健康経営戦略の立て方|現状分析からKPIまでの進め方

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健康経営

健康経営戦略の立て方|現状分析からKPIまでの進め方

健康経営を進めたいと思っても、「何から始めればよいのか」が見えにくい会社があります。
健康診断、ストレスチェック、研修、相談窓口など、施策はすでにある。
それでも、全体としてどこへ向かっているのかが社内で共有されていないことがあります。

この記事では、健康経営を施策単位で終わらせず、戦略として立てる方法を扱います。
同じ健康経営でも、本記事は認定取得や個別施策の紹介ではなく、現状分析、課題選定、KPI、実行計画までをどうつなげるかに焦点を当てます。

人事総務・健康経営担当者が、社内で説明しやすく、現場にも伝わる健康経営にするための順番で見ていきます。

健康経営戦略の立て方を考える職場イメージ

健康経営は、施策を増やすだけでは成果につながらない

健康経営では、健康診断後の支援、ストレスチェック、メンタルヘルス研修、運動習慣づくり、禁煙支援、相談窓口など、さまざまな施策があります。
しかし、施策を増やすだけでは成果につながりません。

人事総務が一生懸命に取り組んでいても、次のような状態になることがあります。

  • 施策はあるが、目的が社内で共有されていない
  • 毎年同じ取り組みを続けているが、成果が見えない
  • 健康診断やストレスチェックの結果が次の施策につながっていない
  • 経営層に説明するとき、何を成果として示せばよいかわからない
  • 現場の管理職が健康経営を自分の仕事として受け止めていない

この状態では、健康経営は「良いことをしている活動」にはなっても、会社全体の判断材料にはなりにくくなります。
健康経営を続けるには、最初に戦略の形にしておくことが必要です。

健康経営戦略とは何を決めることか

健康経営戦略とは、健康施策を並べることではありません。
自社の経営課題と職場の健康課題をつなげ、何を優先して改善するのかを決めることです。

たとえば、離職が課題の会社と、欠勤が課題の会社では、見るべき健康課題が違います。
管理職の負担が強い会社と、現場社員の疲労が強い会社でも、必要な施策は変わります。

経営課題 関係しやすい健康課題 検討したい施策
離職を減らしたい 働きにくさ、相談しにくさ、管理職との関係 管理職研修、相談窓口、職場アンケート
休職を減らしたい ストレスの深刻化、早期相談の遅れ ストレス管理研修、ラインケア、早期相談導線
生産性を安定させたい 疲労、睡眠不足、集中力低下 疲労対策、休憩ルール、生活習慣支援
採用力を高めたい 働きやすさの見えにくさ 健康経営の社内外発信、制度の見える化
管理職の負担を減らしたい 部下対応の抱え込み、相談先の不明確さ 管理職支援、相談フロー、フォロー面談

健康経営戦略では、まず「何を良くしたいのか」を決めます。
そのうえで、健康施策を選び、KPIを置き、実行計画へつなげます。

健康経営戦略を立てる前に見るべき情報

健康経営戦略を立てるときは、最初から新しい施策を考えないことが大切です。
まず、すでに社内にある情報を見ます。

  • 健康診断結果の傾向
  • ストレスチェックの集計結果
  • 欠勤・休職・離職の状況
  • 残業時間や長時間勤務者の状況
  • 社員アンケートや満足度調査
  • 相談窓口の利用傾向
  • 管理職や現場から出ている困りごと

これらを別々に見るのではなく、つなげて見ることが重要です。
たとえば、ストレスチェックの結果が悪い部署で、残業が多く、離職も多い場合、その部署には職場の負担が集中している可能性があります。

健康経営戦略は、感覚でつくるものではありません。
社内にある情報と現場の声を合わせて、どこから手を打つかを決めるものです。

健康経営戦略でよくある失敗

健康経営戦略でよくある失敗は、施策ありきで進めてしまうことです。
「今年は研修をする」「相談窓口を入れる」「運動イベントを行う」と決めても、なぜそれを行うのかが不明確だと成果につながりにくくなります。

  • 認定取得だけが目的になっている
  • 前年と同じ施策を繰り返している
  • KPIが参加率や満足度だけになっている
  • 現場の管理職に目的が伝わっていない
  • 健康施策が人事総務だけの仕事になっている

このような状態では、健康経営が社内で広がりません。
戦略として進めるには、施策名より先に、解決したい課題を明確にする必要があります。

健康経営戦略の立て方1:経営課題を決める

最初に決めるのは、健康施策ではありません。
自社が健康経営を通じて、どの経営課題を改善したいのかです。

  • 離職を減らしたい
  • 休職を減らしたい
  • 管理職の負担を軽くしたい
  • 採用活動で働きやすさを伝えたい
  • 社員の疲労やストレスによる業務低下を減らしたい

この段階があいまいだと、健康経営は「いろいろやっているが成果が見えない」状態になります。
人事総務が社内で説明するときも、経営課題とつながっている方が理解されやすくなります。

健康経営戦略の立て方2:職場の健康課題を選ぶ

次に、経営課題に関係する健康課題を選びます。
健康課題は、身体の健康だけではありません。
ストレス、疲労、睡眠、相談しにくさ、管理職の抱え込み、休みにくさなども含まれます。

ここで大切なのは、すべてを一度に解決しようとしないことです。
優先順位を決め、まず取り組む課題を絞ります。

  • 高ストレス者が多い部署を先に見る
  • 欠勤や離職が多い部署を確認する
  • 管理職から相談が多いテーマを拾う
  • 社員アンケートで負担感が強い項目を見る
  • 繁忙期に問題が出やすい部署を確認する

健康経営戦略は、広く浅く進めるよりも、課題を絞って確実に動かす方が成果につながりやすくなります。

健康経営戦略の立て方3:KPIを決める

健康経営戦略では、KPIを先に増やしすぎないことが重要です。
見る指標が多すぎると、人事総務も現場も何を判断すればよいのかわからなくなります。

KPIは、解決したい課題に合わせて選びます。

目的 見るKPI 確認したい変化
ストレスを減らしたい ストレスチェック、相談件数、職場アンケート 早めに相談できているか、負担感が下がっているか
休職を減らしたい 欠勤日数、休職者数、復職後の安定状況 不調が深くなる前に対応できているか
離職を減らしたい 離職率、職場満足度、上司との関係 辞める前の不満や孤立が減っているか
管理職を支えたい 管理職アンケート、相談対応件数、研修後の行動変化 管理職が一人で抱え込まない流れができているか
施策を継続判断したい 参加率、満足度、行動変化、関連データの推移 実施後に職場で使われているか

KPIは、経営層に見せるためだけの数字ではありません。
人事総務が、次に続ける施策と見直す施策を決めるための判断材料です。

健康経営戦略の立て方4:実行計画に落とし込む

経営課題、健康課題、KPIが決まったら、実行計画に落とし込みます。
実行計画では、誰が、いつ、何を行い、どの時点で確認するのかを決めます。

  • 対象部署や対象者を決める
  • 実施する研修や相談支援を決める
  • 管理職に伝える内容を決める
  • 社員向けの案内文を決める
  • 実施後に見るKPIを決める
  • 次に見直す時期を決める

健康経営は、担当者の熱意だけでは続きません。
予定、役割、確認方法を決めておくことで、社内で動かしやすくなります。

業種別に健康経営戦略を変える理由

健康経営戦略は、業種によって変える必要があります。
同じ健康施策でも、製造業、介護施設、教育機関、運送業、事務職中心の企業では、職場の負担が違うからです。

業種・職場 出やすい健康課題 戦略で見たい点
製造業 身体疲労、安全確認、交代勤務 疲労、睡眠、ヒヤリ・ハットとの関係
介護施設 感情労働、腰痛、人手不足 離職、相談しやすさ、管理職の負担
教育機関 対人対応、長時間労働、保護者対応 メンタル不調、欠勤、相談体制
運送業 睡眠不足、疲労、事故不安 休憩、運転安全、疲労の蓄積
事務職中心の企業 座りっぱなし、目の疲れ、対人ストレス 運動不足、ストレス、集中力低下

健康経営戦略は、一般的な正解をそのまま当てはめるものではありません。
自社の業種、働き方、年齢構成、職場の負担に合わせて組み立てる必要があります。

タニカワ久美子が企業研修で見ている戦略立案の課題

タニカワ久美子の企業研修では、人事総務の担当者から「健康経営の取り組みはしているが、社内でどう説明すればよいかわからない」という相談を受けることがあります。
研修、健康診断後の案内、ストレスチェック、相談窓口など、個別の施策は動いているのに、全体としてのつながりが見えにくい状態です。

現場の社員さんからは、「会社が健康経営をしているのは知っているが、自分の仕事にどう関係するのかわからない」という声が出ることもあります。
このズレがあると、健康経営は人事総務の作業になり、社員の行動にはつながりにくくなります。

研修では、健康経営を制度名で説明するのではなく、社員の日常に結びつけて伝えます。
疲れをためすぎないこと、早めに相談すること、管理職が声をかけること、職場の負担を見直すことまで含めて、健康経営の一部として扱います。

健康経営戦略を立てる流れ

健康経営戦略は、次の流れで進めると社内説明がしやすくなります。

  1. 経営課題を決める
  2. 社内データと現場の声を確認する
  3. 優先する健康課題を絞る
  4. 課題に合った施策を選ぶ
  5. KPIを決める
  6. 実行計画に落とし込む
  7. 実施後に変化を確認する
  8. 次年度の施策を見直す

この流れがあると、健康経営は「何となく良い取り組み」ではなく、社内で説明できる計画になります。

健康経営戦略は、実行できる形にしてはじめて動く

健康経営戦略は、きれいな計画を作ることが目的ではありません。
人事総務が社内で説明でき、管理職が現場で動けて、社員が自分に関係する取り組みだと感じられる形にすることが大切です。

そのためには、現状分析、課題選定、KPI、実行計画をつなげる必要があります。
施策を増やす前に、自社のどの課題を良くするための健康経営なのかを決めることが出発点です。

けんこう総研では、健康経営戦略の立て方、ストレス管理研修、KPI設計、実行後の見直しをつなげ、人事総務・健康経営担当者が社内で説明しやすい形にして支援しています。

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