健康経営
暑熱順化だけでは守れない― 我慢する人ほど倒れる現場が生まれる理由 ―
日本の夏は、単に「暑い」のではありません。
高温 × 高湿度 × 忙しさが重なり、
人の判断力と行動選択を静かに狂わせる季節です。
毎年、
- 対策はしていた
- 水分も取っていた
- 本人も「大丈夫」と言っていた
それでも、倒れる人が出る。
この現象は、暑熱順化が足りなかったからではありません。
問題は、もっと別のところにあります。

「暑熱順化をしている人」ほど危ない理由
暑熱順化は、確かに重要です。
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汗をかける体になる
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体温調節がしやすくなる
-
熱中症リスクを下げる
これは生理的には正しい。
しかし現場では、
暑熱順化ができている人ほど、次の行動を取りがちです。
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「まだいける」
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「周りもやっている」
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「自分が抜けるわけにはいかない」
つまり、
身体が耐えられる=行動を止めない
という判断に直結してしまう。
倒れるのは「弱い人」ではない
現場で実際に倒れるのは、
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真面目な人
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責任感が強い人
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我慢強い人
であることが非常に多い。
これは偶然ではありません。
なぜなら
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「無理をしてはいけない」と知っている
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でも「自分は大丈夫」と判断してしまう
-
周囲に迷惑をかけたくない
という意識構造があるからです。
ここには、
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設備の問題でも
-
ルールの問題でも
ない、
人の判断と意識の問題があります。
暑さは「身体」より先に「判断」を壊す
高温多湿環境では、
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集中力が落ちる
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判断が単純化する
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リスク評価が甘くなる
これは、本人の性格とは無関係に起きます。
しかし人は、
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判断力が落ちていることに気づけない
-
むしろ「気合で乗り切ろう」とする
この状態で、
「我慢できる人ほど、止まれない」
という逆転現象が起きます。
この問題は「教育」でしか解決できない
ここまでの構造を見ると明確です。
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暑熱順化 → 生理対策
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水分補給 → 行動対策
-
設備改善 → 環境対策
これらは必要条件ですが、
十分条件ではありません。
最後に残るのは、
人が、いつ・どこで・なぜ止まるのか
という判断の問題です。
なぜ社内対応では難しいのか
このテーマは、社内で扱おうとすると、
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精神論に寄りやすい
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個人の努力の話になりやすい
-
「気をつけましょう」で終わる
という限界があります。
とくに、
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我慢することが評価されてきた職場
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真面目さが美徳の現場
ほど、内部だけでの修正は困難です。
外部研修が「早い」理由
外部研修には、明確な役割があります。
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第三者の視点で
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「我慢=美徳」という構造を言語化し
-
個人責任ではなく「判断設計」の問題として整理できる
これによって初めて、
「止まることが正しい」
「申告することが評価される」
という意識の再設計が可能になります。
これは“健康情報”ではなく“安全設計”の話
暑熱対策を、
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体調管理の話
-
個人ケアの話
で終わらせている限り、
同じ事故は繰り返されます。
必要なのは、
-
暑さに耐える教育ではなく
-
暑さの中で判断を誤らない教育
です。
人事・総務の皆さまへ
もし現場に、
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我慢強い人が多い
-
「無理です」と言いにくい
-
責任感が評価される文化がある
のであれば、
それは対策が必要なサインです。
けんこう総研では、
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暑熱ストレス
-
判断低下
-
我慢が事故に変わる構造
を体系的に扱う外部研修を提供しています。
▶ 教育設計・研修導入のご相談はこちら
https://kenkou-souken.co.jp/contact/
ここまでお伝えしてきた内容は、
特定の個人を責めるためのものではありません。
暑熱環境下では、
「我慢する」「気づけない」「無理をしてしまう」
という行動が、誰にでも起こり得ます。
だからこそ必要なのは、
個人任せにしない「教育設計」と「判断基準の共有」です。
けんこう総研では、
暑熱ストレス・判断低下・我慢が事故につながる構造を、
労働安全衛生教育の視点から整理し、
現場で共有できる形に落とし込む支援を行っています。