デスクワーカーのストレス反応研究|運動強度と心拍変動

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運動強度とストレス反応|デスクワーカーの健康支援

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運動強度とストレス反応|デスクワーカーの健康支援

長時間座って働くデスクワーカーでは、運動不足が続きやすく、心身のストレス反応にも個人差が出ます。けれども、職場で運動を取り入れるときに注意したいのは、同じ運動でも社員によって心拍数やストレス指標の変化が異なることです。

このストレス科学ラボ・用語バンクカテゴリーでは、デスクワーカーを対象にした予備的研究から、運動強度、心拍数、心拍変動、顕在性不安の関係を見ていきます。同じストレス管理でも、本記事は一般的な運動不足対策ではなく、運動強度を変えたときの生理的ストレス反応に注目します。人事総務・健康経営担当者が、社員みんなに同じ方法をすすめるのではなく、その人の体調や反応に合わせて支援を考えるヒントにしてください。

デスクワーカーの運動習慣とストレス反応を確認する様子

デスクワーカーの健康支援では、運動強度、心拍数、ストレス反応の違いを見ながら、無理なく続けられる職場対策を考えることが大切です

デスクワーカーの運動不足を一律に考えない

職場のストレス対策では、「運動を増やしましょう」と言われることがよくあります。確かに、体を動かすことは気分転換になり、長時間座位による体のこわばりを減らす助けになります。

しかし、運動不足の社員にとっては、軽い運動でも負担に感じることがあります。普段から体を動かしている社員と、ほとんど運動習慣がない社員では、同じ運動をしても心拍数の上がり方や疲れ方が違います。

人事総務・健康経営担当者が注意したいのは、「短時間の運動だから全員に安全で負担が少ない」と決めつけないことです。職場で運動施策を入れるときは、運動強度、社員の体力差、ストレス状態を合わせて見る必要があります。

本研究で確認したこと

本研究は、デスクワーカーを対象に、運動強度と心拍数、心拍変動、ストレス反応の関係を見た予備的研究です。ウェアラブルデバイスを用いて、運動中の心拍数と生理的な反応を測定しました。

対象は20歳から50歳のデスクワーカー10名です。運動習慣の有無によって参加者を分け、運動強度が変わったときに心拍数やストレス指標がどのように変化するかを確認しました。

運動習慣ありの基準は、1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続していることとしました。心理的ストレスの確認には顕在性不安に関する検査を用い、生理的な反応は心拍数や心拍変動を中心に見ています。

ただし、対象者数は10名と少ないため、この結果だけでデスクワーカー全体に当てはめることはできません。本記事では、断定ではなく、職場の健康支援を考えるための予備的な示唆として読みます。

運動強度が上がると心拍数は上がりやすい

本研究データでは、運動強度が上がるにつれて、心拍数も上がる傾向が見られました。安静に近い低い強度では心拍数の変化が小さく、運動強度が高くなるにつれて、心拍数が上がりやすくなっていました。

これは自然な反応です。体を動かすと、筋肉に酸素を届けるために心臓の働きが高まり、心拍数が上がります。問題は、どの程度の運動を「ちょうどよい」と感じるかが、人によって違うことです。

職場で短時間の運動を入れる場合でも、運動が苦手な社員や疲労が強い社員には、同じ動きが負担になることがあります。健康支援では、強度を上げることよりも、無理なく継続できる強さを選ぶことが重要です。

運動は一時的にストレス反応を上げることがある

運動はストレス軽減に役立つと考えられていますが、運動中には一時的に心拍数やストレス指標が上がることがあります。これは、体が活動状態に入るために起こる反応です。

そのため、「運動中に心拍数が上がったから悪い」とは言えません。大切なのは、運動後に体が落ち着いていくか、本人が強い負担感を残していないかを見ることです。

人事総務担当者が職場施策として運動を取り入れる場合は、運動後の社員の反応を確認する必要があります。「すっきりした」「体が軽くなった」という声がある一方で、「きつかった」「参加しづらい」と感じる社員がいないかも見るべきです。

運動習慣がある社員とない社員では反応が違う

本研究では、運動習慣がある参加者と、運動習慣がない参加者で、ストレス反応の出方に違いが見られました。運動習慣がある人は、運動中に心拍数が上がっても、ストレス指標が比較的安定している傾向がありました。

一方で、運動習慣がない人では、ストレス指標のばらつきが大きくなる傾向が見られました。これは、ふだん体を動かす機会が少ない人ほど、同じ運動でも緊張や負担として受け止めやすい可能性を示しています。

職場の健康支援では、運動習慣のある人を基準にプログラムを作らないことが大切です。日ごろ運動していない社員が安心して参加できる強度、時間、動きから始める必要があります。

顕在性不安が高い社員への配慮

本研究では、顕在性不安が高い参加者で、心拍数やストレス指標が高く出る傾向も見られました。ただし、不安が高い人すべてが同じ反応を示すわけではありません。

不安の感じやすさ、疲労、睡眠状態、職場での緊張、運動への苦手意識などが重なることで、運動中の反応は変わります。特に、集団で行う運動では、「うまくできない」「周囲に見られるのが恥ずかしい」と感じる社員もいます。

そのため、職場で運動施策を行うときは、参加を強制しないこと、できる範囲でよいと伝えること、強い動きよりも安心して取り組める内容にすることが重要です。

研究結果から見える実務上の注意点

デスクワーカー向けの運動施策では、運動の有効性だけでなく、負担の出方にも注意が必要です。特に、長時間座位が多い職場では、社員の体力差や運動経験の差が大きくなりやすくなります。

研究で見えたこと 職場の健康支援での見方
運動強度が上がると心拍数も上がりやすい 運動の強さを一律にせず、低い強度から始める
運動中にストレス指標が上がることがある 運動中だけでなく、運動後の回復感も確認する
運動習慣の有無で反応が変わる 運動が苦手な社員も参加しやすい内容にする
不安の感じやすさが反応に関わる可能性がある 参加を強制せず、安心して取り組める雰囲気を作る
対象者数が少ない予備的研究である 断定ではなく、職場施策を設計する仮説として使う

運動施策は、強くすればよいものではありません。社員が仕事中に取り入れやすく、終わった後に負担感が残りにくい内容にすることが、継続につながります。

ウェアラブルデバイスの数値だけで判断しない

心拍数や心拍変動は、社員の体の反応を知る手がかりになります。ウェアラブルデバイスを使えば、運動中や運動後の変化を見やすくなります。

ただし、数値だけで社員のストレス状態を判断することは危険です。心拍数は、運動だけでなく、緊張、睡眠不足、疲労、カフェイン、気温、体調などにも影響を受けます。

健康経営でウェアラブルデータを使う場合は、数値を人事評価や個人の良し悪しの判断に使わないことが前提です。本人の体調確認や、職場施策の見直しに使う範囲を明確にしておく必要があります。

タニカワ久美子の企業研修で伝えていること

タニカワ久美子の企業研修では、デスクワーカーの運動不足を「もっと運動してください」という指導だけで終わらせません。研修現場では、軽い動きでも心拍が上がりやすい社員さんや、運動そのものに不安を感じる社員さんを見てきました。

そのため、研修では強い運動を求めるのではなく、座ったままでできる動き、立ち上がって数分でできる動き、会議前に取り入れやすい動きを中心にしています。人事総務の担当者からも、座学だけではなく、全員で実際にできる軽い運動がある点を評価されています。

職場のストレス管理では、社員に努力を求めるだけでは続きません。仕事の流れの中に、無理なく体を動かす時間を組み込むことが必要です。

人事総務担当者が確認したい運動施策の設計ポイント

デスクワーカー向けに運動不足対策を行う場合は、次の点を確認しておくと、社員に受け入れられやすくなります。

  • 運動習慣がない社員でも参加しやすい強度か
  • 短時間で終わり、業務を圧迫しない内容か
  • 息が上がりすぎない動きになっているか
  • 座ったままでもできる動きが含まれているか
  • 参加を強制しているように見えないか
  • 実施後に疲労感や不安感の声を拾えるか
  • 管理職も一緒に参加しやすい雰囲気があるか

健康経営では、施策を実施したことよりも、社員が続けられることが重要です。運動不足対策も、強い運動を増やすより、働く時間の中で自然に体を動かせる仕組みにする方が、職場に定着しやすくなります。

デスクワーカーのストレス対策は運動強度の調整が重要

デスクワーカーの健康支援では、長時間座位による運動不足を見直すことが大切です。ただし、運動を入れればそれだけでよいわけではありません。運動強度が合っていないと、社員によっては負担感が強くなることがあります。

今回の予備的研究では、運動強度が上がると心拍数が上がりやすく、ストレス指標にも変化が出る可能性が示されました。また、運動習慣や不安の感じやすさによって、反応の出方が違うことも見えてきました。

人事総務・健康経営担当者は、運動不足対策を一律に進めるのではなく、低い強度から始め、社員の反応を見ながら調整する必要があります。デスクワーカーのストレス管理では、強い運動よりも、無理なく続けられる身体活動を職場の中に入れることが現実的です。

デスクワーカーの運動不足やストレス反応を、職場の健康支援として見直したい企業様へ。
けんこう総研では、ストレス管理・身体活動・長時間着座対策を組み合わせた企業向け研修を行っています。

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