ストレス管理
けんこう総研タニカワのSTOP!ストレスの有害扱い
人事・健康経営担当者の皆さまへ
「ストレスは有害」という前提が、施策を難しくしています
職場のストレス対策は、
長いあいだ「ストレス=減らすべきもの」「有害なもの」
という前提で語られてきました。
しかしこの前提のままでは、
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ストレス対策が「守り」だけになる
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社員の活力や挑戦を評価できない
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研修や制度が“気休め”で終わる
という問題が起こりがちです。
本記事では、
なぜストレスが一律に有害扱いされるようになったのか、
そして 現代の職場でその考え方が通用しなくなっている理由を、
科学史と行動科学の視点から整理します。
よくニュースなどで「ストレスで鬱病になることは明らか」と報じられていますが、社会人が「ストレスがたまる」と愚痴をこぼす場合と、昨日のセリエのラットの実験と同じくらい過酷な時間を過ごしているのかを、検証した結果「ストレスで鬱病になることは明らか」と報じているわけではありません。
多くの場合、ストレスと言う高賭場は、研究条件や研究方法などは無視して使われてしまってます。例えば、朝起きて、子供が親に挨拶しないといった日常の小さな問題と、虐待やトラウマによる影響とのストレスレベルの区分や区別はありません。
ストレス解消するためなら飲酒は良いのか?
アンケートで「ストレスを減らすためなら、お酒を飲んだ方が良い」と考えている方が非常に多いことが判りました。ストレスや不安を感じるのは身体に悪いと思っていると、ご自分のメンタルヘルスを予防するつもりが、かえって自己破壊的な行動、そう、アルコール依存症になってしまったら全く無意味です。
体はストレスにを受けると戦闘態勢を整える
ストレスを有害扱いされるようになった背景は、ハンス・セリエのラットの実験だけではありません。ハーバード大学医学部の生理学者でウォルター・B・キャノンは、1915年に、「恐怖や怒りが動物の生理機能にどのような影響を与えるか」という研究報告をしました。キャノンがよく行った実験は、猫の口や鼻を手で覆い呼吸困難にさせたり、猫と犬を同じ部屋に閉じ込めて喧嘩をさせる方法をとりました。
キャノンの実験結果
は、
猫が身の危険を感じると、猫の体内ではアドレナリンが分泌され、交感神経が高まりました。反対に、内臓などのの機能は低下したり停止してしまいました。これは体の中のエネルギーを節約して貯めることで免疫力を上げて、体はストレスとの戦闘態勢を整えています。この戦闘態勢能力は、猫だけでなくすべての動物に備わっています。
ストレスのミスマッチ理論
けれども社会生活をしてる私たちには、日常生活でアドレナリンを分泌させるほどの殴ったり、逃げたりするシーンはドラマじゃあるまいし、めったにありませんよね。リストラやセクハラに対して、アドレナリン分泌が一体何の役に立つでしょうか?嫌なことがおこるたびに、面倒くさい人間関係から逃げたり、仕事をやめていたらどうなってしまうでしょうか?家のローンだって逃げて、踏み倒すわけにはいきません。そう考えると、命の危機にかかわるような時でないとアドレナリン分泌の無駄使いになるだけで、かえって問題にうまく対応できなくなってしまいます。これは『ストレスのミスマッチ理論』と呼んでいます。
ストレスを感じるたびに、闘買ったり逃げたりしたくなるとしたら、ストレスはもう現代社会では全く不必要と言えるかもしれません。けれどもストレスも長い歴史の時間とともに現代社会に適応しやすいかたちへと変わってきました。
このような研究背景が十分に共有されないまま、
現代の職場では「ストレス=悪」という言葉だけが
一人歩きしてきました。
ストレスを受けると、脳や全身の神経が活性化されます。
ストレスは自分を犠牲にして他人のために行動させる
韓国でイカゲームが大ヒットしています。日本でもカイジなど命を賭けた大金ゲーム映画が人気です。
では、こんなゲームに貴殿も参加した気持ちになってください。
1.私は、貴殿に10,000円を渡します。対戦相手にはお金を渡しません。
<対戦相手を信用しなかった場合>
2.貴殿は、対戦相手を信用しないと決めました ⇒対戦相手に5,000円渡します。
<対戦相手を信用した場合>
3.対戦相手が、貴殿を信用すると決めました ⇒獲得賞金+貴殿も、対戦相手も20,000円づつ貰えます。
4.対戦相手が、貴殿の信用を裏切った ⇒賞金は全て対戦相手のもの。
さて、貴殿は2択のどちらかを選ばなければならないと追い詰められた時、見知らぬ対戦相手をどこまで信用できますか?
このようなゲームをテレビ番組でおこない、その結果、53%は見知らぬ対戦相手を信用したと行動経済学者のリチャード・セイラ―が指摘していました。
不思議ですよね。
先ほど、私は、ストレスを受けると、闘争や逃げる意欲のアドレナリンが分泌されると書いたばかりなのにわけがわからなくなりますよね。それはストレスを受けた後の反応は、原始の時代から様々な対応するようになったと言えるからです。心臓の血管の変化や、さまざまなホルモンの分泌量の増減など、心理的環境によって変化の割合も違います。
ストレスのいろいろ
では、職場のストレス対策は何を見直すべきか
ストレスが
一律に有害なものではなく、
状況や意味づけによって
行動・関係性・創造性を引き出す側面も持つとするなら、
職場のストレス対策は
単に「減らす」「避ける」では不十分です。
必要なのは、
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どのストレスを
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どの場面で
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どう扱うのか
を整理し、
有害化させない設計と、活かす設計を分けて考えることです。
何かに挑戦しよう!と思うのもストレスです。また他人にたいする思いやりが起こると勇気がもてたり、積極的にお世話をしたり、社会的関係を持とうと思うのもストレスによるホルモン分泌の活性化が要因しています。ストレスを受けるとアドレナリンのような闘争精神だけでなく、たくさんのレパートリーが起こります。
このウイークエンドは何をしようかな?と楽しい創造をしてる貴殿にもレパートリー豊かなストレス反応が起きています。
ここまでご紹介してきた内容は、
特別な企業や一部の職種だけに起きている話ではありません。
多くの職場で、
「大きな問題ではないが、放置すれば確実に効いてくる違和感」
として静かに積み重なっています。
だからこそ重要なのは、
何かが壊れてから対処することではなく、
“今の状態を正しく整理し、次の一手を判断すること” です。
その整理の仕方によって、
取るべき施策も、研修の位置づけも、支援の関わり方も変わります。
▶ ストレス対策を健康経営として再整理したい場合
ユーストレスを含めたストレス管理
どのように位置づけ、進めていくかについては、
健康経営フォローアップ【まとめ】で全体像を整理しています。
次の一手を検討される企業ご担当者さまへ
ストレスを
「一律に有害なもの」として扱うのか、
「適切に設計すべき経営資源」として扱うのかで、
職場の施策や研修の方向性は大きく変わります。