健康経営が続かない理由|経営判断に使われない構造

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健康経営が続かない理由|経営判断に使われない構造

健康経営に取り組み始めても、数年後には活動が止まってしまう企業があります。

制度を入れた。研修も行った。ストレスチェックや健康診断の結果も確認している。それでも、翌年になると同じことの繰り返しになり、次の判断につながらないことがあります。

この記事では、健康経営が続かない理由を、経営判断の流れに入っていない構造から見ていきます。

同じ健康経営でも、本記事は失敗事例を並べる記事ではありません。人事総務・健康経営担当者が、健康経営を続けるために、何を経営層へ示し、何を見直し材料にすればよいかを扱います。

健康経営が続かない理由は、努力不足ではない

健康経営が途中で止まると、担当者は「自分の進め方が悪かったのではないか」「社員の関心が低いのではないか」と感じやすくなります。

しかし、多くの場合、原因は担当者の努力不足ではありません。

問題は、健康経営が続く前提で組まれていないことです。

  • 何のために行うのかが曖昧なまま始まっている
  • 実施後に何を判断するかが決まっていない
  • 経営層へ報告する内容が実施報告で止まっている
  • 管理職や現場が自分の役割として受け止めていない
  • 翌年に見直す項目が残っていない

この状態では、どれだけ良い施策を行っても、翌年以降に続きにくくなります。

健康経営の目的が「導入」になると止まりやすい

健康経営が続かない企業では、目的が「導入すること」になっていることがあります。

たとえば、認証取得、制度整備、研修実施、ストレスチェック対応などです。

これらは大切な取り組みです。しかし、それ自体が目的になると、実施後に何を見ればよいか分からなくなります。

  • 研修を実施したが、その後の行動を見ていない
  • ストレスチェックを実施したが、職場改善につながっていない
  • 健康診断結果を確認したが、受診勧奨や生活改善に結びついていない
  • 制度を整えたが、社員に意味が伝わっていない

健康経営は、導入した時点ではまだ始まっただけです。

続けるためには、実施後に何を見て、何を変えるのかを決めておく必要があります。

担当者任せになると、健康経営は続かない

健康経営が人事総務担当者だけの仕事になっていると、継続が難しくなります。

担当者が熱心なうちは進みます。しかし、異動、退職、繁忙期、兼務業務の増加があると、取り組みは止まりやすくなります。

これは担当者の責任ではありません。

健康経営が会社の業務として位置づいていないことが問題です。

  • 経営層が判断に関わっていない
  • 管理職が自分の役割を持っていない
  • 現場からの反応が担当者に戻ってこない
  • 実施理由や判断基準が記録に残っていない
  • 次の担当者が何を引き継げばよいか分からない

健康経営を続けるには、担当者個人の熱意ではなく、会社として回る形にする必要があります。

経営判断と切り離されると優先順位が下がる

健康経営が続かない大きな理由は、経営判断と切り離されていることです。

健康経営の取り組み結果が、経営会議や管理職会議で扱われていない場合、どうしても優先順位は下がります。

経営層から見ると、次のように見えてしまうことがあります。

  • 研修を実施したことは分かるが、経営にどう関係するのか分からない
  • ストレスチェック結果を受け取っても、次の判断材料になっていない
  • 健康診断の数値はあるが、人材定着や休職予防とつながっていない
  • 費用をかけているが、続ける理由が見えない

健康経営は、福利厚生としてだけ扱うと継続判断が弱くなります。

人材定着、休職予防、管理職負担、業務継続、職場改善とつなげて説明することで、経営判断の材料になります。

成果の捉え方が曖昧だと、続ける理由を説明できない

健康経営では、成果をどう見るかを先に決めておく必要があります。

「社員の健康意識が高まった気がする」「雰囲気が良くなったように感じる」だけでは、継続判断の材料として弱くなります。

もちろん、社員の反応や職場の雰囲気は大切です。

ただし、経営層や管理職に説明するには、もう少し具体的な見方が必要です。

  • 研修後に管理職の声かけが増えたか
  • 社員が相談先を知っているか
  • ストレスチェック後に職場改善の話し合いが行われたか
  • 健診後の再検査受診や保健指導につながったか
  • 高ストレス部署や負担が大きい職場への対応が進んだか
  • 次年度に見直す課題が明確になったか

健康経営の成果は、すぐに大きな数字で出るとは限りません。

だからこそ、小さな行動変化や職場の見直しを確認する必要があります。

健康経営を続けるには、判断材料として扱う

健康経営を続けるためには、取り組み結果を「報告」で終わらせないことが重要です。

報告だけで終わると、次の判断につながりません。

人事総務・健康経営担当者は、次のような形で経営層や管理職へ示すと、健康経営を続ける理由が伝わりやすくなります。

  • 今年は何を目的に取り組んだのか
  • 実施後にどのような反応があったのか
  • 職場でどのような行動変化が見えたのか
  • まだ残っている課題は何か
  • 来年度は何を見直すべきか

このように示すことで、健康経営は「実施済みの活動」ではなく、「次の判断に使う情報」になります。

行動と職場の変化を見る

健康経営を継続させるには、数値だけでなく、行動と職場の変化を見ることが重要です。

たとえば、ストレスチェックの結果が大きく変わらなくても、管理職が部下の変化に早く気づくようになったなら、それは大切な変化です。

健康診断の有所見率がすぐに下がらなくても、再検査受診率が上がった、昼休みに歩く社員が増えた、睡眠の話題が研修後に出るようになったなら、次につながる変化です。

健康経営は、数値が動くまで何もしない取り組みではありません。

小さな行動変化を見ながら、次にどこへ手を打つかを決めていくことが必要です。

経営層が関与する仕組みをつくる

健康経営を続けるには、経営層の関与が欠かせません。

ただし、経営層に「健康が大事です」と伝えるだけでは動きません。

経営層が判断しやすい形で情報を出す必要があります。

  • 人材定着への影響
  • 休職や離職の予防
  • 管理職の負担軽減
  • 業務継続への影響
  • 健康診断やストレスチェック後の職場改善
  • 社員が働き続けやすい職場づくり

健康経営を経営判断に使える情報として示すことで、取り組みは続けやすくなります。

経営層が関与すると、健康経営は人事総務だけの活動ではなく、会社の方針として扱われます。

タニカワ久美子の企業研修で見てきたこと

タニカワ久美子の企業研修では、「健康経営を始めたものの、次に何をすればよいか分からない」と話す人事総務担当者を多く見てきました。

研修、ストレスチェック、健康診断、社内案内は行っています。けれども、それが経営層や管理職の判断材料になっていないと、翌年も同じことを繰り返すだけになります。

研修では、担当者に「実施報告だけで終わらせず、次に何を判断するための材料にするかを決めてください」と伝えています。

管理職には、「健康経営は人事総務の資料づくりではありません。部下の働き方や職場の負担を見直すための材料です」と話します。

健康経営が続かない企業では、施策が不足しているのではなく、施策後に見るポイントが決まっていないことがあります。

健康経営が続く会社が確認していること

健康経営が続く会社は、取り組みを実施したあとに、次のような点を確認しています。

  • 今年の健康経営で何を確認したかったのか
  • 実施後にどのような反応があったのか
  • 管理職や社員の行動に変化があったのか
  • 経営層へ報告すべき課題は何か
  • 次年度に続けること、やめること、変えることは何か

この確認があると、健康経営は単発の取り組みで終わりません。

実施、確認、見直しがつながることで、健康経営は続く仕組みになります。

健康経営担当者が最初に見直すポイント

健康経営が続かないと感じたとき、人事総務・健康経営担当者は次の点を確認してください。

  • 取り組みの目的が「導入」だけになっていないか
  • 実施後に何を判断するかが決まっているか
  • 経営層へ示す材料が実施報告だけになっていないか
  • 管理職が職場で見るポイントを持っているか
  • 成果を大きな数値だけで見ようとしていないか
  • 次年度に見直す項目が残っているか

ここを見直すことで、健康経営は「やったけれど続かない取り組み」から、「次の判断につながる取り組み」へ変わります。

まとめ:健康経営が続かない理由は、判断材料になっていないこと

健康経営が続かない理由は、担当者の努力不足や社員の意識の低さだけではありません。

多くの場合、健康経営が経営判断の流れに入っていないことが原因です。

導入した、研修を行った、制度を整えたという事実だけでは、翌年以降の継続判断にはつながりません。

健康経営を続けるには、実施後に何を見て、何を経営層や管理職へ示し、何を次年度に見直すかを決めておく必要があります。

健康経営を判断材料として扱えるようになると、取り組みは一過性の活動ではなく、会社の継続的な職場改善になります。

健康経営を始めたものの、次に何を見ればよいか分からない、取り組みが続かないと感じている方へ。
けんこう総研では、現在の取り組みを確認しながら、健康経営を経営判断と職場改善につなげる進め方を一緒に確認しています。
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