ストレス管理
ジャーナリングでストレスを整える 職場で使える書くセルフケア
このストレス管理カテゴリーでは、ジャーナリングを職場のセルフケアに活かす考え方について解説します。
同じストレス管理でも、本記事は専門的な心理療法ではなく、気持ちや考えを書き出すことで、自分の状態に気づきやすくする方法に焦点を当てています。
人事総務・健康経営担当者が、職場改善や研修設計に活かせる視点で整理します。
ジャーナリングとは、気持ちや考えを書き出すセルフケア
ジャーナリングとは、頭の中にある気持ちや考えを、紙やメモに書き出すことです。
日記のようにきれいな文章を書く必要はありません。誰かに見せるための文章でもありません。
大切なのは、今の自分が何を感じているのか、何に引っかかっているのかを、いったん外に出して見える形にすることです。
職場では、忙しさや人間関係の中で、自分の気持ちを後回しにしてしまうことがあります。
その状態が続くと、「なぜ疲れているのか」「何に負担を感じているのか」が本人にも分かりにくくなります。
ジャーナリングは、そうした見えにくいストレスを整理するための、取り組みやすいセルフケアの一つです。
職場でストレスが強くなると、頭の中が整理しにくくなる
ストレスが強いときは、同じことを何度も考えたり、小さな出来事を大きく感じたりしやすくなります。
たとえば、上司のひと言が気になり続ける、同僚とのやり取りを何度も思い返す、明日の仕事を考えるだけで気持ちが重くなる、といった状態です。
こうしたとき、頭の中だけで考え続けると、不安や怒り、落ち込みがさらに大きくなることがあります。
書き出すことで、気持ちそのものがすぐに消えるわけではありません。
しかし、自分が何に反応しているのかを確認しやすくなります。
| 頭の中だけで抱えた状態 | 書き出したときに見えやすくなること |
|---|---|
| 何となく不安が続く | 何について不安なのかを分けやすくなる |
| イライラだけが残る | どの場面で気持ちが動いたのかを確認しやすくなる |
| 自分だけが悪いと思い込む | 状況・相手・自分の反応を分けて考えやすくなる |
| 疲れている理由が分からない | 負担が重なっている箇所に気づきやすくなる |
| 同じ悩みを繰り返し考える | 考え続けているテーマを客観視しやすくなる |
ジャーナリングは、正解を書くものではない
ジャーナリングで大切なのは、正しい答えを書くことではありません。
「こう考えるべき」「前向きに書かなければいけない」と決めてしまうと、かえって負担になることがあります。
職場のセルフケアとして扱う場合は、まず自分の状態をそのまま確認することが大切です。
たとえば、次のような短い書き方でも十分です。
- 今日、気になったこと
- 何となく疲れた場面
- 少し安心した場面
- 繰り返し思い出していること
- 今、体に出ている疲れや緊張
- 明日に持ち越したくないこと
文章として整っていなくても問題ありません。
箇条書きでも、単語だけでも、短いメモでも構いません。
大切なのは、自分の中にあるものを一度外に出して、自分で見られる状態にすることです。
人によって、書くことへの感じ方は違う
研修の現場では、書くことで気持ちが落ち着く人もいれば、書くこと自体に苦手意識がある人もいます。
そのため、ジャーナリングを「全員に合う万能の方法」として扱うことはしません。
人によっては、文章を書くよりも、短い言葉でメモする方が合う場合があります。
また、すぐに気持ちを書けない人は、体の状態から書き始める方が取り組みやすいこともあります。
| 書き方の例 | 向いている場面 |
|---|---|
| 今日気になったことを3つ書く | 頭の中が忙しいとき |
| 今の気分を一語で書く | 文章を書く余裕がないとき |
| 体の疲れをメモする | 感情より体調の変化に気づきやすいとき |
| よかったことを1つだけ書く | 気持ちが沈みやすいとき |
| 明日に回すことを書き出す | 仕事の切り替えが難しいとき |
このように、ジャーナリングは決まった型に合わせるよりも、本人が続けやすい形に調整することが重要です。
人事総務がジャーナリングを扱うときの注意点
人事総務・健康経営担当者がジャーナリングを職場のストレス対策に取り入れる場合、注意したい点があります。
それは、書いた内容を会社が集めたり、評価したりしないことです。
ジャーナリングは、本人が自分の状態に気づくためのセルフケアです。
内容の提出を求めたり、感想を無理に共有させたりすると、安心して書けなくなります。
職場で取り入れるなら、次のような扱い方が適しています。
- 書いた内容は本人だけが見る
- 提出や共有を前提にしない
- 文章の上手さを求めない
- ネガティブな内容を書いてもよいと伝える
- 無理に前向きな言葉へ変えさせない
- 業務評価と切り離して扱う
- 必要な場合は相談窓口につなげる
この前提を守ることで、社員が安心して自分の状態を振り返りやすくなります。
タニカワ久美子の研修では、書くことを「気づき」の入口として扱う
タニカワ久美子のストレス管理研修では、ジャーナリングを「気持ちを前向きに変える方法」として一方的に勧めることはありません。
まず大切にしているのは、本人が自分の状態に気づくことです。
職場では、まじめな人ほど「このくらい大丈夫」「自分が我慢すればよい」と考え、疲れや不安を後回しにしがちです。
しかし、ストレス管理では、限界まで我慢する前に、自分の変化に気づくことが重要です。
研修では、書くことを通じて、気持ち、体調、考え方、行動のクセをやさしく確認していきます。
人事総務の担当者からも、社員に無理な自己開示を求めず、本人の気づきを大切にしながら進める点を評価されています。
まとめ:書くことは、ストレスを見える形にするための入口
ジャーナリングは、ストレスを一瞬で消す方法ではありません。
しかし、頭の中で抱え続けている不安や疲れを、見える形にする助けになります。
職場のストレス管理では、本人が自分の状態に早めに気づくことが大切です。
気持ちや考えを書き出すことで、何に負担を感じているのか、どこで疲れがたまっているのかを確認しやすくなります。
人事総務・健康経営担当者がジャーナリングを扱う際は、提出や評価ではなく、安心して自分を振り返る時間として設計することが重要です。
社員が自分のストレスに気づき、早めに整えられる職場づくりをしたいご担当者様へ
けんこう総研では、社員が無理なく取り組めるセルフケアやストレス管理を、職場の実情に合わせて研修に組み込んでいます。書き出すワーク、呼吸、軽い身体活動を組み合わせ、実務で続けやすい内容として設計します。