シニア層(キャリア後期の健康支援)
再雇用社員を活かす健康経営|人材不足時代のシニア支援
人材不足が続く中で、「新人を採用してもなかなか定着しない」「経験のある再雇用社員にもっと力を発揮してほしい」と感じることはありませんか。
採用が難しい職場では、新人採用だけに力を入れても、人手不足の解決につながりにくい場合があります。新しく人を採ることも大切ですが、今いる社員が働き続けられる状態をつくることも、健康経営の重要な役割です。
特に再雇用社員やシニア社員は、経験や判断力を持つ一方で、体力差、健康不安、役割の変化、若手との関係性に悩むことがあります。人事総務がそこを見落とすと、せっかくの経験が職場で活かされにくくなります。
この記事では、人材不足時代に再雇用社員を活かす健康経営について、人事総務の担当者が確認したい視点を紹介します。

人材不足は、新人採用だけでは解決しにくくなっています
多くの企業で、新人採用の難しさが続いています。応募が少ない、採用しても早期離職がある、教育に時間がかかる、現場の指導担当者が疲れてしまう。人事総務の担当者にとって、どれも切実な問題です。
一方で、職場には経験豊富な再雇用社員がいます。長年の業務経験、現場判断、顧客対応、若手への助言など、数字だけでは見えにくい力を持っている人も多くいます。
しかし、再雇用社員を「人手不足を埋める人」とだけ見ると、健康面や役割面の負担を見落とします。結果として、本人も職場も無理を抱えやすくなります。
健康経営では、新人採用と再雇用社員のどちらが得かを比べるだけでは不十分です。今いる人が無理なく働き続けられる条件を整え、人材不足の負担を職場全体で減らすことが大切です。
再雇用社員を活かすには、健康支援と役割設計を分けて考えない
再雇用社員の支援では、健康面だけを見ると不十分です。反対に、役割や業務だけを見ても、働き続ける条件は整いません。
再雇用後は、役職や責任が変わることがあります。以前は管理する側だった人が、現場実務を担う立場になる場合もあります。本人にとっては、仕事の内容だけでなく、自分の立ち位置が変わることもストレスになります。
また、体力や睡眠、慢性疾患、疲労回復の速度にも個人差があります。同じ年齢でも、問題なく働ける人もいれば、見えない負担を抱えている人もいます。
人事総務が見るべきなのは、「再雇用だから軽い仕事にする」という一律対応ではありません。本人の経験を活かせる業務と、身体的・心理的な負担が大きい業務を分けて考えることです。
新人採用と再雇用社員では、支援の重点が違います
新人社員と再雇用社員では、同じ人材戦略でも支援の重点が異なります。
| 対象 | 起こりやすい課題 | 人事総務が見るポイント |
|---|---|---|
| 新人社員 | 職場適応、仕事の理解、人間関係、早期離職 | 教育体制、相談先、定着支援、孤立防止 |
| 再雇用社員 | 体力差、役割変化、健康不安、若手との関係 | 業務調整、健康支援、経験の活かし方、面談 |
| 管理職 | 新人育成とシニア支援を同時に抱える | ラインケア、業務配分、相談できる仕組み |
| 職場全体 | 人手不足、教育負担、不公平感 | 役割分担、業務の見直し、健康経営施策 |
新人社員には、仕事に慣れるための支援が必要です。再雇用社員には、経験を活かしながら無理なく働くための支援が必要です。
どちらか一方だけを重視すると、職場の負担は偏ります。新人を採っても育成する人が疲れてしまう。再雇用社員に頼りすぎると、本人の健康負担が大きくなる。こうした状態を防ぐには、健康経営の視点で人材配置を見る必要があります。
再雇用社員に起こりやすい職場ストレス
再雇用社員のストレスは、本人が口に出しにくいことがあります。
「再雇用してもらっているから言いにくい」「若い人に迷惑をかけたくない」「以前のように働けないと思われたくない」。このような気持ちがあると、体調不安や業務負担を一人で抱えやすくなります。
職場では、次のような変化に注意が必要です。
- 以前より疲れが残りやすくなっている
- 新しいシステムや業務変更への負担が大きい
- 若手との役割分担に遠慮がある
- 以前の役職や立場との違いに戸惑っている
- 体調不安があっても、自分から言い出せない
- 経験を活かす場が少なく、意欲が下がっている
こうした変化は、すぐに休職や離職として出るとは限りません。表情が硬くなる、発言が減る、確認ミスが増える、疲れた様子が続くなど、小さなサインとして見えることがあります。
タニカワ久美子の企業研修で見えていること
タニカワ久美子の企業研修では、人材不足を「採用だけの問題」として扱いません。新人採用、再雇用社員の活用、管理職の負担、健康支援をつなげて考えることを大切にしています。
研修の現場では、人事総務の担当者から「新人が入っても定着しない」「ベテランに頼りたいが、どこまでお願いしてよいか迷う」という声を聞くことがあります。管理職からは「新人育成とシニア社員への配慮を同時に求められ、現場が苦しい」という相談もあります。
このような職場では、再雇用社員本人だけに頑張ってもらう形では続きません。本人の健康状態、役割、若手との関係、管理職の支援まで一緒に見る必要があります。
人事総務の担当者からは、健康経営を制度やスローガンで終わらせず、実際の職場で起きている人材不足、教育負担、シニア支援に結びつけて考えられる点を評価されています。
再雇用社員を活かす健康経営で確認したいこと
再雇用社員を活かすには、本人の経験だけに頼らない仕組みが必要です。
| 確認する領域 | 見落としやすい問題 | 職場でできる対応 |
|---|---|---|
| 健康状態 | 疲労、睡眠、持病、痛みを言い出しにくい | 定期面談で体調変化を確認する |
| 役割 | 以前の立場との違いに戸惑う | 期待する役割を明確に伝える |
| 業務量 | 経験があるため仕事が集中する | 業務範囲と負担の大きい仕事を分ける |
| 若手との関係 | 指導役を任されすぎる、遠慮が出る | 知識継承の場を決め、負担を一人に寄せない |
| 管理職支援 | 配慮と業務遂行の判断を管理職が抱える | 人事総務と産業保健が相談先になる |
再雇用社員の支援では、本人への配慮だけでなく、管理職が迷わず対応できる状態をつくることも重要です。
新人社員と再雇用社員を対立させない
人材不足の話になると、「新人を採るべきか、再雇用社員を活かすべきか」という比較になりがちです。
しかし、実際の職場では、新人社員と再雇用社員は対立する存在ではありません。新人には新しい視点や成長可能性があります。再雇用社員には、経験や現場の知恵があります。
大切なのは、どちらに投資するかを単純に比べることではありません。新人が育ち、再雇用社員が経験を活かし、管理職が一人で抱え込まない職場にすることです。
健康経営の視点では、採用、定着、再雇用、健康支援を別々に扱わず、職場全体の人材が無理なく働き続けられる設計として見る必要があります。
管理職が抱え込みやすい判断
再雇用社員を活かす職場では、管理職の負担も大きくなります。
たとえば、次のような判断を管理職だけに任せていないでしょうか。
- どこまで業務を任せてよいか
- 体調面をどこまで聞いてよいか
- 若手指導をお願いしてよいか
- 再雇用社員の負担を減らすと、他の社員に不公平感が出ないか
- 本人の希望と職場の都合が合わないとき、どう調整するか
この判断を管理職だけに背負わせると、ラインケアの負担が増えます。健康経営として進めるなら、人事総務が面談の枠組みや相談先を用意し、必要に応じて産業保健スタッフと連携できる状態をつくることが大切です。
健康経営では、定着支援まで見る
再雇用社員の健康支援は、福利厚生だけの話ではありません。人材不足時代の定着支援でもあります。
働き続けられる人を増やすには、次の視点が必要です。
- 再雇用後の役割を本人と確認する
- 体力差や健康状態に合わせて業務を調整する
- 経験を活かす場をつくる
- 若手への知識継承を一人に背負わせない
- 管理職が健康配慮を抱え込まないようにする
- 研修後に、面談や声かけの変化を見る
このような取り組みは、再雇用社員だけでなく、若手や中堅社員の安心感にもつながります。経験ある社員が大切にされる職場では、社員全体が「長く働ける会社だ」と感じやすくなります。
まとめ:再雇用社員を活かす健康経営は、人材不足対策になる
人材不足の職場では、新人採用だけに頼るのではなく、再雇用社員が働き続けられる健康支援を整えることが重要です。
再雇用社員には、経験や判断力があります。一方で、体力差、健康不安、役割の変化、若手との関係、管理職の対応負担もあります。
人事総務が見るべきなのは、再雇用社員を人手不足の穴埋めとして使うことではありません。本人の経験を活かしながら、無理なく働き続けられる条件を整えることです。
新人社員が育ち、再雇用社員が経験を活かし、管理職が一人で抱え込まない職場をつくることが、これからの健康経営に求められます。
再雇用社員の健康支援を、人材不足時代の健康経営として見直したい人事総務の方へ。
けんこう総研では、社員の年齢構成、再雇用社員の役割、管理職の支援状況に合わせた健康経営フォローアップを行っています。研修後の行動変化や、現場で続けやすい支援づくりまでご相談いただけます。