健康経営
体の話だけでは事故は減らない|“気づけない人”が量産される現場の構造
こんにちは、けんこう総研のタニカワ久美子です。
夏が近づくにつれ、「寝苦しさ」「疲れが抜けない」「なんとなく不調」という声が、現場から確実に増えてきます。
しかし、ここで一つはっきり言えることがあります。
疲労回復の方法を知っていても、事故は減りません。
なぜなら、問題は
**「体の状態」ではなく「気づけない状態」**にあるからです。

疲労回復の知識は、すでに多くの人が知っている
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入浴が大事
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睡眠が重要
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ストレスを溜めない
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体を冷やさない
こうした情報は、すでに世の中に溢れています。
たとえば、
**ヒートショックプロテイン(HSP)**の話もその一つです。
ヒートショックプロテイン(HSP)は「正しい」
HSPは、細胞が熱刺激を受けたときに作られるタンパク質で、
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損傷したタンパク質の修復
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神経・ホルモン系の保護
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ストレス耐性の向上
に関わることが分かっています。
とくに HSP70 は、
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疲労回復
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ストレス軽減
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睡眠の質向上
との関連が報告されています。
40℃前後の入浴で増える、という研究結果もあります。
—— ここまでは、正しい体の話です。
それでも事故は起きる
問題はここからです。
HSPの知識を持ち、
入浴の重要性を理解していても、
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無理を続ける
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休めない
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「まだ大丈夫」と判断する
人は、現場に必ずいます。
なぜでしょうか。
人は「疲れていること」に気づけない
暑さ・睡眠不足・ストレスが重なると、
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判断力が落ちる
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感覚が鈍る
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危険認知が遅れる
しかし本人は、
「そこまで疲れている自覚がない」
という状態に陥ります。
つまり、
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体は限界に近づいている
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でも脳はそれを正しく認識できていない
これが “気づけない状態” です。
ピンクノイズも「効く」けれど、それだけでは足りない
自然音に含まれる ピンクノイズ(1/fゆらぎ) が、
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自律神経を整える
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ストレスを下げる
ことは知られています。
職場環境に取り入れること自体は、悪くありません。
しかし、ここでも同じ問題が残ります。
リラックスできているかどうかを、本人が正しく判断できない
という点です。
事故は「体調不良」ではなく「判断ミス」から起きる
現場事故の多くは、
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知識不足
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対策不足
ではありません。
実際には、
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体調の変化に気づけなかった
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申告しなかった
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止まる判断ができなかった
という 判断のズレ が原因です。
この問題は「個人ケア」では解決できない
ここまでの構造を見ると明確です。
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入浴指導
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生活改善
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セルフケア情報
これらは 補助的対策 にすぎません。
本質は、
「気づけない状態でも、止まれる判断軸」を持てるか
です。
これは、
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個人任せ
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自主性任せ
では成立しません。
だから「教育と意識設計」が必要に
必要なのは、
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疲労をゼロにすること
ではなく -
疲労下でも誤判断しないこと
そのためには、
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自分の状態をどう捉えるか
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どの段階で止まるか
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周囲とどう共有するか
という 共通の判断軸 を、組織として持つ必要があります。
外部研修が有効な理由
このテーマは、
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社内では言いづらい
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精神論に流れやすい
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「自己管理」の話で終わる
という特徴があります。
外部研修だからこそ、
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個人批判にならず
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構造として整理でき
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「気づけない状態」を言語化できる
のです。
人事・総務の皆さまへ
もし現場に、
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真面目な人ほど無理をする
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体調申告が少ない
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事故は「突然」起きている
という傾向があるなら、
それは 教育設計の問題 です。
けんこう総研では、
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暑熱ストレス
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疲労と判断低下
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気づけない状態の構造
を扱う 外部研修 を提供しています。
▶ 教育設計・研修導入のご相談はこちら
https://kenkou-souken.co.jp/contact/
本記事で扱っている課題は、個人の注意や体調管理だけで解決できるものではありません。
暑熱環境下では、
「我慢する」「気づけない」「無理をしてしまう」
という行動が、誰にでも起こり得ます。
だからこそ必要なのは、
個人任せにしない「教育設計」と「判断基準の共有」です。
けんこう総研では、
暑熱ストレス・判断低下・我慢が事故につながる構造を、
労働安全衛生教育の視点から整理し、
現場で共有できる形に落とし込む支援を行っています。