HRV・EDA・BVPはそれぞれ「何を測っているのか」

「心」「カラダ」を支えるけんこう総研ストレスマネジメント

HRV・EDA・BVPはそれぞれ「何を測っているのか」

ホーム » 健康経営 » 健康経営戦略・KPI・エビデンス » ストレス計測・行動変容 » HRV・EDA・BVPはそれぞれ「何を測っているのか」

ストレス計測・行動変容

HRV・EDA・BVPはそれぞれ「何を測っているのか」

ウェアラブルやストレス計測の文脈で、**HRV(心拍変動)・EDA(皮膚電気活動)・BVP(血液量脈波)**が同じ「ストレス」を測っているかのように語られる場面があります。
でも実際は、測っている“からだの反応”が違うため、言葉を混ぜると解釈が崩れます。ここでは、現場で混線しやすいポイントを先にほどき、複数指標を組み合わせる意味までを一本の設計として整理します。

ストレスとの相関関係図

1) まず結論:3つは「入口」が違う

  • HRV:心臓のリズムの“ゆらぎ”から、自律神経の調整のされ方をみる
  • EDA:皮膚(汗腺)の反応から、**緊張・驚きなどの“高まり”**をみる
  • BVP:末梢血流の脈の波から、**心拍・血流変化の“材料”**をみる(多くは光で取得)

同じ「ストレス」という言葉でまとめると雑になります。
現場で役に立つのは、次のように “何が上がる/何が乱れる”を分けて言うことです。


2) HRV(心拍変動):自律神経の「調整のゆとり」をみる

HRV=Heart Rate Variability(心拍の間隔のゆらぎ)。
心拍はメトロノームのように一定ではなく、呼吸や姿勢、注意、回復状態などで間隔が少しずつ変わります。この“ゆらぎ”のパターンから、体が状況に合わせて調整できているかを推定します。

混線しやすい点(要注意)

  • HRVは「ストレスの強さ」を直接測っているのではなく、**ストレスに対する“調整・回復の状態”**を反映しやすい指標です。
  • 睡眠不足、飲酒、発熱、運動、痛み、薬、月経周期などでも動くため、原因を一つに決め打ちしない設計が必要です。

3) EDA(皮膚電気活動):緊張・驚きなど「高まり」の反応をみる

EDA=Electrodermal Activity(皮膚電気活動)。
皮膚の表面は、汗腺の働きで電気の通りやすさが変化します。緊張や集中、驚きなどで汗腺が反応すると、EDAが変わります。ここで拾いやすいのは、ざっくり言えば “今、体が反応している”というサインです。

混線しやすい点(要注意)

EDAは「汗をかく=ストレス」と短絡しがちですが、暑さ、運動、室温、発汗の個人差でも変わります。

そのためEDAは単独で断定するより、“その場の反応が起きたか”の補助線として扱う方が精度が上がります。


4) BVP(血液量脈波):心拍や血流変化を“波”としてとらえる材料

BVP=Blood Volume Pulse(血液量脈波)。
多くの機器では、皮膚に光を当てて反射の変化を読み取り、末梢の血流の脈動を波として取り出します。ここから心拍数を推定したり、心拍のタイミング情報を作ってHRV計算の材料にしたりします。

混線しやすい点(要注意)

BVPはそれ自体が「ストレス指標」というより、**心拍や血流変化を作る“元データ”**として使われることが多いです。

手首の動き、冷え、装着のゆるみ、皮膚状態などで波形が乱れやすく、測定条件の影響を強く受けます。


5) 技術用語の混線を止める:現場での言い換えルール

人事・総務の健康経営ご担当者さまの現場説明で混線を防ぐなら、次の言い換えで統一するとブレません。

HRV:体が整える力(調整・回復の状態)

EDA:体が反応したサイン(緊張・驚き・集中などの高まり)

BVP:心拍や血流の波(HRVや心拍推定の材料)

この3つを同列に「ストレスを測る」と言い切らず、
**「反応」「調整」「材料」**に役割を分けるのが設計として強いです。


6) 複数指標を組み合わせる意味:一つの誤解を、別の指標で止める

単独指標の弱点は共通しています。
**“それっぽく動くけど、別の理由でも動く”**こと。だから組み合わせます。

組み合わせで得られる3つのメリット

誤判定を減らす

例:EDAが上がった
→ 暑さかもしれない/運動かもしれない
→ 同時に心拍やBVPの波形、状況情報を見れば「測定条件の影響」を切り分けやすい

「今の反応」か「回復不足」かを分けられる

例:EDAはその場の高まりを拾いやすい

HRVは回復・調整の状態を反映しやすい
→ 両方が動くと「負荷がかかって調整も苦しい」
→ EDAだけ動くと「一時的な反応」
→ HRVだけ崩れると「蓄積疲労や回復不足」などの仮説が立ちやすい

個人差を吸収しやすい

人によって汗の出方も心拍の出方も違う

だから“1つの物差しで全員を測る”設計は危うい
→ 複数指標で「その人のいつもの範囲(ベースライン)」を作りやすくなる

7) 重要な前提:これらは「診断」ではなく、状態理解の補助線

HRV・EDA・BVPは、職場の健康支援で使う場合、目的は明確です。

不調の早期サインに気づく

睡眠・休養・業務負荷・環境の影響を点検する

セルフケア教育の納得感を上げる

一方で、これらの数値だけで「メンタル不調」「うつ」などを断定するのは設計として避けるべきです。プライバシー、データの取り扱い、説明責任まで含めて運用設計が必要になります。


8) この後に読むべきおすすめ記事

このページは、用語の混線を止めるための基礎設計です。
次のでは、より具体的に以下を扱います。

  • HRVの代表的な指標が何を意味し、何に影響されやすいか
  • EDAの「反応の型」をどう解釈し、環境要因をどう除くか
  • BVP(光での脈波)が乱れる条件と、現場での扱い方
  • 複数指標+質問票+面談情報をどう統合すると運用が破綻しないか

ウェアラブルの数値は、正しく使えば“気づき”を強くしますが、
運用設計を誤ると「数値の一人歩き」「不安の増幅」「管理強化に見える」といった副作用も起きます。

けんこう総研では、保健師・人事が説明しやすい言葉で、

指標の意味の整理

参加者の不安を増やさない伝え方

データ活用のルール設計(目的・同意・閲覧範囲・フィードバック)

研修と日常運用への落とし込み

までをセットで設計します。

夜間・土日祝の無料相談も随時受け付けております。
まずはお気軽にお問い合わせください。