健康経営
社員の欠勤とメンタルヘルス対策|休職前に整える支援体制
「元気そうに働いていた社員が、急に休みがちになった」「体調不良の連絡が増え、話し合いの末に休職となった」。このような相談は、人事総務・健康経営担当者にとって決して珍しいものではありません。
社員の欠勤や休職は、本人だけの問題ではありません。周囲の業務負担、管理職の対応、人員配置、職場の雰囲気にも影響します。欠勤が続いてから慌てて対応するのではなく、欠勤が増える前に小さな変化へ気づき、相談しやすい体制を整えておくことが重要です。
この記事では、社員の欠勤が増える前に、人事総務が整えたいメンタルヘルス支援体制と、休職前に確認したい対応ポイントを見ていきます。

社員の欠勤が増える前に、メンタルヘルス不調のサインを見逃さず、相談と職場支援につなげる体制づくりが必要です。
社員の欠勤は、突然起こるように見えて前ぶれがある
社員が休みがちになる前には、小さな変化が出ていることがあります。本人は「少し疲れているだけ」「一時的な体調不良」と考えていても、職場で見ると、以前とは違う様子が続いている場合があります。
人事総務や管理職が確認したいのは、欠勤そのものだけではありません。欠勤に至る前の表情、行動、仕事の進み方、周囲との関わり方です。
- 遅刻や早退が増える
- 体調不良による当日欠勤が続く
- 報告や相談が減る
- ミスや確認漏れが増える
- 会議や雑談への参加が少なくなる
- 表情が硬く、疲れている様子が続く
こうした変化があるときに、「本人の自己管理の問題」として扱うと、支援が遅れます。まずは、業務量、相談しやすさ、職場での孤立、体調の変化を確認することが大切です。
欠勤が続く前に確認したいメンタルヘルス不調のサイン
メンタルヘルス不調は、本人からはっきり相談が出るとは限りません。まじめな社員ほど、「迷惑をかけたくない」「評価に影響するのではないか」と考え、ぎりぎりまで我慢することがあります。
| 見えやすい変化 | 職場で起こりやすい状態 | 人事総務が確認したいこと |
|---|---|---|
| 勤怠の変化 | 遅刻、早退、当日欠勤が増える | 睡眠、疲労、通勤負担、業務負荷 |
| 仕事の変化 | ミス、確認漏れ、提出遅れが増える | 集中力、優先順位、業務量、支援者の有無 |
| 対人面の変化 | 会話が減る、相談しなくなる、孤立する | 上司との関係、職場内の相談しやすさ |
| 感情面の変化 | イライラ、涙もろさ、強い不安、自己否定 | 失敗体験、職場のプレッシャー、本人の受け止め方 |
| 体調面の変化 | 頭痛、胃腸不調、肩こり、睡眠不調が続く | 休息、医療機関や産業保健スタッフへの相談の必要性 |
これらの変化が見られた場合、すぐに病名や原因を決めつけないことが重要です。人事総務が行うべきことは診断ではなく、本人が安全に相談できる流れを作ることです。
ストレスチェックだけでは支援につながらないことがある
ストレスチェックは、職場のストレス状況を把握するうえで重要な仕組みです。ただし、実施するだけでは、欠勤や休職の予防につながりにくいことがあります。
ストレスチェック後に必要なのは、結果を見て終わることではありません。高ストレス者への対応、職場環境の見直し、管理職への共有、社員が相談しやすい窓口の確認です。
- 高ストレス者への面接指導の流れが明確か
- 相談窓口が社員に伝わっているか
- 管理職が部下の変化に気づけるか
- 部署ごとの負担や孤立が見えているか
- ストレスチェック後の施策が単発で終わっていないか
欠勤が増える前に支援するには、ストレスチェックを制度として実施するだけでなく、職場での声かけや相談体制とつなげる必要があります。
人事総務が整えたいメンタルヘルス支援体制
社員の欠勤や休職を防ぐには、人事総務だけで抱え込まない体制が必要です。本人、上司、人事総務、産業保健スタッフ、外部相談窓口がばらばらに動くと、支援が届きにくくなります。
| 支援体制 | 役割 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 本人 | 体調や困りごとを早めに伝える | 相談してよいことを事前に伝える |
| 管理職 | 日常の変化に気づき、初期対応を行う | 責める声かけではなく、状況確認を行う |
| 人事総務 | 相談体制、就業上の配慮、関係者調整を行う | 情報共有の範囲と本人の尊重を両立する |
| 産業保健スタッフ | 専門的な視点で健康相談や就業配慮を支援する | 必要なタイミングで早めにつなぐ |
| 外部相談窓口 | 社内で話しにくい相談を受ける | 利用方法を社員にわかりやすく案内する |
支援体制は、休職が決まってから作るものではありません。欠勤が増える前から、誰が何を見て、どこへつなぐのかを決めておくことが大切です。
本人への声かけで避けたいこと
欠勤や体調不良が続く社員に声をかけるときは、言葉選びが重要です。本人はすでに申し訳なさや不安を抱えている場合があります。
次のような言い方は、本人を追い込むことがあります。
- 最近休みが多いけれど大丈夫なのか
- 周りも困っている
- 自己管理をしっかりしてほしい
- このままだと評価に響く
- みんなも頑張っている
必要なのは、注意ではなく状況確認です。声をかけるときは、次のような形に変えます。
- 最近、体調面で困っていることはありませんか
- 仕事量や進め方で負担になっていることはありますか
- 相談しづらいことがあれば、人事として聞くこともできます
- 必要であれば産業保健スタッフにつなぐこともできます
- 今後の働き方について一緒に確認しましょう
本人を責めずに、困りごとを確認し、支援先へつなぐことが、欠勤や休職の予防につながります。
休職に至る前にできる職場支援
欠勤が続いてから対応するのではなく、欠勤が増え始めた段階で職場支援を検討します。すぐに大きな制度変更をする必要はありません。まずは、本人が働き続けやすい条件を確認します。
- 一時的に業務量を調整できるか
- 優先順位を管理職と一緒に確認できるか
- 相談しやすい上司や担当者を決められるか
- 勤務時間や休憩の取り方を見直せるか
- 必要に応じて産業医や保健師につなげるか
職場支援は、特別扱いではありません。社員が不調を深める前に、働き方と支援の方法を調整するための実務です。
周囲の社員への影響も確認する
社員の欠勤や休職が続くと、周囲の社員にも負担がかかります。残った社員に業務が集中すると、新たな疲労や不満が生まれることがあります。
人事総務は、本人への支援と同時に、職場全体の負担も確認する必要があります。
- 代替業務が特定の社員に偏っていないか
- 管理職が一人で抱え込んでいないか
- 欠勤理由について職場内で憶測が広がっていないか
- 周囲の社員にも疲労や不満が出ていないか
- 業務の優先順位を見直せているか
本人を守ることと、職場全体を守ることは両立できます。そのためには、情報の扱い方と業務配分を丁寧に調整する必要があります。
タニカワ久美子の企業研修で見てきた欠勤前のサイン
タニカワ久美子の企業研修では、人事総務の担当者から「元気そうに見えていた社員が、急に休み始めた」という相談を受けることがあります。
現場で見ていると、欠勤が始まる前に、小さなサインが出ていることがあります。会議で発言しなくなる、相談が減る、確認漏れが増える、表情が硬くなる、昼休みに一人で過ごすようになる。これらは本人が助けを求めているとは限りませんが、支援のきっかけになります。
研修では、管理職や人事総務に対して、「問題が大きくなってから注意する」のではなく、「小さな変化に気づいて、本人が話しやすい入口を作る」ことを重視して伝えています。
欠勤・休職予防を健康経営として設計する
社員の欠勤や休職への対応は、人事労務だけの問題ではありません。健康経営として考えるなら、欠勤が増える前に、疲労、ストレス、相談行動、職場支援を見える化しておく必要があります。
| 確認項目 | 見るポイント | 施策例 |
|---|---|---|
| 勤怠 | 遅刻、早退、当日欠勤の増加 | 定期面談、業務量確認 |
| 疲労 | 睡眠不足、集中力低下、体調不良 | 疲労アンケート、セルフケア研修 |
| 相談行動 | 相談できる相手がいるか | 相談窓口案内、管理職への声かけ研修 |
| 職場環境 | 業務集中、孤立、休憩の取りにくさ | 業務配分見直し、職場改善 |
| 復職・休職対応 | 休職前後の情報共有と支援 | 産業保健スタッフ連携、復職支援手順 |
欠勤や休職は、発生してから対応するだけではなく、予防と早期支援の流れを作ることで、健康経営の取り組みとして機能しやすくなります。
社員の欠勤が増える前に、相談しやすい支援体制を整えましょう
社員の欠勤や休職は、本人の体調だけでなく、職場全体に影響します。だからこそ、欠勤が増えてから対応するのではなく、小さな変化を早めに見つけ、相談しやすい体制を整えておくことが重要です。
人事総務・健康経営担当者は、ストレスチェック、管理職の声かけ、産業保健スタッフとの連携、職場環境の見直しをつなげて考える必要があります。
社員が安心して働き続けられるように、欠勤や休職の前段階から支援できる仕組みを作っていきましょう。
社員の欠勤や休職予防の支援体制を整えたい人事総務・健康経営担当者の方へ
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