ストレス科学ラボ・用語バンク
ランナーズハイはストレス解消に効果があるか?最新科学で解説
けんこう総研ニュースコラムでアクセス数No.1のテーマ「徹夜明けのランナーズハイ」。
多くの方が記事を読んでくださった理由は、「あの妙な爽快感」を体験したことがあるからかもしれません。
では、このランナーズハイは本当に「ストレス解消」に効果があるのでしょうか?
今回は、最新のストレス科学の視点からランナーズハイの正体を解き明かします。
ランナーズハイとは?内なる“モルヒネ様物質”がもたらす高揚感
ランナーズハイは、強い運動を続けたあとに突然訪れる高揚感・幸福感のことです。
この感覚の背景には「内因性モルヒネ」と呼ばれる物質、特にベータ・エンドルフィンの分泌が関係しています。
ベータ・エンドルフィンは脳内で分泌され、痛みやストレスを和らげる作用をもつ“天然の鎮痛物質”。
これが増えることで「苦しいのに気持ちいい」という矛盾した感覚が生まれるのです。
ランナーズハイは「ユーストレス(良性ストレス)」の一形態
実はこのランナーズハイ、ストレス理論でいうところの「ユーストレス(eustress)」に分類されます。
つまり、“悪いストレス”ではなく、心身をポジティブに刺激しパフォーマンスを高める良性ストレスのひとつです。
一定の負荷をかける運動が脳内に適度な緊張と快感をもたらす──これこそ、ストレスをうまく「使う」メカニズム。
企業における健康経営でも、このユーストレス活用は注目されています。
「徹夜ハイ」と「ランナーズハイ」は似て非なるもの
一方、徹夜明けのハイテンションは、脳が“フルマラソンをした”のと同じ疲労状態からくる脳の防衛反応。
この一時的な快感は、ランナーズハイのようにポジティブな回復を伴うものではありません。
徹夜ハイは「ディストレス(悪性ストレス)」の典型です。
短期的な興奮のあとに、判断力の低下・抑うつ傾向・ミスの増加など、職場のリスクを高める要因になります。
ベータ・エンドルフィンとセロトニンの相互作用
ベータ・エンドルフィンは、脳内のセロトニン(幸せホルモン)の働きとも深く関係しています。
適度な運動でエンドルフィンが増えると、セロトニンの分泌も促され、精神的安定や集中力アップにつながるとされています。
この「エンドルフィン × セロトニン連携」が、薬剤に頼らず自然に気分を整える“抗ストレスメカニズム”の鍵です。
科学的に見た「持続するストレス耐性」のつくり方
快感を持続させるには、徹夜や極端な負荷ではなく、“定期的な軽〜中強度の運動”が最適です。
たとえば、早朝ウォーキングや通勤時の階段利用でも効果が見られます。
けんこう総研の研修では、このような日常のストレスマネジメント行動を職場単位で可視化し、KPI(行動指標)として3か月で定着させるプログラムを提供しています。
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ランナーズハイの「良性ストレス理論」は、職場ストレス対策・健康経営研修に応用可能です。
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まとめ|ストレスを「敵」にしない働き方へ
ストレスを完全に排除することはできません。
しかし、ランナーズハイに代表されるように、私たちの脳は「ストレスをうまく使う力」をもっています。
適切にユーストレスを引き出すことで、心身の回復力・仕事の集中力・職場の活力を高めることができます。
けんこう総研は、この最新ストレス科学をベースに、現場実践に即した健康経営支援を行っています。従業員がいきいき働ける環境づくりに、ぜひご活用ください。