健康経営
健康経営を内製化する方法|担当者交代で止めない運用設計
健康経営は、外部研修やコンサルティングを入れただけでは社内に残りにくいことがあります。
人事総務・健康経営担当者からは、「研修が終わると元に戻ってしまう」「担当者が変わるたびに健康経営が止まる」「外部に頼っている間は進むが、自社にやり方が残らない」という相談を受けることがあります。
この記事では、健康経営を担当者交代でも止まらない社内運用に変える方法を扱います。
同じ健康経営でも、本記事は外部委託をやめる話ではありません。外部支援を使いながら、判断基準、役割分担、見直し方を社内に残すための内容です。
健康経営が社内に残らない企業に多い状態
健康経営が続かない企業では、取り組みそのものが悪いのではなく、社内に残る形になっていないことがあります。
たとえば、次のような状態です。
- 健康経営が年1回の研修やイベントで終わっている
- 外部講師や専門職がいないと次の行動が決まらない
- 担当者の熱意に頼っている
- 担当者が変わると、過去の経緯が分からなくなる
- ストレスチェック後の対応が毎年同じになっている
- 管理職や現場リーダーが健康経営を自分の仕事として見ていない
この状態では、よい研修を実施しても、職場の行動には残りにくくなります。
健康経営を社内に残すには、「誰が頑張るか」ではなく、「担当者が変わっても回る形になっているか」を見る必要があります。
健康経営の内製化は、すべてを自社で抱えることではない
健康経営の内製化というと、専門家に頼らず、すべてを自社だけで行うことだと考えられがちです。
しかし、それは現実的ではありません。
医療、心理、労務、産業保健、ストレス管理には専門的な判断が必要な場面があります。そこまで人事総務担当者が一人で抱える必要はありません。
健康経営の内製化で大切なのは、外部支援を使いながらも、次のことを社内で分かるようにしておくことです。
- 何のために取り組んでいるのか
- 誰が何を判断するのか
- どこまでを社内で行うのか
- どこから外部専門家に相談するのか
- 実施後に何を見直すのか
外部支援を使うことと、健康経営を社内に残すことは矛盾しません。
むしろ、外部支援を使いながら社内に判断基準を残すことが、続く健康経営につながります。
専門知識より先に必要なのは、役割分担を決めること
健康経営が社内で進まない理由として、「専門知識がないから」と感じる担当者は少なくありません。
もちろん専門知識は必要です。しかし、健康経営が止まる原因は、知識不足だけではありません。
多くの場合、役割分担が曖昧なまま進んでいます。
- 人事総務は何を担うのか
- 管理職は何を見るのか
- 産業医や保健師に何を相談するのか
- 外部講師やコンサルタントに何を任せるのか
- 経営層はどの場面で関与するのか
この整理がないまま施策を増やすと、健康経営は担当者個人に偏ります。
担当者が変わったときに止まるのは、その人が悪いのではありません。社内で役割が決まっていないことが原因です。
健康経営を業務として扱う
健康経営を続けるには、善意や熱意だけに頼らないことが重要です。
「できる人がやる」「気づいた人が動く」という形では、担当者が変わったときに止まりやすくなります。
人事総務・健康経営担当者は、次のような点を社内で決めておく必要があります。
- 年間で確認する健康経営の項目
- ストレスチェック後に行うこと
- 健康診断後に確認すること
- 管理職へ共有する内容
- 外部研修後に職場で見る行動
- 次年度に引き継ぐ記録
健康経営を業務として扱うとは、冷たく事務的にするという意味ではありません。
担当者が一人で抱え込まなくても、会社として続けられる形にすることです。
個人対応だけでなく、職場単位で見る
健康経営が行き詰まる理由の一つは、個人対応だけに引きずられることです。
個別の相談や不調者対応は大切です。しかし、すべてを個人対応だけで進めると、人事総務担当者や管理職の負担が大きくなります。
健康経営を社内で回すには、職場単位で見る視点が必要です。
- どの部署で負担が集中しているか
- どの業務でストレスが高まりやすいか
- どの管理職が部下対応を抱え込んでいるか
- どの時間帯や時期に疲労が増えやすいか
- どの施策が現場に届いていないか
このように見ると、担当者が一人ひとりをすべて支えるのではなく、職場の仕組みを見直す方向に進められます。
健康経営の内製化では、個人の問題として終わらせず、職場で見直せる形に変えることが重要です。
改善サイクルは小さく回す
健康経営は、一度計画を作れば終わるものではありません。
大切なのは、小さく始めて、実施後に見直すことです。
たとえば、次のような流れです。
- 今年見る職場課題を一つ決める
- 研修や情報提供を行う
- 受講後に、職場で変えたい行動を決める
- 管理職と短く振り返る
- 次年度に残す項目を記録する
完璧な数値をそろえてから始める必要はありません。
大切なのは、実施したあとに「何が変わったか」「何が残ったか」「次に何を見るか」を確認することです。
この見直しがあると、健康経営は担当者個人の仕事ではなく、社内で続く取り組みになります。
担当者交代で健康経営を止めないために残すもの
健康経営を内製化するうえで、引き継ぎは重要です。
担当者が変わるたびにゼロから調べ直す状態では、健康経営は前に進みにくくなります。
最低限、次の内容を残しておくと、次の担当者が動きやすくなります。
- 今年の健康経営の目的
- 実施した研修や施策
- ストレスチェックや健診結果から見えた課題
- 管理職や社員から出た反応
- 外部支援を使った理由
- 次年度に見直すべき項目
- 相談先や外部専門家との関係
この記録があるだけで、担当者交代時のリセットを防ぎやすくなります。
健康経営の内製化とは、担当者が変わっても判断の続きを残せる状態をつくることです。
タニカワ久美子の企業研修で見てきたこと
タニカワ久美子の企業研修では、健康経営に真面目に取り組んでいるのに、担当者交代で止まってしまう職場を見てきました。
前任者は熱心に研修を企画し、外部講師を呼び、社員への案内も行っています。けれども、なぜそのテーマを選んだのか、研修後に何を見ればよいのかが記録に残っていないことがあります。
その状態で新しい担当者になると、「去年と同じ研修でよいのか」「何を変えればよいのか」が分からず、結局また最初から探すことになります。
研修では、担当者に「健康経営は担当者の熱意だけで続けるものではありません。次の人が判断できる形で残すことが、会社の力になります」と伝えています。
管理職には、「人事総務だけに任せるのではなく、職場で見えた変化を返すことが、健康経営を続ける助けになります」と話します。
外部支援は、社内に残すために使う
外部支援は、健康経営の内製化を妨げるものではありません。
使い方を間違えなければ、むしろ社内運用を強くするために役立ちます。
外部支援を使うときは、次の点を確認してください。
- 研修後に社内で何を見るかが残るか
- 担当者が社内説明に使える言葉が残るか
- 管理職が日常業務で使える視点が残るか
- 次年度の計画に反映できる内容が残るか
- 外部に任せる範囲と社内で持つ範囲が分かれているか
外部支援を使っている間だけ進む状態では、健康経営は定着しません。
外部支援を使ったあとに、社内で判断できることが増えているかを見る必要があります。
健康経営の内製化で見るKPI
健康経営の内製化は、感覚だけで判断しない方がよいです。
次のような項目を見ると、社内運用が進んでいるかを確認しやすくなります。
- 健康経営の年間計画が社内に残っているか
- 担当者交代時の引き継ぎ資料があるか
- 研修後に管理職や職場で確認する行動が決まっているか
- ストレスチェックや健診結果を次の施策に反映しているか
- 外部支援後に社内で判断できる範囲が増えているか
- 人事総務だけでなく、管理職や現場リーダーが関わっているか
これらは、すべて数値化しなければならないものではありません。
ただし、毎年確認することで、健康経営が属人化していないかを見やすくなります。
まとめ:健康経営の内製化は、担当者が変わっても続く形にすること
健康経営の内製化とは、すべてを自社だけで完結させることではありません。
外部支援を使いながらも、目的、役割分担、判断基準、見直し方を社内に残すことです。
担当者が変わるたびに健康経営が止まる場合は、担当者の問題ではなく、引き継げる形になっていない可能性があります。
健康経営を続けるには、施策を増やすことよりも、誰が見ても次の行動が分かる状態にしておくことが重要です。
健康経営が外部研修や担当者の熱意に依存し、担当者交代のたびに止まってしまうと感じている方へ。
けんこう総研では、外部支援を使いながらも、社内に判断基準・役割分担・見直しの流れが残る健康経営の進め方を一緒に確認しています。
健康経営フォローアップの詳細はこちら