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ストレス研究memo

感情によるストレスのレジリエンス研究Vol.79

2024年5月23日更新

こんにちは、けんこう総研のタニカワです。今日はEmma Childs と Harriet de Wit氏が2022年に書いた「健康な成人は、定期的な運動によって、感情的ストレスの回復力がある」という論文をご紹介します。

研修講師タニカワ久美子が研修参加者との運動実技で楽しく笑いが起こっている風景

定期的な運動が感情的回復力を高めるという知見は、健康経営には重要です。

概要

この研究は、定期的な運動が急性の心理社会的ストレスに対する感情的な回復力に与える影響を調査しています。
研究には111人の健康な成人が参加して2つのテストを行いました。

1.トリア社会的ストレステスト(TSST)

トリア社会的ストレステスト (TSST) は、急性の心理的ストレスを誘発し、その生理的および心理的反応を評価するために用いられる方法です。
TSSTは3つで構成されています
1. 準備期間  :参加者は5分間の準備時間を与えられ、即興でスピーチを準備します。
2. スピーチ課題:参加者は面接官の前で5分間スピーチを行います。面接官は無表情で聴き、反応を見せません。
3. 算術課題  :スピーチの後、参加者は面接官の前で即座に計算問題を解く課題を行います。

2.非ストレスタスク

非ストレスタスクは、参加者に心理的ストレスを与えないように設計されたタスクです。
TSSTの対照条件として使用されます。また、ストレスのない環境での生理的および心理的反応を測定するために行われます。
具体的な内容としては、簡単な読み物やリラクゼーションビデオの視聴などが含まれます。これにより、ストレスの有無による反応の差を比較することができます。

参考文献の詳細は[こちら](https://www.frontiersin.org/journals/physiology/articles/10.3389/fphys.2014.00161/full)でご覧ください。

結果として、定期的に運動する人々は、運動しない人々に比べて、ストレステスト後のポジティブ感情の低下が少ない(=ネガティブ感情になりにくい)ことが示されました。

背景

運動は健康に良い影響を与えることは、けんこう総研タニカワも何度もお話ししてきました。ですがストレスに対する具体的な影響は完全には解明されていません。
ストレスは心身の多くの病気と関連しているため、運動がどのようにストレス回復力を高めるかを理解することも重要です。

方法

参加者  : 18-32歳の健康な成人111人が参加。
プロトコル: 参加者は、ストレスのあるタスク(TSST)と非ストレスタスクを少なくとも48時間間隔で実施。心拍数、血圧、コルチゾール、自己報告による気分を測定。
評価項目 : 心拍数、血圧、コルチゾールレベル、気分の変化をストレスタスク前後で比較。

結果

心拍数   : 運動する人は安静時の心拍数が低かったが、ストレスに対する心拍数の反応は運動しない人と差がなかった
感情的反応 : 運動しない人はストレステスト後にポジティブな感情の低下が大きかった
コルチゾール: 両グループ間で有意な差は見られなかった

結論

定期的な運動は、ストレスによる感情的な悪影響を軽減する可能性があるが、心血管系およびホルモン反応には大きな影響を与えない。今後は、長期間にわたる運動の影響を調査するための前向き研究が必要である。

参考

詳細な情報はFrontiers in Physiologyジャーナルのリンクからご覧ください。

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