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ストレス研究memo

4つの運動モードにおけるストレス軽減と気分向上/研究Vol.104

2024年7月23日更新

いつもけんこう総研のブログをご覧いただきありがとうございます。今回のタニカワ久美子のストレス研究 Vol.104では、タニカワが注目している最近の研究をご紹介します。

日々の生活の中でストレスを感じることは誰にでもありますが、そのストレスをどのように軽減し、より良い気分で毎日を過ごすかが重要です。
今回ご紹介する研究は、BergerとOwenによる1988年の研究「4つの運動モードにおけるストレス軽減と気分向上」です。この研究では、スイミング、ボディコンディショニング、ハタヨガ、フェンシングといった異なる運動形式がストレス軽減と気分向上にどのように影響を与えるかを検討しています。詳細な分析とともに、皆さんの日常生活に取り入れやすい運動のヒントもお伝えします。それでは、さっそく内容に入っていきましょう。

論文概要と目的

論文題目: Stress Reduction and Mood Enhancement in Four Exercise Modes: Swimming, Body Conditioning, Hatha Yoga, and Fencing
著者: Berger, B. G., & Owen, D. R. (1988)
掲載誌: Research Quarterly for Exercise and Sport, 59(2), 148–159
この研究の詳細を知りたい場合は、上記の論文題目からアクセスしてください。
この研究は、異なる運動形式(スイミング、ボディコンディショニング、ハタヨガ、フェンシング)がストレスの軽減および気分の向上に及ぼす影響を比較検討することを目的としています。

若い男性がビル街でストレッチ

運動習慣のある人にとって異なる運動形式でもストレスの軽減と気分の向上は認められました

参加者

調査対象者は成人男女で、各運動形式において少なくとも6ヶ月以上の経験があることが条件とされました。

測定方法

心理的ストレスおよび気分の変化は、運動前後における自己報告形式のアンケートを用いて測定されました。使用された尺度には、「Profile of Mood States (POMS)」と「Spielberger’s State-Trait Anxiety Inventory (STAI)」が含まれます。

Profile of Mood States (POMS)とは

Profile of Mood States (POMS)は、心理的な状態や気分を評価するための心理測定ツールです。

主に6つの気分状態を測定します。
1. 緊張・不安(Tension-Anxiety)
2. 抑うつ・落ち込み(Depression-Dejection)
3. 怒り・敵意(Anger-Hostility)
4. 活力(Vigor-Activity)
5. 疲労(Fatigue)
6. 混乱(Confusion-Bewilderment)
被験者は、各項目について自分の状態を評価し、それをもとに総合的な気分プロフィールを作成します。これにより、特定の状況や介入が心理的な状態に与える影響を評価できます。

Spielberger’s State-Trait Anxiety Inventoryとは (STAI)

不安のレベルを評価するための心理測定ツールです。

心理測定は2つの側面から不安を測定します:
1. 状態不安(State Anxiety): 一時的な不安感やストレス反応を測定し、特定の瞬間に感じる不安の程度を評価します。
2. 特性不安(Trait Anxiety): 長期的な性格特性としての不安傾向を測定し、一般的にどれだけ不安を感じやすいかを評価します。
STAIは、個人の不安レベルを診断し、治療や介入の効果を評価するために広く使用されています。

運動の種類

1. スイミング: 定期的にプールでの水泳トレーニングを行う。
2. ボディコンディショニング: 筋力トレーニングや有酸素運動を組み合わせたエクササイズ。
3. ハタヨ*: 伝統的なヨガのポーズや呼吸法を中心としたトレーニング。
4. フェンシング: 剣術を基礎としたスポーツ。

結果

ストレスの軽減
全ての運動形式において、運動後に有意なストレス軽減が認められました。特に、ハタヨガとスイミングは、ストレス軽減効果が最も顕著であることが示されました。

気分の向上
運動後の気分の向上も全ての運動形式で確認されましたが、特にハタヨガとスイミングが最も効果的であることがわかりました。これらの運動は、POMSのスコアにおいて、緊張、不安、抑うつ、疲労の各スケールで顕著な改善が見られました。

考察

運動の種類と心理的効果
1. ハタヨガ: 呼吸法と瞑想が組み合わされており、心身のリラクゼーション効果が高いと考えられます。また、柔軟性やバランスの向上が心理的安定感に寄与している可能性があります。
2. スイミング: 水中での浮力が関節や筋肉への負担を軽減し、心肺機能を強化するため、全身のリラクゼーションに効果的です。リズミカルな動作と呼吸の調和が心理的な安定感をもたらします。
3. ボディコンディショニング: 筋力トレーニングや有酸素運動が身体のエネルギー消費を促進し、エンドルフィンの分泌を助けることで、ストレス軽減および気分の向上に寄与します。
4. フェンシング: 戦略的思考と瞬発力が要求されるスポーツであり、集中力を高める効果があると考えられます。競技中のアドレナリンの分泌がストレス解消に役立つことが示唆されます。

実用的な応用

本研究の結果は、企業や学校、医療施設において、メンタルヘルス向上のための運動プログラムを設計する際の指針となる可能性があります。特に、ハタヨガやスイミングが心理的ストレス軽減に最も効果的であることから、これらの運動を取り入れたプログラムが推奨されます。

今後の研究の方向性

さらなる研究が必要であり、特に以下の点に焦点を当てることが重要です。
1.長期間にわたる運動の継続がストレス軽減および気分の向上に及ぼす影響
2.運動の頻度や強度が心理的効果に与える影響
3.異なる年齢層や健康状態の被験者に対する運動の効果

結論

この研究は、異なる運動形式がストレス軽減および気分の向上に対して顕著な効果を持つことを示しています。特に、ハタヨガとスイミングが最も効果的であり、心理的な健康増進のための運動プログラムにおいて重要な役割を果たす可能性があります。この知見は、企業のストレスマネジメントや健康経営の推進に貢献することが期待されます。

この研究は、異なる運動形式(スイミング、ボディコンディショニング、ハタヨガ、フェンシング)がストレスの軽減と気分の向上に及ぼす影響を比較検討しています。研究の結果、全ての運動形式において有意なストレス軽減と気分の向上が確認されましたが、特にハタヨガとスイミングが最も効果的であることが示されました。

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