健康経営
メンタルヘルス対策の成果が見えない2つの理由|健康経営
メンタルヘルス対策を続けているのに、成果が見えない。健康経営を始めたものの、数年たつと取り組みが止まりそうになる。人事総務・健康経営担当者から、このような相談を受けることがあります。
制度を入れていないわけではありません。ストレスチェックも実施している。研修も行っている。相談窓口も用意している。それでも、社員の状態が良くなっている実感が持てないことがあります。
この記事では、健康経営の中でも「メンタルヘルス対策の成果が見えない理由」に焦点を当てます。制度の説明ではなく、なぜ取り組みが続きにくくなるのか、人事総務・健康経営担当者が見直したい点を扱います。
メンタルヘルス対策は、実施しただけでは成果が見えにくい
メンタルヘルス対策は、実施した回数だけで成果を判断しにくい取り組みです。
たとえば、次のような状態は多くの企業で見られます。
- 毎年ストレスチェックは実施している
- メンタルヘルス研修も行っている
- 相談窓口も案内している
- 衛生委員会でも話題にしている
- 健康経営の資料も作成している
しかし、担当者の実感としては「何が良くなったのか分からない」「去年と同じことを繰り返している気がする」と感じることがあります。
この状態が続くと、健康経営は前向きな取り組みではなく、毎年こなす業務になってしまいます。
成果が見えない理由1:外部に任せきりで社内に残らない
メンタルヘルス対策の成果が見えにくい理由の一つは、外部サービスに任せきりになっていることです。
外部の専門家や支援会社を使うこと自体は悪くありません。専門的な知識、第三者の視点、最新情報は、社内だけでは補いにくいからです。
問題は、すべてを外部に任せたまま、社内に考え方や判断基準が残らないことです。
- 毎年同じ研修を実施している
- ストレスチェック結果を見ても、次に何をするか決められない
- 外部業者の報告書を受け取るだけになっている
- 担当者が変わると、過去の経緯が分からなくなる
- 費用はかかるが、社内の納得感が増えない
このような状態では、取り組みを続けても「会社として何を学んだのか」が残りません。
結果として、健康経営は毎年の支出になり、「このまま続ける意味があるのか」という疑問が出やすくなります。
外部支援は使いながら、社内で分かる部分を増やす
健康経営で大切なのは、外部支援をやめることではありません。外部に頼る部分と、社内で分かるようにしていく部分を分けることです。
たとえば、専門的な分析や研修内容の組み立ては、外部の専門家が関わる価値があります。一方で、社員の反応、職場の困りごと、管理職が感じている負担は、社内で見ていく必要があります。
最初は専門家に相談しながら進めても、少しずつ社内で判断できる範囲を増やしていく。この考え方がないと、健康経営はいつまでも外部任せになります。
担当者が「今年は何を重視するのか」「この結果を社内でどう説明するのか」を話せるようになると、健康経営は会社の取り組みとして根づきやすくなります。
成果が見えない理由2:担当者が一人で抱え込んでいる
もう一つの理由は、健康経営やメンタルヘルス対策を回す人が社内で孤立していることです。
実際の現場では、健康経営の専門部署が十分にある会社ばかりではありません。人事総務の担当者、保健師、衛生管理者、労務担当者が、通常業務と並行して担当していることが多くあります。
その結果、次のような負担が起こります。
- 健康経営の経験がないまま担当になる
- ストレスチェック後の対応を一人で考えている
- 管理職にどう説明すればよいか分からない
- 社員から相談されても、どこまで対応すべきか迷う
- 経営層に成果を説明する材料がない
- 通常業務に加えて、健康経営の作業が増えている
これは担当者の能力不足ではありません。最初から一人で回すには、負担が大きすぎる状態です。
担当者が疲れてしまうと、健康経営そのものも止まりやすくなります。
担当者だけで成果を出そうとしない
メンタルヘルス対策は、担当者一人の努力で成果を出すものではありません。
管理職が部下の変化に気づけるか。経営層が健康経営を単なる福利厚生ではなく、職場を支える取り組みとして見ているか。従業員が安心して相談できる雰囲気があるか。こうした要素が重なって、初めて成果につながります。
担当者が一人で資料を作り、研修を手配し、結果をまとめ、社内説明まで背負う状態では、長続きしません。
人事総務・健康経営担当者に必要なのは、すべてを自分で抱えることではなく、社内で協力してもらう相手を増やすことです。
タニカワ久美子の企業研修で見てきたこと
タニカワ久美子の企業研修では、メンタルヘルス対策をまじめに続けているのに、担当者が疲れきっている職場を見てきました。
特に多いのは、「やること」は増えているのに、「何のためにやるのか」が社内で共有されていないケースです。担当者はストレスチェック、研修、資料作成、社内調整を進めています。しかし、管理職や社員からは「また研修ですか」「何が変わるのですか」と見られてしまうことがあります。
そのような場面で、研修では担当者に「成果が見えないのは、努力が足りないからではありません。見るポイントが決まっていない可能性があります」と伝えています。
管理職には、「メンタルヘルス対策は人事総務だけの仕事ではなく、日々の声かけや仕事量の見直しにも関わります」と話します。
健康経営は、担当者の根性で続けるものではありません。社内の人が同じ方向を見られる言葉に変えていくことで、取り組みが続きやすくなります。
成果を見るために、最初に決めたいこと
メンタルヘルス対策の成果を見たいときは、最初に「何を見れば成果と言えるのか」を決める必要があります。
成果は、休職者数だけで判断するものではありません。休職者数は重要ですが、短期間では変化が出にくいこともあります。
人事総務・健康経営担当者が見やすいポイントには、次のようなものがあります。
- 研修後に管理職の声かけが増えたか
- 社員が相談先を知っているか
- ストレスチェック後の面談や職場対応につながっているか
- 高ストレス職場で、業務量や人員配置の話し合いができているか
- 同じ部署で同じ問題が繰り返されていないか
- 担当者が社内説明をしやすくなっているか
このような小さな変化を見ていくことで、健康経営は「やったかどうか」ではなく、「職場で何が変わったか」で考えられるようになります。
健康経営が止まる企業に多い状態
健康経営が途中で止まりやすい企業には、共通する状態があります。
- 毎年の施策が前年と同じになっている
- ストレスチェック結果を見ても、次の行動が決まらない
- 担当者以外が健康経営に関心を持っていない
- 研修を実施しても、その後の変化を見ていない
- 経営層への報告が、実施報告だけで終わっている
- 外部支援の内容が社内に残っていない
この状態では、健康経営は続いているように見えても、実際には前に進みにくくなります。
重要なのは、施策の数を増やすことではありません。今ある取り組みが、社内のどの困りごとに対応しているのかを確認することです。
健康経営を続ける企業が見ていること
一方で、健康経営が続いている企業は、取り組みを社内で説明できる形にしています。
- 今年重視する課題が決まっている
- 担当者だけでなく、管理職にも役割がある
- 外部支援を使う目的が明確になっている
- 研修後に、職場で見るポイントが共有されている
- ストレスチェック結果を、次の行動につなげている
- 健康経営を単発行事ではなく、日常業務とつなげている
この違いは、制度の差だけではありません。続けるための考え方が社内にあるかどうかです。
健康経営は、完璧な計画を作れば進むものではありません。現場の反応を見ながら、必要なことを少しずつ直していくことで続きます。
外部支援を使うなら、社内に残る形にする
外部支援を使うときは、「何をしてもらうか」だけでなく、「社内に何を残すか」を考えることが重要です。
たとえば、次のような残し方があります。
- 管理職が部下の変化を見る視点を持つ
- 人事総務担当者が社内説明に使える言葉を持つ
- 研修後に職場で確認するポイントを決める
- ストレスチェック結果の見方を共有する
- 次年度に見直す項目を残す
外部支援は、会社の代わりにすべてを行うためだけのものではありません。社内で続けられる力を増やすために使うことで、費用の意味も見えやすくなります。
まとめ:成果が見えないときは、取り組みの続け方を見直す
メンタルヘルス対策の成果が見えないとき、すぐに新しい施策を増やす必要はありません。
まず確認したいのは、外部に任せきりになっていないか、担当者が一人で抱え込んでいないか、成果を見るポイントが決まっているかです。
制度を入れること、研修を実施すること、ストレスチェックを行うことは大切です。しかし、それだけでは健康経営は続きません。
人事総務・健康経営担当者が社内で説明でき、管理職や社員が自分の仕事とつなげて受け止められる状態にすることが、成果につながります。
メンタルヘルス対策を続けているのに、成果が見えにくいと感じている方へ。
けんこう総研では、現在の取り組みを見ながら、担当者が一人で抱え込まない進め方を一緒に確認しています。
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