ストレス研究memo
意図的な表情表出に及ぼす心理的ストレス要因の分析 / ストレス研究memo
2023年4月27日更新
このサイトのトピック『ストレス研究memo』は、その時々の社会環境にマッチした研修プログラムにするための研究論文メモです。
『意図的な表情表出に及ぼす心理的ストレス要因の分析』の要約
このトピックは、ストレスと表情表出の関係性を検証した結果について説明しています。
。ストレスが蓄積されると、胃痛や不安などの生体面、イライラなどの心理面、酒やタバコなどの行動面に現れます。また、顔は心の窓と言われ、その人の健康状態や心の在りようなど様々な情報を
ストレス反応の指標には何が含まれるもの
この意図的な表情表出に及ぼす心理的ストレス要因の分析研究では、ストレス反応の指標として、心理的ストレス反応測定尺度(Stress Response Scale – 18 : SRS – 18)を使用しています。
特徴付ける18のストレス要因を算出には、心理的ストレスを決定付けている3つのストレス因子、および各ストレス因子を使用しています。
心理的ストレス反応測定尺度(SRS-18)による心理的ストレスを決定付ける3つのストレス因子
心理的ストレスを決定付ける3つのストレス因子は、「抑うつ・不安」「不機嫌・怒り」「無気力」。各ストレス因子を特徴付ける18のストレス要因は以下の通りです。
「抑うつ・不安」ストレス因子を特徴づけるストレス要因
1- 悲しい気持ちだ
2- 泣きたい気持ちだ
3- 気持ちが沈んでいる
4- 不安な気持ちだ
5- 緊張している
6- 落ち着かない
不機嫌・怒りストレス因子を特徴づけるストレス要因
7- イライラしている
8- 腹が立っている
9- 怒っている
10- むかつく気分だ
11- 人に当たり散らす気分だ
12- もやもやしている
無気力ストレス因子を特徴づけるストレス要因
13- 何もする気が起きない
14- やる気が出ない
15- 面倒くさいと感じてしまう
16- 何も手につかなくなってしまった
17- 疲れてしまった感じがする
18- 何も考えられなくなってしまった
顔の表情がストレス反応にどのように影響するのか?
表情空間チャートは、顔の表情を分析するための枠組みです。
この枠組みでは、
1.顔の目元の変化に着目した関心領域(顔上部)
2.口元の変化に着目した関心領域(顔下部)
3.表情筋の動きに伴う顔パーツの形状や幾何学的変化に着目した関心領域(顔全体)
を設けています。この枠組みを用いることで、ストレスと表情表出の関係性を検証し、ストレスの蓄積程度が表情の種別や表出プロセスに影響することが明らかになりました。
ストレスの蓄積程度が、表情の種別や表出プロセスに影響することが判明
実験方法は、男女それぞれのモデルを対象に、SRS-18を用いて心理的ストレス反応測定を行い、表情空間チャートを用いて表情の種別や表出プロセスを分析。
結果
男性のストレスと顔表情の関係
・「喜び」の表情は、ストレス反応程度の違いによる変化を確認
・「怒り」と「悲しみ」の表情は、全体的な傾向としてストレス反応程度の上昇に伴い表出強度が小さくなることがわかりました。
女性のストレスと顔表情の関係
・「悲しみ」の表情は、ストレス反応程度がやや強い場合において顕著な変化が見られました。
これらの実験結果から、心理的ストレス反応程度が高まると、日本人は特定の表情種別や表出プロセスにおける顔筋活動の強度が低下することが示唆されました。
出典:佐藤,大津,間所,門脇.意図的な表情表出に及ぼす心理的ストレス要因の分析.第12回情報科学技術フォーラム2013(21-28)