デスクワーカーの健康支援
デスクワーカーの呼吸法|仕事中の緊張を整えるストレス対策
デスクワークが続くと、画面を見続ける時間が長くなり、気づかないうちに呼吸が浅くなることがあります。WEB会議、資料作成、締め切り前の作業が重なると、肩に力が入り、息を止めるように仕事をしている社員さんも少なくありません。
このデスクワーカーの健康支援カテゴリーでは、仕事中にできる呼吸法を使って、緊張した体を一度ゆるめる方法を見ていきます。同じストレス対策でも、本記事は本格的な運動ではなく、席に座ったままでも取り入れやすい呼吸の整え方を紹介します。人事総務・健康経営担当者が、社員に無理なくすすめやすい職場のセルフケアとして参考にしてください。

デスクワーク中のストレス対策では、短い時間でも呼吸を整えるきっかけを作ることが大切です
デスクワーク中は呼吸が浅くなりやすい
デスクワークでは、長時間同じ姿勢で画面を見続けることが多くなります。集中しているときほど、肩や首に力が入り、胸の動きが小さくなります。その結果、呼吸が浅くなり、体が緊張したままになりやすくなります。
特に、WEB会議が続く日や、細かい資料作成が続く日は、体を動かす時間が少なくなります。座っているだけに見えても、目、肩、首、背中には負担がかかっています。
呼吸が浅い状態が続くと、疲れやすさ、集中しにくさ、気分の重さにつながることがあります。すぐに大きな不調として現れなくても、「なんとなく疲れが抜けない」「午後になると集中できない」という形で出ることがあります。
ストレスを感じると体は緊張しやすくなる
仕事中に緊張や不安を感じると、体はすぐに反応します。心拍数が上がる、肩に力が入る、呼吸が速くなる、手足が冷えやすくなるなど、体ががんばる状態に入りやすくなります。
この反応そのものは悪いものではありません。締め切りに向かって集中したり、会議で発言したりするときには、ある程度の緊張が必要です。
問題は、その緊張が長く続くことです。仕事が終わっても体の力が抜けない、休憩しても頭が切り替わらない、夜になっても肩がこわばっている。このような状態が続くと、疲労がたまりやすくなります。
呼吸法は仕事中に使いやすいセルフケア
呼吸法のよい点は、道具がいらず、席に座ったままでも行えることです。大きな運動ができない職場でも、数十秒から数分で取り入れられます。
呼吸を整えるときは、「たくさん吸う」よりも、「ゆっくり吐く」ことを意識します。緊張しているときは、息を吸うことばかりに意識が向き、吐く時間が短くなりやすいからです。
ゆっくり息を吐くことで、肩や胸の力が抜けやすくなります。仕事中に気持ちを無理に切り替えようとするのではなく、まず体の緊張を少しゆるめる。その入り口として、呼吸法は使いやすい方法です。
デスクワーカーにすすめやすい基本の呼吸法
職場で呼吸法を行うときは、難しい方法よりも、誰でもできるシンプルな方法が向いています。息を止める時間が長い呼吸法は、人によっては苦しく感じることがあります。最初は、無理に止めず、吐く時間を少し長めにする方法から始めます。
- 椅子に浅すぎず深すぎず座ります。
- 肩の力を抜き、足の裏を床につけます。
- 鼻から3秒から4秒かけて息を吸います。
- 口から5秒から6秒かけて、ゆっくり息を吐きます。
- これを3回から5回くり返します。
大切なのは、苦しくなるまで行わないことです。めまい、息苦しさ、不快感がある場合はすぐに中止します。職場で行うセルフケアは、気持ちよさや安心感を保てる範囲で行うことが前提です。
WEB会議の前後に呼吸を入れる
WEB会議では、画面を見続ける、発言のタイミングを待つ、相手の反応を読み取るなど、見えにくい緊張が続きます。会議が終わったあとに、どっと疲れを感じる社員さんもいます。
会議の前に30秒だけ呼吸を整えると、肩の力を抜いて参加しやすくなります。会議後に数回ゆっくり息を吐くと、次の作業へ切り替えやすくなります。
人事総務担当者が社内で案内する場合は、「深呼吸しましょう」だけではなく、「WEB会議の前に3回、ゆっくり吐く」と具体的に伝える方が行動につながりやすくなります。
呼吸法を職場で使うときの注意点
呼吸法は取り入れやすい方法ですが、すべての人に同じように合うとは限りません。息を止めることが苦手な人、過去に過呼吸の経験がある人、体調が悪い人にとっては、呼吸に強く意識を向けることが負担になる場合があります。
そのため、職場で呼吸法をすすめるときは、次の点に注意します。
- 無理に息を止めさせない
- 苦しくなったらすぐにやめてよいと伝える
- 全員に同じ秒数を強制しない
- 立ったままではなく、安定した姿勢で行う
- 不安が強い社員には、短い呼吸から始める
- 体調不良がある場合は参加を控えられるようにする
職場のセルフケアでは、「正しくできたか」よりも、「安心して試せるか」が重要です。呼吸法も、社員が自分の体調に合わせて選べる形にする必要があります。
呼吸法だけでストレス対策を終わらせない
呼吸法は、仕事中の緊張をゆるめるきっかけになります。しかし、職場のストレス対策を呼吸法だけで済ませることはできません。
長時間労働、休憩を取りにくい雰囲気、会議の多さ、相談しにくい職場環境がある場合、呼吸法だけでは根本的な負担は減りません。呼吸法は、職場環境を見直す取り組みと合わせて使う必要があります。
人事総務・健康経営担当者は、呼吸法を「社員に我慢してもらうための方法」として扱わないことが大切です。社員が自分の緊張に気づき、早めに休憩を取るための入り口として位置づけます。
タニカワ久美子の企業研修で伝えていること
タニカワ久美子の企業研修では、呼吸法を「落ち着きましょう」という精神論では扱いません。研修現場では、WEB会議が続いたあとに肩が上がったままの社員さんや、資料作成に集中しすぎて息を止めるように作業している方を多く見てきました。
そのため、研修では、まず自分の呼吸が浅くなっていることに気づくところから始めます。そのうえで、座ったままできる呼吸、肩の力を抜く動き、短いストレッチを組み合わせて行います。
人事総務の担当者からも、座学だけではなく、全員で実際にできる軽い運動がある点を評価されています。呼吸法は、運動が苦手な社員にも取り入れやすいため、職場のストレス対策の入口として使いやすいテーマです。
人事総務担当者が導入前に確認したいこと
職場で呼吸法を取り入れる場合は、実施前に次の点を確認しておくと、社員に受け入れられやすくなります。
| 確認すること | 実務での見方 |
|---|---|
| いつ行うか | 朝礼前、WEB会議前、午後の休憩前など、仕事の流れに入れやすい時間を選ぶ |
| 誰が案内するか | 人事総務だけでなく、管理職も一緒に実施できる形にする |
| どの程度行うか | 長時間ではなく、30秒から数分で終わる内容にする |
| 参加しにくい人への配慮 | 体調が悪い人や苦手な人は無理に参加しなくてよいと伝える |
| 目的の伝え方 | 評価や管理ではなく、仕事中の緊張を一度ゆるめるためと説明する |
呼吸法は、短い時間で始められる一方で、職場の伝え方によって受け止められ方が変わります。「全員で必ずやる」よりも、「忙しい日のリセット方法として使える」と伝える方が、社員は受け入れやすくなります。
デスクワーカーの呼吸法は職場のストレス対策の入口になる
デスクワークやWEB会議が続くと、呼吸が浅くなり、肩や首に力が入りやすくなります。呼吸法は、その緊張に気づき、仕事中に一度体をゆるめるための身近な方法です。
ただし、呼吸法は万能ではありません。長時間座りっぱなしの働き方や、休憩を取りにくい職場環境がある場合は、業務の進め方や休憩の取り方も合わせて見直す必要があります。
人事総務・健康経営担当者が呼吸法を職場に取り入れるときは、社員に努力を求めるのではなく、仕事の流れの中で自然にリセットできる形にすることが大切です。短い呼吸、軽いストレッチ、休憩の声かけを組み合わせることで、デスクワーカーのストレス対策は続けやすくなります。
デスクワーカーのストレス対策やWEB会議疲れを、職場で取り入れやすい形にしたい企業様へ。
けんこう総研では、呼吸法・軽い運動・ストレス管理を組み合わせた企業向け研修を行っています。