ストレス管理
いつも通り働く社員の隠れ疲れ|人事総務が見るサイン
人事総務の健康経営ご担当者として、いつも通り出勤している社員なのに、最近少し気になる変化を感じたことはありませんか。
笑顔で対応している。仕事もこなしている。けれど、小さなミスが増えた、返事が遅くなった、表情が硬い、休んだはずなのに元気が戻っていないように見える。
この状態を、本人の気合いや性格の問題として見てしまうと、背景にある疲労を見落とします。睡眠不足、休憩不足、緊張の続きすぎ、相談しにくさ、対人対応の疲れが重なると、本人も周囲も気づきにくい「隠れ疲れ」として表れることがあります。
この記事では、隠れ疲れを本人任せにせず、人事総務・健康経営ご担当者が職場支援につなげるための見方を整理します。

いつも通り働く社員ほど疲れが見えにくい
隠れ疲れとは、本人がはっきり「疲れている」と言わないまま、心身の負荷がたまっている状態です。
疲れというと、ぐったりしている、眠そうにしている、体調不良を訴える状態を思い浮かべるかもしれません。しかし職場では、疲れが表に出にくいことがあります。
いつも通り出勤する。笑顔で対応する。頼まれた仕事を引き受ける。会議でも大きな不満を言わない。こう見えていても、内側では睡眠不足、気づかい、緊張、休憩不足が重なっている場合があります。
特にまじめな社員ほど、「まだ大丈夫」「自分が休むほどではない」と考え、疲れを言葉にしないことがあります。
隠れ疲れを個人責任にしない
小さなミスが増える、反応が薄くなる、報告が遅れる、イライラしやすくなる。このような変化を、すぐに本人の能力や性格の問題にしないことが大切です。
背景には、休憩が取れない、睡眠が浅い、対人対応が続いている、オンライン会議が連続している、相談しにくいまま抱えているといった職場の負荷が隠れていることがあります。
職場が見るべきなのは、「疲れていると言っているか」だけではありません。以前と比べて、仕事中の反応、表情、集中力、身体のこわばり、相談の遅れに変化が出ていないかです。
一般的な休息アドバイスだけでは動かない理由
「休んでください」「無理しないでください」と伝えるだけでは、必要な社員ほど動けないことがあります。
本人が休むほどではないと思っている。周囲に迷惑をかけたくない。管理職に相談すると評価に響くのではないかと感じている。こうした状態では、疲れていても「大丈夫です」と答えてしまいます。
そのため、隠れ疲れへの対応では、本人に休むよう促すだけでなく、休憩を取りやすいか、相談しやすいか、業務が偏っていないかを職場側で確認する必要があります。
専門職でも迷う判断構造
隠れ疲れは、睡眠、休憩不足、緊張、対人対応、相談しにくさが重なって表れます。本人の自覚だけに頼らず、以前との違いを職場でどう拾うかが判断の分かれ目です。
社内で動かす難しさ
隠れ疲れは数値や申告だけでは見えにくく、管理職も声をかけるタイミングに迷います。人事総務、管理職、産業保健が、責めない確認の仕方をそろえる必要があります。
タニカワ久美子の研修では隠れ疲れを本人任せにしません
タニカワ久美子の企業研修では、隠れ疲れを「本人の自己管理不足」として扱いません。
研修現場では、「疲れているつもりはなかったけれど、肩に力が入り続けていました」「呼吸が浅くなっていることに気づきませんでした」「休憩を取らないまま仕事を続けていました」という声が出ることがあります。
本人は疲れに慣れてしまい、自分の状態を見過ごしていることがあります。管理職も、「いつも通り働いているから大丈夫だと思っていた」と話すことがあります。
ここで必要なのは、社員に「もっと自分で気をつけましょう」と伝えることではありません。社員の小さな反応、管理職の見落とし、人事総務の違和感を、睡眠、休憩、業務量、相談しにくさ、身体のこわばりという判断材料に変えることです。
タニカワの研修では、座学だけでなく、短い身体の動きや呼吸の確認を取り入れることがあります。ただし目的は運動方法を覚えることではありません。社員が自分の緊張や疲労に気づき、管理職が早めに声をかけられる状態をつくることです。
楽しい出来事でも疲れが残ることがあります
疲れは、つらい出来事だけで起こるわけではありません。旅行、社内行事、歓迎会、昇進、新しい仕事、うれしい変化も、心と身体には負荷として働くことがあります。
楽しい予定が続いた後に、眠気が強くなる、仕事に集中しにくくなる、身体が重いと感じることがあります。これは、楽しいことが悪いという意味ではありません。準備、移動、人との関わり、緊張、予定の詰まりによって、心身のエネルギーを使うということです。
職場では、「楽しい行事だから疲れないはず」と見ないことが大切です。繁忙期後、行事後、異動直後、新しい役割を任された後には、回復の時間が必要になることがあります。
ウェアラブル機器やアプリは社員評価に使わない
歩数、睡眠時間、心拍、活動量などを記録できる機器やアプリは、自分の状態に気づくきっかけになります。
ただし、職場で数値を良い・悪いで判断しすぎると、それ自体がストレスになることがあります。個人データを無理に集めたり、社員同士を比較したり、本人の同意なく睡眠や心拍のデータを扱ったりしてはいけません。
数値は、社員を管理するためではなく、本人が自分の変化に気づき、必要な相談につながるための補助情報として扱うことが大切です。
医療的な対応が必要な場合
この記事は、職場の隠れ疲れを健康管理と不調予防の視点から書いたものです。医学的な診断や治療を行うものではありません。
強い不眠、強い疲労感、出勤困難、食欲低下、動悸、息苦しさ、気分の落ち込み、仕事や日常生活への支障が続く場合は、自己判断せず、医療機関や専門職につなぐ必要があります。
職場は診断するのではなく、以前との違いに気づき、本人が相談しやすい状態を作り、必要な支援先につなぐことが役割です。
隠れ疲れを職場支援につなげるために
隠れ疲れは、本人も周囲も気づきにくいまま、ストレスや疲労がたまっている状態です。出勤している、笑顔で対応している、仕事をこなしているという表面だけでは分からないことがあります。
人事総務・健康経営ご担当者が見るべきなのは、社員が疲れていると言っているかどうかだけではありません。以前との違い、休憩の取りにくさ、睡眠不足、業務の偏り、相談しにくさが重なっていないかです。
社員の隠れ疲れを本人任せにせず、管理職の声かけ、休憩、相談導線、働き方の見直しにつなげたい場合は、けんこう総研の企業向けストレスマネジメント研修をご確認ください。
文責:タニカワ久美子
研修テーマが未定でも、対象者・職場状況・実施時期に合わせて整理します。