メンタルヘルス不調が増える背景|著名人公表から考える職場課題

ストレス・セルフケアを組み合わせた健康経営研修

メンタルヘルス不調が増える背景|著名人公表から考える職場課題

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ストレス管理

メンタルヘルス不調が増える背景|著名人公表から考える職場課題

このストレス管理カテゴリーでは、職場で起こる心身の反応を、社員の不調予防につなげる視点で扱っています。本記事の焦点は、著名人のメンタルヘルス不調を個別に取り上げることではありません。著名人の公表をきっかけに、メンタルヘルス不調が個人の弱さではなく、働き方、職場環境、社会的な変化と関係していることを見ていきます。人事総務・健康経営担当者が、社員の不調を本人任せにせず、職場で早めに支えるための内容です。


パソコン画面を前にメンタルヘルス不調に悩むビジネスパーソン
メンタルヘルス不調は、個人の気持ちだけでなく、働き方や職場環境とも深く関係します。

著名人の公表でメンタルヘルス不調が見えやすくなった

近年、芸能人、スポーツ選手、経営者、専門職など、社会的に注目される人がメンタルヘルス不調を公表する場面を目にすることが増えました。

こうした公表は、本人の個人的な出来事としてだけ見るべきではありません。多くの人が、「あの人でも不調になるのか」「自分だけではないのか」と感じるきっかけになります。

ただし、著名人の事例を並べるだけでは、職場のメンタルヘルス対策にはつながりません。大切なのは、なぜ心身の不調が起こりやすくなっているのかを、働き方や職場環境の視点で見ることです。

メンタルヘルス不調は個人の弱さではない

メンタルヘルス不調は、本人の性格や気合いだけで説明できるものではありません。

仕事量が多い、責任が重い、失敗への不安が強い、相談しにくい、人間関係に緊張がある、評価され続ける環境にいる。このような状況が続くと、誰でも心身に負担がかかります。

とくに、周囲から「強い人」「できる人」「明るい人」と見られている人ほど、不調を言い出しにくいことがあります。著名人の公表は、そうした見えにくい不調を社会全体で考える入口になります。

働く人のストレスは高い水準にある

厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査では、仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスとなっている事柄がある労働者は68.3%とされています。

内容として多いのは、仕事の量、仕事の失敗や責任、仕事の質です。これは、単に人間関係だけでなく、業務量や責任の重さがメンタルヘルス不調に関係していることを示しています。

人事総務・健康経営担当者は、「悩みがある社員だけを支援する」のではなく、仕事量、責任、評価、相談しやすさを含めて職場全体を見る必要があります。

社会の変化がメンタルヘルス不調を見えにくくしている

働き方は大きく変化しています。オンライン会議、チャット対応、在宅勤務、成果へのプレッシャー、少人数での業務運営、顧客対応の複雑化など、職場の負荷は見えにくくなっています。

出勤していれば周囲が気づけた疲労も、在宅勤務や画面越しのやり取りでは見えにくくなります。チャットでは短い返信だけで済むため、本人の表情や声の変化に気づきにくいこともあります。

さらに、仕事と生活の境目があいまいになると、休んでいるつもりでも頭の中では仕事が続いている状態になりやすくなります。

長く働く時代ほど心身の健康管理が重要になる

人生が長くなり、働く期間も長くなっています。その中で、身体の健康だけでなく、心の健康をどう保つかが重要になっています。

健康管理というと、健康診断の数値や生活習慣病対策を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、職場では、睡眠不足、疲労、ストレス、孤立感、やりがいの低下も重要な健康課題です。

メンタルヘルス不調は、休職や退職の問題として表面化する前から、集中力の低下、ミスの増加、会話の減少、遅刻、疲労感として現れていることがあります。

健康経営で見るべきメンタルヘルス課題

健康経営では、社員の健康を経営上の重要な課題として考えます。メンタルヘルス対策も、福利厚生の一部ではなく、職場の生産性、離職防止、組織の信頼に関わる課題です。

メンタルヘルス不調が増える背景には、個人の悩みだけでなく、次のような職場要因があります。

  • 業務量が特定の社員に偏っている
  • 責任だけが重く、相談できる場が少ない
  • 上司が部下の疲労サインに気づきにくい
  • 休憩や休暇を取りにくい空気がある
  • ストレスチェック後の対応が形だけになっている
  • 不調を言うと評価が下がるのではないかという不安がある
  • 職場で雑談や小さな声かけが減っている

こうした要因を見直さずに、社員本人だけにセルフケアを求めても、メンタルヘルス対策は十分に機能しません。

著名人の公表を職場の学びに変える

著名人のメンタルヘルス不調の公表は、話題として消費するものではありません。職場で考えるべきなのは、「なぜ不調を言い出しにくかったのか」「どの段階で支援できたのか」「自社では同じことが起きていないか」です。

たとえば、責任感が強い社員、周囲から頼られている社員、いつも明るく振る舞う社員、成果を出し続けている社員ほど、不調を隠しやすいことがあります。

人事総務・健康経営担当者は、「元気そうに見えるから大丈夫」と判断しないことが大切です。表情、睡眠、疲労、ミス、会話量、休憩の取り方など、日常の変化を合わせて見る必要があります。

企業研修で見える「元気そうに見えるのに限界が近い社員」

タニカワ久美子の企業研修では、メンタルヘルス不調をテーマにすると、管理職の方から「元気そうに見えた社員が、急に休職になりました」という相談を受けることがあります。

研修で話を聞くと、その社員さんは、周囲から頼られ、仕事も早く、会議でも明るく発言していたそうです。しかし、実際には残業が続き、相談する時間がなく、家に帰っても仕事のことが頭から離れない状態でした。本人は「自分が止まると周りに迷惑をかける」と考え、疲れていることを言い出せませんでした。

このときタニカワ久美子が伝えるのは、「もっと早く相談しましょう」だけではありません。相談できない社員には、相談できない理由があります。責任感、評価への不安、周囲への遠慮、管理職の忙しさ、職場の空気が重なると、不調は見えにくくなります。

人事総務・健康経営担当者にとっても、この視点は重要です。著名人の公表を見て「特別な人の話」と受け止めるのではなく、自社にも「元気そうに見えるけれど限界が近い社員」がいないかを見ることが、メンタルヘルス対策の第一歩になります。

早期発見で見るべきサイン

メンタルヘルス不調は、突然始まるように見えても、その前に小さなサインが出ていることがあります。

  • 朝から疲れている様子が増える
  • 会議での発言が減る
  • 返信が遅くなる
  • ミスや確認漏れが増える
  • 昼休みを取らずに働き続ける
  • 表情が硬くなる
  • 雑談が減る
  • 以前より怒りっぽい、または涙もろくなる
  • 休みの日も仕事の連絡を気にしている

これらは、本人のやる気が落ちたというより、心身の回復が追いついていないサインかもしれません。

人事総務が確認しやすい声かけ

社員の様子が気になるとき、「メンタルは大丈夫ですか」と聞くと、本人は答えにくい場合があります。日常の状態を確認する言葉の方が話しやすくなります。

  • 最近、朝から疲れが残っていませんか
  • 眠れている感じはありますか
  • 仕事の量が続きすぎていませんか
  • 一人で抱えている仕事はありませんか
  • 休憩は取れていますか
  • 相談しにくいことがあれば、状況だけでも聞かせてください
  • 優先順位を一緒に整理しましょうか

このような声かけは、社員を評価するためではありません。不調が大きくなる前に、仕事量、睡眠、疲労、相談しやすさを確認するための入口です。

職場でできるメンタルヘルス対策

職場のメンタルヘルス対策では、個人のセルフケアと職場側の支援を組み合わせる必要があります。

  • ストレスチェック結果を職場改善に活かす
  • 管理職に部下の不調サインを学ぶ研修を行う
  • 相談窓口の使い方をわかりやすく伝える
  • 残業や業務量の偏りを確認する
  • 休憩や休暇を取りやすい空気をつくる
  • 不調を本人の弱さや努力不足にしない
  • 産業医、保健師、外部相談窓口につながる流れを明確にする

制度を用意しているだけでは、社員は相談しません。相談してもよい目安、秘密が守られる範囲、相談後の流れが見えていることが重要です。

プレゼンティーズムにも注意する

メンタルヘルス不調は、欠勤や休職として表れる前に、プレゼンティーズムとして表れることがあります。

プレゼンティーズムとは、出勤はしているものの、心身の不調によって本来の力を発揮できない状態です。

職場では、出勤しているかどうかだけを見るのでは不十分です。出勤していても、集中できない、判断が遅い、会話が減る、ミスが増える、疲労感が強い場合は、早めに状態を確認する必要があります。

健康経営ではメンタルヘルスを経営課題として扱う

メンタルヘルス対策は、人事担当者だけの仕事ではありません。経営、管理職、現場、人事総務、産業保健スタッフが連携して進める課題です。

社員が不調を抱えたまま働き続けると、本人の健康だけでなく、職場の生産性、ミス、離職、チームの信頼にも影響します。

だからこそ、健康経営では、メンタルヘルス不調を個人の問題として閉じ込めず、職場全体で早めに支える仕組みを整える必要があります。

著名人の公表をきっかけに、自社の職場を見直す

著名人のメンタルヘルス不調の公表は、社会に大きな影響を与えます。しかし、そこで終わらせてはいけません。

人事総務・健康経営担当者にとって大切なのは、「自社の社員は本当に相談できているか」「元気そうに見える社員の疲労を見落としていないか」「ストレスチェック後の支援が機能しているか」を確認することです。

メンタルヘルス不調は、特別な人だけに起こるものではありません。責任感があり、まじめで、周囲から頼られている社員にも起こります。

社員の不調を本人任せにせず、職場全体で早めに支えるメンタルヘルス対策を整えたい場合は、ストレスマネジメント研修をご確認ください。

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