業種別健康経営戦略とは|健康リスクとKPIの見方

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健康経営

業種別健康経営戦略とは|健康リスクとKPIの見方

健康経営は、どの企業にも同じ方法で当てはまる取り組みではありません。

業種や業務内容、勤務形態が違えば、社員が抱えやすい健康リスクも変わります。体力を使う職場、夜勤がある職場、対人対応が多い職場、長時間の集中が求められる職場では、健康経営で見るべきポイントが違います。

この記事では、業種別健康経営戦略を、業務特性、健康リスク、経営課題、KPIのつながりから見ていきます。

同じ業種別健康経営でも、本記事はストレス管理研修の内容を決める記事ではありません。人事総務・健康経営担当者が、自社の業種に合った健康リスクを見つけ、評価しやすい健康経営へつなげるための記事です。

業種別健康経営戦略とは何か

業種別健康経営戦略とは、自社の業種や働き方に合わせて、健康課題、職場リスク、施策、KPIを決める考え方です。

健康経営では、睡眠、運動、食事、メンタルヘルス、ストレスチェック、健康診断など、さまざまなテーマが扱われます。

しかし、すべての企業に同じ順番で、同じ施策を入れても、職場では動きにくいことがあります。

たとえば、製造業では疲労や安全確認が重要になります。介護・医療では、感情労働や人手不足による負担が大きくなります。IT・専門職では、長時間の集中や情報量の多さがストレスになります。

この違いを見ないまま健康経営を進めると、現場では「自分たちの仕事に合っていない」と受け止められやすくなります。

業種が違えば、健康リスクも変わる

健康経営が現場で動きにくくなる理由の一つは、業種ごとの健康リスクを見ないまま施策を入れてしまうことです。

同じ「ストレスが高い職場」でも、原因は一つではありません。

  • 仕事量が多く、休憩が取りにくい
  • 夜勤やシフト勤務で生活リズムが崩れやすい
  • クレーム対応や対人支援で感情を使い続けている
  • 安全確認や集中作業が続き、疲労がたまりやすい
  • リモートワークで孤立感が出やすい
  • 管理職が部下対応と業務責任を一人で抱えている

このように、健康リスクは業種や職場の働き方によって変わります。

人事総務・健康経営担当者は、健康施策を選ぶ前に、自社ではどの健康リスクが起こりやすいのかを確認する必要があります。

業種別健康経営で最初に見る4つの視点

業種別健康経営を考えるときは、最初に次の4つを確認します。

見る視点 確認したいこと 健康経営へのつなげ方
身体的負荷 立ち仕事、重量物作業、移動、疲労の蓄積が多いか 疲労、腰痛、休憩、睡眠、体力維持の施策につなげる
感情的負荷 顧客対応、対人支援、クレーム対応、板挟みが多いか 感情労働ストレス、管理職支援、相談しやすさにつなげる
勤務リズム 夜勤、シフト、不規則勤務、長時間労働があるか 睡眠、食事、生活リズム、健診後フォローにつなげる
安全・集中 事故防止、判断ミス、確認漏れが業務に影響するか 疲労管理、ストレス管理、声かけ、職場改善につなげる

この4つを見ることで、健康経営を一般論ではなく、自社の職場に合う形へ変えやすくなります。

業種別健康経営は、経営課題とつなげて考える

業種別健康経営では、健康課題を健康だけの問題として扱いません。

社員の健康状態は、欠勤、離職、事故、サービス品質、管理職負担、生産性に影響します。

たとえば、次のように考えます。

  • 製造業では、疲労や睡眠不足が安全確認やミスに関係する
  • 介護・医療では、感情労働や人手不足が離職やチーム疲弊に関係する
  • 教育機関では、対人対応や役割過多がメンタルヘルスに関係する
  • IT・専門職では、長時間集中や納期プレッシャーが疲労とパフォーマンスに関係する
  • サービス業では、クレーム対応や不規則勤務がストレスと定着率に関係する

健康経営を経営層に説明するときは、「社員の健康が大切です」だけでは弱くなります。

自社の業種では、どの健康リスクが、どの経営課題につながっているのかを示すことが重要です。

業種別健康経営のKPIは同じではない

健康経営のKPIは、すべての業種で同じにする必要はありません。

もちろん、健康診断の有所見率、ストレスチェック結果、休職者数、離職率などは、多くの企業で見ることができます。

ただし、業種ごとに重視するKPIは変わります。

業種・職場 見たい健康リスク 確認しやすいKPI例
製造業・建設業 疲労、睡眠不足、安全確認、腰痛 ヒヤリハット、疲労感、休憩取得、健診有所見率
介護・医療 感情労働、人手不足、夜勤、腰痛 離職率、夜勤後の疲労、相談先認知度、管理職負担
教育機関 対人対応、役割過多、保護者対応、長時間労働 面談・相談件数、ストレスチェック結果、業務過多の声
IT・専門職 長時間集中、情報量、納期、孤立感 残業時間、疲労感、集中力低下、リモート勤務時の孤立感
サービス業・小売業 クレーム対応、不規則勤務、感情ストレス クレーム後フォロー、シフト負担、相談しやすさ、定着率

KPIは、数字を集めるためだけのものではありません。

次にどの職場課題を見直すかを決めるために使います。

業種に合わない健康経営が続かない理由

業種に合わない健康経営は、現場で続きにくくなります。

理由は単純です。社員や管理職が「自分たちの仕事に関係がある」と感じにくいからです。

たとえば、夜勤やシフト勤務がある職場で、一般的な生活習慣改善だけを伝えても、社員は実行しにくいことがあります。

対人支援が多い職場で、運動や食事だけを中心にした健康施策を入れても、感情労働の負担は残ったままになります。

健康経営を続けるには、現場の働き方に合ったテーマを選ぶ必要があります。

  • 社員が自分の仕事に置き換えられるか
  • 管理職が現場で声をかけやすい内容か
  • 経営層が経営課題として説明できるか
  • 人事総務が次年度に見直せる指標があるか

この4つがそろうと、健康経営は現場で続きやすくなります。

タニカワ久美子の企業研修で見てきたこと

タニカワ久美子の企業研修では、同じ健康経営というテーマでも、業種によって反応が大きく違うことを見てきました。

製造業では、疲労や睡眠不足が安全や確認漏れに関係するため、「疲れを自覚すること」が重要になります。

介護・医療の現場では、相手の感情を受け止め続ける負担が大きく、感情労働ストレスを一人で抱え込まないことが必要になります。

IT・専門職では、集中力が続いているように見えても、実際には情報量や納期の重さで疲労が蓄積していることがあります。

研修では、人事総務担当者に「健康経営のテーマを選ぶ前に、自社の業種ではどの場面で社員の健康リスクが高まりやすいかを見てください」と伝えています。

管理職には、「部下の健康を見るとは、体調だけを見ることではありません。業務の進め方、相談しにくさ、疲れが出やすい場面を見ることです」と話します。

業種特性を踏まえると、健康経営は一般的な施策ではなく、職場に合った取り組みとして伝わりやすくなります。

人事総務・健康経営担当者が確認したいポイント

業種別健康経営戦略を考えるとき、人事総務・健康経営担当者は次の点を確認してください。

  • 自社の業種で起こりやすい健康リスクは何か
  • 身体的負荷、感情的負荷、勤務リズム、安全リスクのどれが大きいか
  • 健康課題が欠勤、離職、事故、サービス品質、管理職負担のどれに関係しているか
  • 社員が自分の仕事に置き換えられるテーマになっているか
  • 管理職が日常業務で見られる行動に落とし込めるか
  • 次年度に確認できるKPIがあるか

健康経営は、よい施策を多く入れることだけでは進みません。

自社の業種に合った健康リスクを見つけ、社員と管理職が動ける形にすることが重要です。

まとめ:業種別健康経営戦略は、健康リスクとKPIを職場に合わせること

健康経営は、どの企業にも同じ方法で当てはまるものではありません。

業種や勤務形態が違えば、社員が抱えやすい健康リスクも変わります。

業種別健康経営戦略では、身体的負荷、感情的負荷、勤務リズム、安全リスクを確認し、経営課題やKPIにつなげて見ます。

業種に合わない健康経営は、現場で実行されにくく、評価もしにくくなります。

人事総務・健康経営担当者は、制度や研修を選ぶ前に、自社の職場でどの健康リスクが起こりやすいかを確認することが大切です。

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