健康経営
人材不足を健康経営で軽くする方法|採用に頼りすぎない職場づくり
人材不足について上司に相談すると、「採用が難しいのは仕方ない」「応募が来ないならどうしようもない」「健康施策より、まず人を集めるべきでは」と言われることがあります。
しかし、現場を見ていると、人が足りない以前に、今いる社員が疲れ切っていて、本来の力を出し切れていないことがあります。
同じ健康経営でも、本記事はWEBセミナー情報ではなく、人材不足を採用だけで解決しようとしない考え方に焦点を当てています。
人事総務・健康経営担当者が、上司に「今いる社員が働き続けられる職場づくり」の必要性を説明できるように、健康経営を使った人材不足対策を見ていきます。

人材不足は人数だけの問題ではありません
多くの企業で、人材不足は次のような形で表れます。
- 求人を出しても応募が少ない
- 採用しても短期間で辞めてしまう
- ベテラン社員に仕事が集中している
- 管理職が部下対応と通常業務を抱え込んでいる
- 現場が忙しく、新人を支える余裕がない
これらは採用の問題に見えますが、職場の中を見ると、疲労やストレスの問題が重なっていることがあります。
- 疲れが抜けない
- 忙しさがずっと続いている
- 気力が落ちている
- 相談する余裕がない
- 休むことに罪悪感がある
つまり、人材不足は「人がいない」だけの問題ではありません。今いる社員が力を出し切れない状態も、人材不足を深刻にします。
健康経営が人材不足対策になる理由
健康経営は、採用人数を直接増やす施策ではありません。
健康経営は、今いる社員が無理なく働き続けられる状態をつくり、職場が止まりにくくなるように整える考え方です。
社員の疲労やストレスを早めに見られるようになると、次のような変化につながります。
- 疲労の蓄積に早く気づける
- 集中力や判断力が保たれやすくなる
- 欠勤や休職に進む前に対応しやすくなる
- 辞める前のサインを見逃しにくくなる
- 管理職が一人で抱え込まないようになる
新しく人を採ることも大切です。ただし、今いる社員が疲れ切っている職場では、採用しても定着しにくくなります。
人材不足の対策では、採用活動と同時に、今いる社員が働き続けられる職場になっているかを見直す必要があります。
採用コストをかけ続けることのリスク
採用には、求人広告費や人材紹介料だけでなく、見えにくいコストもかかります。
- 採用活動にかかる人事総務の時間
- 面接や日程調整にかかる管理職の時間
- 入社後の教育や引き継ぎの時間
- 早期離職が起きた場合の再採用費用
- 新人を支える現場社員の負担
採用してもすぐに辞めてしまう状態が続くと、採用コストは増え続けます。さらに、残った社員が教える側に回り続け、現場の疲労も増えていきます。
健康経営は、採用の代わりに行うものではありません。採用に頼りすぎない職場をつくるための土台です。
人材不足対策として見るべき3つのポイント
上司に説明するときは、健康経営を広く話すよりも、人材不足に関係するポイントに絞ると伝わりやすくなります。
1. 今いる社員が疲れすぎていないか
まず見るべきなのは、社員の疲労です。
- 長時間労働が続いていないか
- 特定の社員に仕事が集中していないか
- 休みにくい空気がないか
- 疲れている社員が不調を言い出せずにいないか
社員が疲れすぎている職場では、仕事の質が落ち、離職リスクも高くなります。
2. 管理職が無理を抱え込んでいないか
人材不足の職場では、管理職にも負担が集中しやすくなります。
- 部下の変化を見る余裕があるか
- 相談を受け止める時間があるか
- 欠員対応を一人で抱えていないか
- 上司や人事総務に相談できているか
管理職が疲れ切ると、部下の不調や退職のサインにも気づきにくくなります。健康経営では、社員だけでなく管理職の負担も見る必要があります。
3. 人が辞める前兆を見逃していないか
離職は、突然起きるように見えることがあります。しかし、その前に小さな変化が出ている場合があります。
- 休みが増えた
- 元気だった人の表情が暗くなった
- 発言が減った
- 確認漏れやミスが増えた
- 「大丈夫です」と言いながら無理をしている
こうした変化を早めに見つけることで、退職や休職に進む前に対応しやすくなります。
タニカワ久美子が企業研修で見てきた人材不足の現場
タニカワ久美子が企業研修で現場を見ていると、「人が足りない」と言われている職場ほど、今いる社員の疲労が見過ごされていることがあります。
ある職場では、管理職が「とにかく採用しないと回らない」と話していました。しかし詳しく聞いていくと、既存社員の一部に仕事が集中し、新人を教える余裕もなくなっていました。
その状態では、採用しても新しい人が定着しにくくなります。新人を受け入れる側が疲れ切っていれば、相談に乗る時間も、声をかける余裕も少なくなるからです。
タニカワ久美子の企業研修では、人材不足を「採用できない問題」だけで見ません。今いる社員の疲労、管理職の負担、仕事の偏り、相談の遅れを見ながら、働き続けられる職場づくりとして健康経営を伝えています。
健康経営は気合いではなく仕組みで進める
人材不足対策として健康経営を進めるとき、担当者だけが頑張る形にすると続きません。
よくある失敗は、次のような状態です。
- 人事総務だけが資料を作っている
- 研修を一度実施して終わっている
- 管理職が何をすればよいか決まっていない
- 現場が忙しく、取り組みが後回しになっている
- 成果を見ずに、次の施策だけが増えている
健康経営を人材不足対策に使うには、最初から役割を決めておく必要があります。
| 役割 | 見ること | 行動 |
|---|---|---|
| 経営層 | 人材不足を採用だけの問題にしていないか | 今いる社員を守る方針を示す |
| 人事総務 | 疲労、欠勤、離職、相談の遅れ | 見る項目を決め、上司に説明する |
| 管理職 | 部下の変化、仕事の偏り | 早めに声をかけ、抱え込まない |
| 社員 | 自分の疲労や困りごと | 早めに相談する |
このように役割を分けると、健康経営は気合いではなく、職場を回し続けるための取り組みになります。
健康経営研修を組み合わせる意味
人材不足の職場では、研修の時間を確保すること自体が負担になることがあります。
それでも、健康経営研修が役立つ場面があります。研修の目的は、知識を増やすことだけではありません。
- 管理職が部下の疲労に気づけるようになる
- 社員が早めに困りごとを言葉にできるようになる
- 仕事の偏りを話し合いやすくなる
- 人事総務が職場の状態を説明しやすくなる
- 採用だけに頼らない考え方を共有できる
研修は、人材不足を一度で解決するものではありません。けれども、社員の疲労や管理職の負担を職場全体で見直す入口になります。
忙しい職場では学び方も工夫する
忙しい職場では、全員を長時間集める研修が難しいことがあります。
その場合は、オンライン研修や動画視聴、短時間の対面確認を組み合わせる方法もあります。
- オンラインで必要な知識を学ぶ
- 短時間の対面で、自社の課題に当てはめる
- 管理職向けと社員向けで内容を分ける
- 研修後に、職場で話し合う時間を少し設ける
大切なのは、研修形式そのものではありません。学んだ内容が、職場の声かけ、相談、仕事の偏りへの気づきにつながることです。
まとめ|人材不足は採用だけでなく健康経営で軽くする
人材不足は、採用だけで解決できる問題ではありません。
今いる社員が疲れ切っている、管理職が抱え込んでいる、仕事が一部の人に集中している、相談が遅れている。このような状態では、新しい人を採用しても定着しにくくなります。
健康経営は、人が足りない問題を、今いる社員が働き続けられる職場づくりから軽くする考え方です。
けんこう総研では、ストレス対策を軸に、人材不足時代でも今いる社員が力を発揮しやすい職場づくりを支援しています。採用だけに頼らない健康経営を進めたい場合は、健康経営フォローアップをご確認ください。