ストレス管理
職場ジャーナリング研修|書き出しワークを安全に扱うストレス管理
ストレスマネジメント研修で「気持ちを書き出してみましょう」と伝えたい。でも、社員に書かせた内容を会社が見てもよいのか、共有させてよいのか、かえって負担にならないか。人事総務・健康経営ご担当者として、迷う場面はありませんか。
ジャーナリングは、気持ちや考えを紙やメモに書き出し、自分の状態に気づきやすくするセルフケアです。
ただし、職場で扱う場合は注意が必要です。個人の気持ちを書くワークは、進め方を間違えると「本音を書かされる」「提出させられる」「評価に使われるのでは」と受け取られることがあります。
この記事では、ジャーナリングの方法そのものではなく、人事総務が職場研修に書き出しワークを入れる前に確認したい判断場面を整理します。
書き出しワークは、社員を評価するためのものではありません
職場でストレスが強くなると、社員は自分の気持ちを後回しにしがちです。
上司のひと言が気になる、同僚とのやり取りを何度も思い出す、明日の仕事を考えるだけで気持ちが重くなる。このような状態が続くと、頭の中だけで考え続け、不安や疲れが大きくなることがあります。
書き出すことには、自分が何に反応しているのか、どの場面で疲れたのかを見えやすくする働きがあります。
けれど、職場研修では、ここを「正しい振り返りを書かせる時間」にしてはいけません。書いた内容を会社が確認したり、上司に共有したり、発表させたりすると、社員は安心して書けなくなります。
書き出しワークは、社員を評価するためではなく、本人が自分の状態に気づくための時間として扱う必要があります。
一般的なセルフケア紹介だけでは職場で動きにくい理由
ジャーナリングは、個人向けのセルフケアとして紹介されることが多い方法です。
しかし、職場で導入する場合は、個人向けの説明をそのまま持ち込むだけでは不十分です。
社員は、研修の場では「会社に見られている」「上司にどう思われるか気になる」「変なことを書いてはいけない」と感じることがあります。
そのため、人事総務が先に決めておくべきなのは、書くテーマよりも、書いた内容を誰にも提出させないこと、共有を強制しないこと、業務評価と切り離すことです。
この前提がないまま始めると、セルフケアのはずが、社員にとって新しい緊張になります。
専門職でも迷う判断構造
書くことは気づきにつながる一方で、深い悩みやつらい記憶に触れる場合があります。研修では治療的に踏み込みすぎず、必要な相談先につなげる線引きが必要です。
社内で動かす難しさ
人事総務が「提出不要」と決めても、現場管理職が感想共有を求めると安全性が崩れます。研修前に、共有しない・評価しない・詮索しない運用をそろえる必要があります。
タニカワ久美子の研修では、書くことを自己開示ではなく気づきとして扱います
タニカワ久美子のストレス管理研修では、ジャーナリングを「前向きな言葉を書きましょう」という形では扱いません。
研修現場では、まじめな社員ほど「よいことを書かなければ」「前向きにまとめなければ」と考えてしまうことがあります。中には、書くこと自体に苦手意識があり、白紙のまま手が止まる社員さんもいます。
ここで大切なのは、無理に書かせることではありません。
書けない状態も、今の緊張や疲れのサインとして扱います。「言葉にしにくい」「何を書けばよいかわからない」という反応も、職場のストレス管理では大切な情報です。
タニカワの研修では、社員に本音を発表させるのではなく、本人が自分の状態を少し見られる範囲で扱います。気持ち、体調、仕事中の引っかかり、休めていない感覚を、本人の中で確認できるように進めます。
人事総務の方からは、社員に無理な自己開示を求めず、安心して取り組めるワークとして設計できる点を評価されています。
管理職・人事総務が確認したい判断場面
職場でジャーナリングを扱う前に、人事総務が確認したいのは、ワークの内容よりも運用です。
まず、書いた内容を提出させないことです。回収する場合は、感想ではなく研修運営に必要な匿名アンケートに限定します。
次に、発表を前提にしないことです。社員が「あとで共有させられる」と感じると、本音ではなく無難な言葉を書こうとします。
さらに、管理職には「何を書いたの」「悩みがあるの」と詮索しないことを共有しておく必要があります。声をかける場合は、内容を聞き出すのではなく、「必要なら相談先を使えます」と伝える形にします。
職場の書き出しワークは、社員の内面を会社が把握するためのものではありません。本人が自分の状態に気づき、必要なときに相談や休息へつながるための入口です。
医療的な対応が必要な場合
この記事は、職場のストレス管理と研修設計の視点から書いたものです。医学的な診断や治療を行うものではありません。
書き出すことで強い不安、涙が止まらない、過去のつらい記憶が強くよみがえる、眠れない状態が続く場合は、無理に続けず、医療機関や専門職への相談が必要です。
人事総務や管理職は、社員の書いた内容を診断する必要はありません。安心して相談できる導線を用意し、必要な支援先につなぐことが役割です。
職場で書き出しワークを扱うなら、安全な設計が必要です
ジャーナリングは、ストレスを一瞬で消す方法ではありません。
しかし、頭の中で抱え続けている不安や疲れを、本人が見える形にする助けになります。
職場で活用する場合に大切なのは、書く内容を会社が管理しないことです。提出させない、共有させない、評価しない。この前提があってはじめて、社員は安心して自分の状態を振り返れます。
人事総務・健康経営ご担当者に求められるのは、ジャーナリングを流行のセルフケアとして入れることではありません。社員が安心して自分のストレスに気づき、必要な相談や休息につながれる研修設計にすることです。
書き出しワークを、職場で安全に使えるストレスマネジメント研修として導入したい場合は、けんこう総研の企業向けストレスマネジメント研修をご確認ください。
文責:タニカワ久美子
研修テーマが未定でも、対象者・職場状況・実施時期に合わせて整理します。