ストレス・セルフケアを組み合わせた健康経営研修

職場ストレス評価を職場改善へつなげる|負荷・支援・回復の見立て

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ユーストレス(良性ストレス)

職場ストレス評価を職場改善へつなげる|負荷・支援・回復の見立て

職場ストレスを評価するとき、「快ストレスか、不快ストレスか」に分けるだけで止まってしまうことはありませんか。

たしかに、同じ負荷でも、社員の成長や集中につながる場合もあれば、疲労や不調につながる場合もあります。

けれども、人事総務・健康経営担当者が職場で知りたいのは、分類名だけではないはずです。

この負荷は、今のまま支えてよいのか。業務量を調整した方がよいのか。管理職面談につなげるのか。ストレスチェック後の職場改善に戻すのか。

職場ストレス評価で大切なのは、社員を分類することではありません。

本人の受け止め方、疲労サイン、裁量、支援、回復状況を合わせて見て、次の支援判断へつなげることです。

このページでは、快ストレス・不快ストレスの用語説明ではなく、職場ストレス評価を面談・業務調整・管理職研修へ戻す見立てを整理します。


職場ストレス評価を負荷・支援・回復から見立てるイメージ
職場ストレス評価は、分類で終えるのではなく、支援・調整・回復へつなげるために行います。

職場ストレス評価は、分類ではなく次の支援を決めるために行います

職場のストレス対策では、ストレスをすべて悪いものとして扱いやすくなります。

一方で、職場からすべての負荷をなくすことはできません。

新しい仕事を任される、期限までに資料を仕上げる、管理職になる、顧客対応をする、チームで成果を出す。こうした場面には、少なからず緊張や負荷があります。

その負荷が、本人にとって扱える範囲であり、相談先や回復時間があれば、集中や達成感につながることがあります。

反対に、負荷が大きすぎる、相談できない、休めない、終わりが見えない状態では、同じ負荷が心身を消耗させます。

ここで人事総務が見たいのは、「よいストレスか、悪いストレスか」という名前ではありません。

その負荷を支えるのか、減らすのか、止めるのか、別の支援につなげるのかです。

評価で見えた状態 分類で終えると起きやすいこと 職場で戻したい支援判断
負荷はあるが、相談先と回復時間がある 快ストレスとして片づける 挑戦を支えながら、疲労サインを継続して見る
本人は前向きだが、睡眠不足や疲労が続いている 本人が大丈夫なら問題ないと判断する 業務量、期限、休息、フォローを見直す
負荷が高く、裁量や相談先がない 不快ストレスとして記録だけする 役割、優先順位、相談体制を調整する
ミス、相談減少、表情変化が出ている 個人の注意不足として扱う 管理職面談、産業保健職相談、業務調整につなげる

職場ストレス評価の目的は、社員にさらに頑張らせることではありません。

活かせる負荷は支え、健康を損なう負荷は早めに調整するための見立てです。

本人の「大丈夫です」だけでは評価しきれないことがあります

職場ストレス評価で迷いやすいのは、本人の言葉と実際の状態がずれて見える場面です。

本人は「大丈夫です」と言います。

管理職から見ると、前向きに取り組んでいるように見えます。

人事総務から見ても、すぐには大きな問題が見えないことがあります。

けれども、睡眠不足が続いている、休日でも疲労が抜けない、確認漏れが増えている、相談が減っている場合は、職場ストレスが疲労側へ傾いている可能性があります。

評価で見たいのは、本人の発言だけではありません。

本人の受け止め方、身体と行動のサイン、職場条件、回復状況を合わせて見ます。

評価視点 見るもの 職場での使い方
本人の受け止め方 挑戦と感じているか、脅威と感じているか 面談や研修内の振り返りで確認する
身体と行動のサイン 睡眠、疲労、食欲、ミス、表情、相談減少 不調の早期サインとして見る
職場条件 業務量、裁量、支援、役割の明確さ 個人の問題ではなく職場改善へ戻す
回復状況 休息、睡眠、休日後の疲労感、緊張の持続 負荷が積み上がっていないかを見る

この4つを合わせると、本人が前向きに見えている場面でも、支援を増やすべきか、業務量を調整するべきか、管理職面談へ戻すべきかが見えやすくなります。

本人の受け止め方は、面談で具体的に聞きます

職場ストレス評価では、本人がその負荷をどう受け止めているかを丁寧に見ます。

同じ仕事量でも、ある社員には成長の機会として受け止められ、別の社員には強い脅威として受け止められることがあります。

ただし、「ストレスがありますか」と聞くだけでは、答えにくいことがあります。

本人が責任感の強い社員ほど、「あります」と言いにくくなります。

面談では、ストレスの有無よりも、仕事の見通し、相談先、回復、達成後の意味に分けて聞く方が、職場改善へ戻しやすくなります。

聞きたいこと 支えながら進めやすい状態 調整を考えたい状態
課題の受け止め方 難しいが、成長につながると感じている 無理だ、失敗したら終わりだと感じている
見通し 何をすればよいか分かっている 何から始めればよいか分からない
相談先 困ったら相談できる人がいる 誰に相談してよいか分からない
達成後の意味 終われば学びや自信につながる 終わってもまた次の負荷が来るだけと感じる
回復 退勤後や休日に気持ちを切り替えられている 仕事のことが頭から離れない

本人の受け止め方を見ることで、同じ負荷でも、支援を入れるのか、業務量を調整するのか、目標の伝え方を変えるのかが考えやすくなります。

身体と行動のサインは、評価の補助線になります

ストレスは、気持ちだけでなく、身体や行動にも表れます。

緊張、睡眠、疲労、胃腸の不調、食欲の変化、ミスの増加、相談の減少などは、職場で見えやすいサインです。

ただし、身体反応だけで、成長につながる負荷なのか、疲労につながる負荷なのかを完全に分けることはできません。

大事な発表前に緊張すること自体は、必ずしも悪いことではありません。

見たいのは、その緊張が終わった後に回復できているかどうかです。

サイン 一時的なら様子を見やすい状態 調整を考えたい状態
緊張 発表前や重要場面で一時的に高まる 業務後も緊張が抜けない
睡眠 一時的に寝つきにくい日がある 不眠が続き、日中の集中力が落ちる
疲労 休めば戻る 休日でも回復しない
食欲・胃腸 一時的に変動する 食欲低下、過食、胃腸不調が続く
行動 重要場面の前に確認が増える ミス、先延ばし、報告遅れが増える
相談 困った時に早めに相談できる 相談や雑談が減っている

職場で扱う場合は、医療的な診断ではなく、疲労や回復のサインとして見ます。

本人の主観だけでは見えにくいストレスの積み上がりを、行動や体調の変化から補助的に確認します。

職場条件を見ない評価は、個人の問題に戻りやすくなります

職場ストレスを評価するときは、個人の性格や感じ方だけで判断しないことです。

同じ負荷でも、職場に裁量、支援、役割の明確さ、回復の機会があるかどうかで、ストレスの意味は変わります。

たとえば、新しいプロジェクトを任されることは、本人にとって成長機会になる場合があります。

しかし、権限がない、相談先がない、納期が非現実的、失敗だけが責められる環境では、同じプロジェクトでも疲労や不安につながります。

職場条件 見たい問い 調整の方向性
業務量 仕事量や責任は過重になっていないか 優先順位、納期、業務量を調整する
裁量 本人が工夫できる余地はあるか 進め方や判断範囲を明確にする
支援 上司・同僚・専門職に相談できるか 相談先、面談、チーム支援を整える
役割 何を期待されているか明確か 役割、完了基準、責任範囲を明確にする
回復 負荷の後に休息や振り返りがあるか 休憩、勤務設計、フォローアップを入れる

この視点があると、ストレス管理は個人のセルフケアだけでは終わりません。

業務量を下げる場面、裁量を増やす場面、相談先を整える場面、回復時間を確保する場面が見えやすくなります。

評価後に、どの対応へ戻すかを決めます

職場ストレス評価は、確認して終わりではありません。

評価結果は、社員本人の適性判定ではなく、職場側が何を支援するかを決める材料として使います。

評価で見えた状態 見立て 戻したい対応
負荷はあるが、見通し・裁量・支援・回復がある 支えながら挑戦を続けられる可能性がある 振り返りと休息を確保する
本人は前向きだが、疲労や睡眠不足が続いている 疲労側へ傾いている可能性がある 業務量、休息、期限、フォローを見直す
負荷が高く、相談先や裁量がない 不調につながりやすい 支援体制、役割、優先順位を整える
ミス、欠勤、相談減少、表情変化が出ている 早めに拾いたいサイン 面談、産業保健職への相談、業務調整につなげる
部署全体で休憩・相談が減っている 個人ではなく職場要因が強い可能性がある ストレスチェック後の職場改善に戻す

評価の目的は、ストレスを美化することではありません。

活かせる負荷は支え、健康を損なう負荷は早く見つけて調整することです。

管理職面談では、分類名よりも次の行動に戻します

管理職面談で「これは快ストレスですか、不快ストレスですか」と聞いても、現場の行動にはつながりにくいことがあります。

面談で扱いたいのは、分類名ではなく、仕事量、期限、相談先、回復時間です。

止まりやすい聞き方 社員が答えにくい理由 行動につながる聞き方
ストレスはありますか 「あります」と言いにくい 今の業務で、一番残っているものは何ですか
大丈夫ですか 「大丈夫です」で終わりやすい 今週中に減らせる仕事はありますか
前向きに取り組めていますか 本音より模範回答になりやすい 進め方で迷っている点はどこですか
相談できていますか できていない理由を言いにくい 誰に、何を相談できると進めやすくなりますか
休めていますか 休めない職場要因が見えにくい 退勤後も仕事が頭に残る日はありますか

評価を面談へ戻すと、社員の気持ちだけでなく、業務量や支援条件まで話しやすくなります。

専門職でも迷うポイント

職場ストレス評価は、専門職でも判断に迷う場面があります。

特に迷いやすいのは、本人が前向きに見えるときです。

「大丈夫です」「やります」「問題ありません」と言える社員ほど、表面上は安心に見えます。

けれども、睡眠不足、休日でも抜けない疲労、確認漏れ、相談減少が出ている場合、その負荷は支援を入れた方がよい状態かもしれません。

専門職でも迷うのは、本人の受け止め方と身体・行動のサインが一致しないことがあるからです。

そのため、本人の発言だけではなく、職場条件、疲労、回復状況を合わせて見ていきます。

社内で動かしにくい理由

職場ストレス評価を社内で動かすときに難しいのは、人事総務、管理職、社員本人、社内支援者が見ているものが違うことです。

社員本人は、「迷惑をかけたくない」「弱いと思われたくない」と感じて、負荷を隠すことがあります。

管理職は、成果、納期、人員不足を見ながら現場を回しています。

人事総務は、ストレスチェック、研修実施、健康経営施策として見ています。

社内支援者や専門職は、疲労、不眠、不安、休職リスクを見ています。

それぞれの見方は、どれも間違いではありません。

ただ、評価結果をどう使うかがそろっていないと、職場改善に進みにくくなります。

たとえば、本人の「大丈夫です」を管理職がそのまま受け取り、人事総務はストレスチェックの数値だけで判断し、専門職は疲労リスクを感じている。

このようなズレがあると、面談や業務調整へつながるまでに時間がかかります。

職場ストレス評価を共通言語にしておくと、研修後の行動確認や職場改善につなげやすくなります。

Le Fevre, Matheny, Koltの研究は、評価の入口として使います

Le Fevre, Matheny, Koltによる2003年の研究は、職業ストレス研究において、ユーストレスとディストレスの考え方を扱った論文です。

この研究では、ストレスが職場で常に悪いものとして扱われやすいこと、そしてユーストレスの考え方が職業ストレス研究で十分に活用されてこなかったことが指摘されています。

本来、ある程度の負荷は、集中、学習、成長、達成感につながる場合があります。

一方で、ユーストレスを強調しすぎると、過重労働や慢性疲労を正当化する危うさもあります。

そのため、職場では、負荷、裁量、支援、回復、本人の受け止め方を合わせて評価します。

研究の知見は、社員を分類するためではなく、職場でどの支援へ戻すかを考える入口として使います。

タニカワ久美子の企業研修ではどう扱うか

タニカワ久美子の企業研修では、快ストレスと不快ストレスを「良いストレス」「悪いストレス」という単純な二分法では扱いません。

同じ負荷でも、本人の受け止め方、裁量、支援、回復できる状態によって、成長につながる場合も、不調につながる場合もあることを、職場の場面に置き換えて伝えています。

研修現場では、本人が「大丈夫です」と言っていても、睡眠不足、休日でも抜けない疲労、ミスの増加、相談の減少が出ているケースがあります。

管理職からは、「前向きに見えていたので、負担になっているとは思わなかった」「期待して任せていたが、相談先を決めていなかった」という反応が出ることがあります。

一方で社員側からは、「相談してよいと言われても、仕事量が変わらないなら言いにくい」「大丈夫ですと言うしかなかった」という声が出ることがあります。

ここに、職場ストレス評価を研修で扱う意味があります。

社員本人には、自分のストレスを感情だけでなく、睡眠、疲労、集中力、行動の変化から確認する視点を伝えます。

管理職には、部下が前向きに見えていても、疲労や回復不足がないか、相談できる状態か、業務量が過重になっていないかを確認する視点を扱います。

この段階で見立てをそろえられると、ストレスチェック後の職場改善、管理職面談、社員研修につなげやすくなります。

職場研修で扱いたい内容

職場ストレス評価を研修で扱うときは、用語説明だけで終わらせないことです。

社員本人、管理職、人事総務が、同じ負荷をどう見ているかをそろえることが大切になります。

研修で扱う内容 職場で変えたい行動
負荷の受け止め方 本人の「大丈夫です」だけで判断しない
疲労と回復のサイン 睡眠、休日後の疲労、相談減少を見落とさない
職場条件の見立て 業務量、裁量、支援、役割を合わせて見る
管理職面談の聞き方 気持ちだけでなく、仕事量・期限・相談先に戻す
評価後の支援判断 面談、業務調整、職場改善、研修後フォローにつなげる

研修で扱いたいのは、快ストレスと不快ストレスの暗記ではありません。

現場で出ているサインを拾い、次の支援へ戻せる見方です。

ユーストレスの全体像はこちら

本記事で扱った職場ストレス評価は、ユーストレスを職場で安全に使うための見立てです。

ユーストレスの意味、ディストレスとの違い、職場での活用方法を確認したい場合は、ユーストレス(良性ストレス)とは|職場で活かすストレス資源の全体像をご覧ください。

まとめ|職場ストレス評価は、支援へ戻すための見立てです

職場ストレス評価は、社員のストレスを快ストレス・不快ストレスに分類して終えるものではありません。

本人の受け止め方、身体や行動のサイン、職場条件、回復状況を合わせて見ます。

そのうえで、今の負荷を支えるのか、減らすのか、止めるのか、管理職面談や職場改善へ戻すのかを考えます。

評価の目的は、ストレスを美化することではありません。

職場の負荷が成長につながっているのか、疲労や不調につながっているのかを見分け、必要な支援や調整につなげることです。

人事総務・管理職がこの視点を持つことで、ストレスチェック後の職場改善、管理職面談、社員研修、健康経営施策を実務に活かしやすくなります。

職場のストレス管理研修への活用

けんこう総研では、企業・介護施設・教育機関向けに、ユーストレスとディストレスの違い、職場ストレス評価、管理職ラインケア、ストレスチェック後の職場改善を含めたストレスマネジメント研修を行っています。

研修では、ストレスを単に「減らすもの」として扱うのではなく、成長につながる負荷と、健康リスクになる負荷を見分ける視点を、現場の業務特性に合わせて扱います。

職場のストレスを評価し、研修と職場改善につなげたい場合は、ストレスマネジメント研修をご覧ください。

引用・参考文献

  • Le Fevre, M., Matheny, J., & Kolt, G. S. (2003). Eustress, distress, and interpretation in occupational stress. Journal of Managerial Psychology, 18(7), 726–744.
  • Selye, H. (1974). Stress without Distress. J. B. Lippincott.
  • Yerkes, R. M., & Dodson, J. D. (1908). The relation of strength of stimulus to rapidity of habit-formation. Journal of Comparative Neurology and Psychology, 18, 459–482.

文責:タニカワ久美子

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