ぎでない連絡は翌営業日に回すなど、休息時間を守る
休暇の取りやすさ 休むことに遠慮が生まれていないか、管理職から確認する
相談の流れ 困ったときに誰へ相談すればよいかを、社員に分かる形で伝える

大切なのは、長時間労働を「本人が頑張っている証拠」として見ないことです。頑張りが続きすぎると、社員の心身の回復が追いつかなくなることがあります。

柔軟な働き方だけでは解決しないこともある

リモートワークやフレックスタイムは、働きやすさを高める有効な方法です。

ただし、柔軟な働き方を導入しただけで、長時間労働やメンタルヘルス不調が必ず防げるわけではありません。

在宅勤務では、仕事と休息の境目があいまいになり、勤務時間外も仕事のことを考え続けてしまうことがあります。フレックスタイムでも、業務量そのものが変わらなければ、働く時間帯がずれるだけで負担は残ります。

柔軟な働き方を健康支援につなげるには、制度の有無だけでなく、業務量、連絡ルール、休息時間、相談しやすさまで確認する必要があります。

タニカワ久美子の企業研修で見ている長時間労働の課題

タニカワ久美子の企業研修では、長時間労働を「根性で乗り切る問題」として扱いません。社員が疲れをため込みすぎる前に気づき、管理職や人事総務が早めに支援できる職場づくりを大切にしています。

研修の現場では、「忙しいときほど休憩を取ることに罪悪感がある」「上司も忙しそうで相談しにくい」と話される社員さんがいます。

また、軽いストレッチや呼吸のワークを行うと、参加者が自分の肩や首の緊張に気づくことがあります。本人は「大丈夫」と思っていても、身体には疲労や緊張が残っていることがあります。

人事総務の担当者からも、座学だけではなく、社員が自分の疲れに気づく時間がある点を評価されています。長時間労働対策は、制度の見直しだけでなく、社員が自分の状態を言葉にできる研修と組み合わせることで、職場に届きやすくなります。

講演や研修では職場の実情に合わせて扱う

長時間労働とメンタルヘルスの問題は、業種や職場によって表れ方が違います。

繁忙期がはっきりしている職場、少人数で業務を回している職場、顧客対応が多い職場、管理職に負担が集中している職場では、必要な支援も変わります。

そのため、研修では一般的な知識だけでなく、自社の働き方に合わせて「どこで無理が起きているのか」「誰が抱え込みやすいのか」「どの場面で声かけが遅れやすいのか」を考えることが重要です。

人事総務・健康経営担当者が、職場の実情に合わせて長時間労働とストレス管理を見直すことで、社員のSOSを早めに受け止めやすくなります。

長時間労働によるメンタルヘルス不調を防ぐために

長時間労働が続く職場では、社員の疲れが見えにくくなります。本人が大丈夫と言っていても、睡眠不足、集中力の低下、確認漏れ、相談の遅れとして表れていることがあります。

人事総務・健康経営担当者は、残業時間の数字だけで判断するのではなく、社員が回復できているか、相談できているか、無理を抱え込んでいないかを見る必要があります。

長時間労働対策は、労働時間の管理、業務量の見直し、管理職の声かけ、休息時間の確保、ストレスマネジメント研修をつなげて進めることで、職場に根づきやすくなります。

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参考にした研究・資料

World Health Organization and International Labour Organization. Long working hours and health risks related to occupational disease burden.

Virtanen, M. et al. Long working hours and depressive symptoms: systematic review and meta-analysis. Scandinavian Journal of Work, Environment & Health.

Rugulies, R. et al. The effect of exposure to long working hours on depression: A systematic review and meta-analysis from the WHO/ILO Joint Estimates.

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