ストレス管理
残業が続く職場で社員の疲労サインを見逃さないための声かけと組織対応
「夕方になると、エナジードリンクを飲まないと仕事が進まない」
「残業中は、甘いものがないと集中できない」
「帰宅後にお酒を飲まないと、仕事の緊張が抜けない」
残業が続く職場では、このような行動が本人の好みや生活習慣として見過ごされることがあります。
しかし、人事総務・健康経営担当者が見たいのは、社員が何を飲んでいるか、何を食べているかではありません。
社員が、疲労をごまかさなければ働き続けられない状態になっていないかです。
この記事では、残業中に見える社員の疲労サインを、管理職の声かけと人事総務の組織対応につなげる判断場面として整理します。
現場の違和感:疲労サインは見えているのに、組織対応に変わらない
相談窓口はある。
管理職にも、部下の変化に気づくよう伝えている。
それでも、疲れている社員ほど「大丈夫です」と言い、声を上げないことがあります。
現場では、社員が疲労を言葉にする前に、残業中のコーヒー、エナジードリンク、甘いもの、帰宅後の飲酒、深夜の動画視聴で何とか乗り切っていることがあります。
一時的には働けているように見えるため、管理職も「本人の習慣」「忙しい時期だから仕方ない」と受け止めやすくなります。
| 現場で見える行動 | 表面上の見え方 | 人事総務が確認したい背景 |
|---|---|---|
| 夕方以降にカフェインが増える | 眠気を飛ばしている | 残業時間、睡眠不足、休憩不足 |
| 甘いものや間食で乗り切る | 気分転換をしている | 緊張の持続、休憩の取りにくさ |
| 帰宅後の飲酒が増える | 仕事後に発散している | 退勤後も緊張が残っている可能性 |
| 本人が「大丈夫」と言う | まだ働けているように見える | 疲労に慣れ、相談が遅れている可能性 |
個人責任にすると、社員はさらに話しにくくなる
疲れている社員に対して、「飲みすぎではありませんか」「自己管理できていますか」と聞くと、本人は責められたように感じやすくなります。
すると、疲労や業務負荷の話はさらに出てこなくなります。
これは、社員本人の弱さではありません。
管理職の意識不足でも、人事総務の努力不足でもありません。
問題は、現場で見えている違和感を、社内で共有できる判断材料に変える流れがないことです。
残業、休憩不足、睡眠不足、相談しにくさ、業務量の偏りが重なっていても、それぞれが別々に見えている限り、組織対応にはつながりません。
社内で動かす難しさ:人事総務だけでは現場の細部が見えにくい
人事総務には、制度、相談窓口、健康経営施策、産業医面談などの全体設計が見えています。
しかし、残業中の社員の表情、夕方以降の集中力の落ち方、休憩を取りにくい空気、チーム内で声を上げにくい雰囲気までは見えにくいものです。
一方で、管理職には現場の細部が見えています。
誰が無理をしているか。
誰が疲れを隠しているか。
誰が「大丈夫です」と言いながら業務量を抱えているか。
しかし、その違和感を人事総務へ共有してよい基準が曖昧なため、管理職の中で止まりやすくなります。
負担を抱えている社員本人も、「自分が言うと迷惑になる」「これくらい普通」「忙しい時期だから仕方ない」と考えがちです。
その結果、疲労をごまかす行動だけが続き、声は上がってきません。
タニカワの研修では、疲労サインを職場の判断材料に変えます
タニカワの研修では、カフェインや甘いもの、飲酒を「悪い習慣」として扱いません。
社員を責めると、疲労のサインはさらに表に出にくくなるからです。
研修で扱うのは、現場で起きている違和感を、管理職と人事総務が共有できる判断材料に変えることです。
「夕方になるとカフェインが増える」
「休憩を取らずに甘いもので乗り切っている」
「本人は大丈夫と言うが、翌朝も疲れている」
このような行動を、個人の弱さではなく、回復不足、業務量、休憩、睡眠、相談しにくさと結びつけて整理します。
この整理ができると、人事総務は「注意喚起を出す」だけで終わらなくなります。
管理職の声かけ、部署ごとの業務負荷確認、休憩の取り方、相談接続、必要な専門職連携まで、職場として扱える課題になります。
管理職が確認する声かけ
| 避けたい声かけ | 置き換えたい声かけ |
|---|---|
| エナジードリンクを控えた方がいいですよ | 夕方以降に疲れが強く出る日が増えていませんか |
| 甘いものに頼りすぎではありませんか | 休憩を取る前に、間食で乗り切ることが増えていませんか |
| 自己管理してください | 朝から疲れが残る日が続いていないか、一度確認しましょう |
| みんな忙しいので頑張ってください | 今の業務で、疲れが残りやすい作業はどこですか |
人事総務が整える組織対応
疲労サインが見えても、対応ルートが決まっていなければ、管理職は迷います。
声をかけた後にどこまで聞くのか。
人事総務へ共有してよいのか。
本人の同意をどう扱うのか。
専門職や外部相談先へつなぐ基準は何か。
この判断を管理職個人に任せると、対応の質が人によって変わります。
人事総務が整えるべきなのは、管理職が一人で抱え込まないための組織対応です。
社員の生活習慣を細かく管理することではなく、疲労をごまかす行動を、職場の負荷と回復のバランスを見直す判断材料に変えることです。
残業が続く職場で社員の疲労サインを見逃したくないご担当者へ
けんこう総研では、残業中のカフェイン習慣、甘いもの、飲酒、夜更かしなどを、社員個人の問題として扱いません。
現場で見えている違和感を、管理職の声かけ、人事総務への共有、相談接続、業務負荷の見直しにつなげる企業研修として設計します。
社員が「まだ大丈夫」と言っている段階で、管理職が何に気づき、どの言葉で声をかけ、どこから人事総務へつなぐのか。
この判断基準をそろえたい場合は、研修内容をご確認ください。
文責:タニカワ久美子
研修テーマが未定でも、対象者・職場状況・実施時期に合わせて整理します。