階層別ヘルスリテラシー(新人・若手・中堅・ベテラン)
職場では「ヒューマンエラー」と「ミス」がほぼ同じ意味で使われることがあります。しかし、人事総務が再発防止策を考えるときは、この二つを単純に同じ言葉として扱わない方が判断しやすくなります。
日本の職場で「ミス」は、入力間違い、確認漏れ、判断違いなど、仕事上の失敗を広く表す日常的な言葉です。一方、ヒューマンエラーは、人の認知・判断・行動が意図した結果からずれたとき、その背景まで含めて再発防止を考えるための概念として使われます。
ヒューマンエラーとミスは、単純な言い換えではありません
| 言葉 | 職場での扱い方 |
|---|---|
| ミス | 入力間違い、確認漏れ、伝達漏れなど、仕事上の失敗を広く表す言葉 |
| ヒューマンエラー | 人の認知・判断・行動のずれを、手順や職場環境まで含めて検討する考え方 |
なお、人間工学や安全管理の専門的な分類では、英語の「mistake」がヒューマンエラーの一つとして扱われることがあります。そのため、「ヒューマンエラー=ミスの難しい言い方」と理解するだけでは不十分です。
企業で重要なのは言葉の定義だけではなく、起きた失敗をどこまで分解して再発防止につなげるかです。
「社員がミスをした」で止めると、原因を見落とします
たとえば数字の入力を間違えた社員がいたとします。
本人へ「次から注意してください」と伝えるだけなら、ミスを個人の問題として扱っています。しかし実際には、次のような条件が重なっていることがあります。
- 似た数字や項目が同じ画面に並んでいる
- 入力後の確認方法が決まっていない
- 繁忙期で複数業務を同時に処理している
- 手順や判断基準が担当者ごとに違う
- 管理職がミスの増加に気づいても状況確認をしていない
この場合、必要なのは注意喚起だけではありません。表示、手順、教育、業務負荷、管理職対応のどこに問題があるのかを切り分けます。
見間違い・聞き違い・勘違い・確認漏れは別に考える
「ヒューマンエラー」という一つの言葉でまとめても、職場で起きていることは同じではありません。
見間違いなら表示環境、聞き違いなら情報伝達、勘違いなら判断基準、確認漏れなら工程や業務負荷など、最初に確認する場所が変わります。
具体的な切り分け方は、次の記事で人事総務向けに整理しています。
ヒューマンエラーの違い|見間違い・聞き違い・勘違いと再発防止を確認する
自社の再発防止策を決める前に確認できます
まだ研修会社へ相談する段階ではない人事総務ご担当者へ
「今回のヒューマンエラーは、手順改善で対応するのか、社員教育か、管理職研修まで必要なのか」を社内で整理するためのヒューマンエラー再発防止|管理職研修の要否判断チェックシートをご用意しています。
同じミスの繰り返し、疲労・業務負荷、管理職の声かけ、業務調整、人事総務への相談導線を確認できます。
まとめ|「ミスをした人」から「ミスが起きる条件」へ視点を広げる
職場で使う「ミス」は仕事上の失敗を広く表します。ヒューマンエラー対策では、その失敗だけでなく、人の認知・判断・行動と、それを取り巻く仕事の条件まで確認します。
タニカワ久美子の研修現場でも、「本人には何度も注意しているのに、忙しくなると同じミスが起きる」という管理職の声が出ます。この場合、再発防止で見るべきなのは本人の注意力だけではありません。
誰がミスをしたかで終わらず、どの条件で起き、どこで止められなかったのかを確認することが、職場のヒューマンエラー対策につながります。
研修テーマが未定でも、対象者・職場状況・実施時期に合わせて整理します。